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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第23回
「意見・論評」であると主張

 本件裁判はこれまで5回の口頭弁論を重ねている。その間、千葉は準備書面で鍵と靴をめぐる状況、矢野の「警察に行っているかと思った」という発言のほかにも、明代の死が「自殺」であることおよび矢野と朝木が「自殺」であることを隠蔽しようとしている事例を示し、「千葉が鍵発見に関わる殺人事件の『証拠事実の隠匿』」を行った事実はないことについて主張してきた。

 千葉が問題としているのは、

〈千葉「自殺説」を自ら全面的に否定! 決定的事実を知りながら、なぜ、今まで一度も公表しなかったのか!! ⇒証拠事実の隠匿は明らか!〉

〈元副署長チバは、捜査責任者として詳細を全面自供し事実隠匿の責任をとりなさい!〉

 などの記載である。すると矢野と朝木は、「千葉が鍵発見に関わる、『殺人事件』の証拠を隠匿した」とする事実について真実性・相当性を主張・立証すればよい。しかし提訴から1年にもなろうとするが、矢野は今のところまだ「千葉が殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実について真実性・相当性に関する主張も立証もしていない。

 それには矢野なりの理由があった。矢野は答弁書で、「『千葉が殺人事件の証拠を隠匿した』とは主張していない。記事は『千葉が殺人事件の証拠を隠匿した』との事実を摘示したものではなく、朝木明代議員事件は自殺ではなく何者かによる他殺の疑いが強いという『決定的事実がついに判明』し、東村山警察自身が捜査を十分に尽くしていない、との批判言論を意見・論評として記載したものである」(趣旨)と主張していた。

 仮に千葉が最近になって「おしぼりは現場検証後に置かれた」と述べたことをもって矢野が「第三者が関与した証拠で、捜査が尽くされていない」と考えたとしても、そのことと千葉が「殺人事件の証拠を隠匿した」(〈証拠事実の隠匿は明らか!〉)との事実の間には大きな隔たりがあるのではあるまいか。しかし「論評である」と主張する矢野は、立証対象についても次のように述べていた。

〈仮定抗弁での立証対象(論評たる本件記事の立証対象である前提事実の重要な部分)というのは、「朝木明代議員の鍵束は、焼肉店の裏口のカゴに入った使用済みのおしぼりの間に入れられて発見されたが、朝木明代議員の死亡確認後、警察犬投入後にいれられた可能性があるものの、何者が何の目的で置いたかは、解明できていない。鍵束は、その捜査が終了後、9月14日に遺族に返還した。」などとする東村山署による「捜査結果」を、……副署長という東村山警察元幹部(原告千葉)自身が、事件発生の14年後に初めて供述し、公表したという事実である。〉

 主張の内容はともかく、矢野が一筋縄でいかない相手であることだけはわかろう。

奇妙な「求釈明」

 またその上で矢野は、次のような求釈明も行っていた。



(矢野の求釈明の申立)

 原告千葉は、「原告千葉が鍵束を発見した事実を隠匿した」との事実を被告両名が摘示したというが、被告両名は、原告千葉が「鍵束を発見した事実を隠匿した」などという事実を摘示したことも、主張したこともないので、本件記事が摘示したとする具体的事実を明らかにされたい。



 千葉は〈証拠事実の隠匿は明らか!〉などの表現について「原告千葉が鍵束を発見した事実を隠匿した」などと主張しているのではない。千葉は「亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿したとの事実を摘示した」と主張しているのである。

 矢野は訴状を読み間違えたのか、あるいは意図的に「亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿」ではなく、たんに「鍵束を発見した事実を隠匿」にしたかったのだろうか。千葉の主張する摘示事実が矢野の「理解」する摘示事実であるとすれば、真実性・相当性の「立証対象」は確かに矢野が求釈明に先立って述べたとおりということになり、立証はさほど難しくはあるまい。

 矢野の求釈明に対して千葉は、あらためて「亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿したとの事実を摘示した」と主張した。しかしその後も矢野は本件記事について、「千葉が公表した事実を前提とした、東村山署が捜査を十分に尽くしていないとする意見・論評である」とする主張を繰り返すとともに〈被告両名は、原告千葉のいう「亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿した」との記述をした事実はどこにもないので、具体的に被告両名が記述した箇所を明らかにされたい。〉と主張している。

 最高裁判例では、「名誉毀損の成否が問題となっている新聞記事が、意見ないし論評の表現に当たるかのような語を用いている場合でも、前後の文脈などによって、証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項を主張するものと理解されるときは、記事は右事項についての事実の摘示を含むものというべきである。」とされている。

 すると、矢野のいうように具体的に「(千葉が)亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿した」と記載していなくても、タイトル及び文脈からそのように理解されるなら、「亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿した」との事実を摘示したとみなされるのではあるまいか。私には少なくとも、「千葉は朝木明代殺害事件の証拠を隠匿した」と主張しているように読める。

裁判官の基本認識

 このように、原告と被告の主張は噛み合わないまま1年近くが経過していた。「事実摘示」か「論評」かで主張がまったく噛み合わなかった裁判の進行が大きく動いたのは第4回口頭弁論(弁論準備手続き)だった。裁判官はこれまでの双方の主張を整理した書面を作成し、それぞれに提示した。ちょうど判決文でいえば、「当裁判所の判断」までの双方の主張をまとめたもののようにもみえる。裁判官の心中も同様に、そろそろ裁判所が進行についても一定の方針を判断すべき時期に来ていると考えているようにも思えた。

 双方の主張をまとめた整理案を双方に確認させた上で第5回口頭弁論が開かれた。当面、明確にしなければならない論点は問題の記事が「事実摘示」か「論評」かという点にある。裁判官はまずその点について見解を示した。裁判官はこう述べた。

裁判官  記事全体は、原告が指摘する事実(千葉が他殺の証拠を隠蔽)を摘示していると思います。

 その上で裁判官は矢野と朝木側に対してこう聞いた。

裁判官  被告らは「千葉が他殺の証拠を隠蔽した」とする事実に対する真実性・相当性の主張・立証をしないんですか?

 この質問に対して矢野は「仮定抗弁を行います」と応えた。ここでもなお矢野は、記事の名誉毀損性および「事実摘示」について認めているわけではないことを「仮定」という文言を付けることによって主張していることがわかる。

 もちろん矢野が認めようと認めまいと、裁判官の基本認識が変わるものでもなかろう。裁判官は矢野の回答を確認すると、矢野に対して次回弁論までに「千葉が他殺の証拠を隠蔽した」とする事実に対する真実性・相当性の主張・立証を行うよう要請した。

 裁判官は最後に、今後の進行について「仮に原告が勝訴して控訴審になった場合に、一審で審理漏れがあったということがないよう慎重に行いたいと思います」と述べた。千葉は朝木に対する尋問を申し立てている。これに対して裁判官は、「被告らの次回書面を見てから判断します」と答えた。次回口頭弁論も弁論準備手続きで、5月14日午後2:30に予定されている。

 なお余談だが、矢野のデマを鵜呑みにした「行動する保守」の西村修平を千葉が提訴していた裁判の控訴審第1回口頭弁論が5月23日午後2時から開かれることになった。30万円の支払いを命じた一審判決を不服として西村が控訴していた。

(つづく)
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