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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第25回
 平成23年5月14日に行われた第6回口頭弁論で、矢野は裁判官から命じられていた準備書面を提出した。矢野は「千葉が朝木明代殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実の真実性・相当性を主張していたが、重複箇所やつながりが不自然な箇所があったため陳述扱いとはならず、第7回口頭弁論までに再提出することになった。一方千葉に対しては、現時点で何か主張・反論等があれば次回までに提出するよう求めた。

 この日の口頭弁論は弁論準備手続きにしては珍しくわずか10分という短時間で終了し、次回期日(同じく弁論準備手続き)は6月27日と指定された。

あえて「原告開示事実」と変更

 では、矢野が第4準備書面で行った真実性・相当性の主張内容(仮定抗弁)とはどんなものだったのだろうか。矢野は「仮定抗弁」の冒頭で次のように述べた。



 被告らが、本件記事又はその一部である本件文言において、仮に原告千葉は訴外明代が第三者に殺害されたことの証拠となる明代の鍵束を発見したのに、その事実を隠匿したとの事実を摘示したとしても、摘示事実の重要な部分は「原告開示事実」と一体をなすものであって、摘示事実の重要な部分は真実であるから、違法ではなく、または被告らにおいて、当該摘示事実の重要な部分が真実であると信じる相当の理由があるから、故意及び過失もない。



 ここで矢野が使用している「原告開示事実」との文言は、裁判官の整理では「原告陳述事実」となっていた。矢野は「千葉が朝木明代殺害事件の証拠を隠匿したという事実」を立証すればいいだけで、千葉が公表した事実が「原告陳述事実」だったとしても特段の影響はないようにも思える。どちらの言い方であろうと事実が変わってくるわけではないが、矢野はあえて「原告開示事実」と差し替えたのである。「原告開示事実」とは「『明代の鍵が現場捜索後におしぼりの間から発見された』という事実を『開示した事実』」という意味のようである。

「開示した」とは言い換えれば「それまで明らかにしていなかった」ということで、矢野は「原告陳述事実」を「原告開示事実」とあえて言い換えることによって「千葉が明らかにしていなかった事実」という意味を言外に含ませ、「明らかにしていなかった」から「隠匿していた」という反語のイメージを植え付けようとしているのではないか――私にはそうみえる。しかし通常の言葉の理解において、「明らかにしていなかった」と「隠匿していた」はイコールで結ばれる言葉ではない。

 また矢野がここでいう「摘示事実の重要な部分は『原告開示事実』と一体をなすもの」とは具体的にどういう意味なのか。通常、2つの異なる事実や事象が「一体をなす」という場合には、たとえば「明代の万引きと自殺は表裏一体をなす」というように、現出する事実や事象の出所は同一であるのが普通である。それを矢野はここでは、千葉の「開示事実」と矢野の本件記述が「一体をなす」というのである。それ自体、あり得ない話である。

 では〈摘示事実の重要な部分は『原告開示事実』と一体をなすものであって、摘示事実の重要な部分は真実である〉という言い方によって矢野は何をいいたいのだろうか。明確には理解できないものの、矢野がいう「摘示事実の重要な部分」とは「千葉は朝木明代殺害事件の証拠を隠匿した」であり、矢野は「千葉が初めて公表した」ことがすなわち「千葉は朝木明代殺害事件の証拠を隠匿した」ということだといいたいのかもしれない。しかし「初めて公表した」ことをもって「証拠を隠匿した」と主張するのはかなり無理があるのではあるまいか。

 いずれにしても、〈摘示事実の重要な部分は『原告開示事実』と一体をなすものであって、摘示事実の重要な部分は真実である〉という部分が真実性の主張であるとすれば、「論評」であると主張していた当初の主張と変わりがないように思える。

きわめて不明確な主張

 矢野は「仮定抗弁」の冒頭で「摘示事実の重要な部分は真実である」あるいは「そう信じる相当の理由がある」と前置きしているが、矢野は続けて、〈本件文言が前提としている事実〉を挙げる。これは真実性の主張・立証ではない。問題となっている表現が「論評」なら〈本件文言が前提としている事実〉という立証はあり得るが、裁判官が矢野と朝木に求めているのは「千葉が朝木明代殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実の真実性・相当性である。

 そのことを前提に矢野のいう〈本件文言が前提としている事実〉をみよう。矢野が挙げるのは以下の5項目である。



(矢野が挙げる〈本件文言が前提としている事実〉)

 原告千葉が鍵の発見状況について明らかにした「開示事実」

 明代が何者かに殺害された可能性がある事実

 千葉を含む東村山署の捜査関係者が、これらの事実に加え、明代の鍵束が当該転落死に関与した何者かによって使用済みのおしぼりの間に入れられていた経緯について、未解明の事実があることを認識していた事実

 千葉が本件「開示事実」についてこれまで一度も記者発表等公表したことがない事実

 千葉は、被告らが、万引きを苦にして明代が自殺したことを知りながら、明代の自殺を裏付ける事実を隠蔽したかのような主張をするが、根拠となる証拠がなく、明代が殺害された可能性もあること



 矢野はこれら5項目に基づき、

〈千葉「自殺説」を自ら全面的に否定! 決定的事実を知りながら、なぜ、今まで一度も公表しなかったのか!! ⇒証拠事実の隠匿は明らか!〉

〈元副署長チバは、捜査責任者として詳細を全面自供し事実隠匿の責任をとりなさい!〉

 などと記載したという。しかしこれでは「千葉が朝木明代殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実を立証したことにはならないだろう。「千葉が朝木明代殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実に関する警察内部の証言でもあるのならまだ裏付けになる可能性もあるが、「行動する保守」Aの「内部告発」のようなものでは逆に心証を悪化させるだけである。

 結論からいえば、矢野の「仮定抗弁」にはどこまでいっても「千葉が朝木明代殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実を直接的に立証する事実は出てこない。真実性の主張ではないかとみられるのはわずかに〈摘示事実の重要な部分は「原告開示事実」と一体をなすもの〉という不明確な主張のみである。矢野は「千葉が朝木明代殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実を立証する明確な証拠がないために、「本件文言が前提としている事実」なるものを並べたもののように思われた。

(つづく)
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