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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第26回
趣旨不明確な詭弁

 第6回口頭弁論(平成23年5月14日)で矢野が提出した「仮定抗弁」において、矢野が「千葉が朝木明代殺人事件の証拠を隠匿した」とする事実について直接的な真実性・相当性の主張・立証を行ったかといえば、そのような記載はどこにもなかった。

 裁判官の指示に従って矢野はその後、6月27日に開かれた第7回口頭弁論までに前回陳述扱いとならなかった第4準備書面の修正版(重複箇所を削除したもので、内容的に変更はない)および5月31日付第5準備書面を提出している。矢野は第5準備書面でも再度「仮定抗弁」を主張していたが、その内容は第4準備書面に記載された内容とほとんど変わりはなかった。矢野は第5準備書面の冒頭で次のように述べている。

〈以下のとおり、被告らが、本件記事又はその一部である本件文言において、仮に原告千葉は訴外明代が第三者に殺害されたことの証拠となる明代の鍵束を発見したのに、その事実を隠匿したとの事実を摘示したとしても、前記摘示事実の重要な部分は「原告開示事実」と一体をなすものであって……〉

 つまり、第5準備書面でも矢野は「摘示事実の重要な部分は『原告開示事実』と一体をなす」などという不明確きわまる詭弁を繰り返していた。「明代の鍵束が現場の捜索後におしぼりの間から発見された」という事実は「明代が殺害されたこと」を裏付ける証拠ではないし、その事実を千葉が最近まで「公表しなかったこと」が「明代殺害事件の証拠を隠匿した」ことになるという論理は成立しない。

 また矢野は「訴外明代が何者かに殺害された可能性がある事実」などとして、いずれもこれまでの裁判で排斥された事実を並べたものの、「千葉が朝木明代殺害事件の証拠を隠匿した」とする事実について直接的な真実性・相当性の主張をしたものとは思えなかった。その内容は第4準備書面とほとんど同一である。

執刀医から説明を受けた朝木

 これに対して千葉は、矢野が「訴外明代が何者かに殺害された可能性がある事実」として主張する根拠に対して第7、第8準備書面で反論している。



(矢野の主張1)

 訴外朝木明代の司法解剖鑑定書には、遺体の上腕内側部に皮下出血を伴う皮膚変色痕が複数存在すると記載されている事実から法医学の専門家が同人は何者かに殺害された可能性があることを指摘していること

(千葉の反論1)

 平成7年9月2日に行われた司法解剖の担当医師は、解剖に立ち会った警察官に他殺と認定しなかった解剖所見を伝え、警察官は平成7年9月4日付の解剖立会報告書を作成し、警察署長を経由して不起訴処分決定(平成9年4月14日)前の平成7年12月22日に担当の検察官に送致したという通常の手続きをした。

 送致を受けた検察官は「自殺の可能性が強く、他殺の確証は得られなかった」として被疑者不詳の殺人被疑事件については通常の処分である不起訴処分としたのであって、本件鑑定書が不起訴処分決定後に作成されたことを根拠に捜査は尽くされていないとする被告らの主張は失当である。



 矢野がここでいう「法医学の専門家」とは山形大学名誉教授の鈴木庸夫である。しかし鈴木教授の主張は千葉が西村修平を提訴した裁判において東京地裁は〈本件上腕部内側の皮下変色部が亡明代と他人が争った際に生じたことが最も考えやすいとする本件鑑定補充書の記載は採用することができない。〉などと認定して西村(すなわち矢野)の主張を否定している。またその他の裁判でも、鈴木教授の説が認容された例はない。つまりもはや鈴木教授の主張は、矢野と朝木にとっても、「明代は殺害された」とする相当性の根拠とはならないのではあるまいか。

 続けて千葉は、司法解剖を行った医師が他殺の可能性をうかがわせるような見方をいっさい示していないことを朝木直子が知っていた可能性があることについて、次のように述べている。



(千葉の反論2) 

 被告直子は司法解剖終了直後に解剖執刀医に面談し「他殺を疑う所見はなかった」との説明を受けている。被告らの政治ビラ「東村山市民新聞」では、解剖執刀医から説明を受けた事実を認める記事を掲載している。解剖執刀医が、被告直子に、解剖立会い警察官に説明した内容と異なる説明をする道理はない。よって、被告直子は、本件鑑定書が公表される以前に、解剖失当医師が他殺と認定しなかった事実を知りながら、本件鑑定書が遅れて公表されたことをもって他殺と主張しているのである。



 ここで千葉が指摘しているのは平成7年9月27日付「東村山市民新聞」の記事である。矢野は次のように記載している。



(平成7年9月27日付「東村山市民新聞」の記載)

 ……遺族が執刀した医師に直接会って確認したところ、「手すりからぶら下がって落ちた」などと朝木議員があたかも自殺したかのような警察の千葉副署長の説明は、全く根拠のないことがわかった。



 確かに司法解剖鑑定書には、死因として「多発外傷に基づく出血性ショックを主体とする外傷性ショック」、「凶器の種類、その用法」として「(明代の遺体に認められる)創傷は何れも鈍体による打撲、圧迫、擦過等により形成されたものと思われる。」としか記載されていない。現場検証をしたわけでもない解剖医が転落の状況までわかるはずがないし、自分がわからないことを遺族にしゃべることは通常はあり得ない。

「東村山市民新聞」の記載はこのあと、明代が「横倒しで落とされた」などとあたかも何者かによって落とされたかのような記載が続くが、もちろん司法解剖鑑定書にそのような記載はない。すなわち「東村山市民新聞」の記載は、「医師に直接会って確認した」とする箇所以外はすべて医師から聞いた内容とは関係がないということになる。

 事実を検証する上で重要なのは、矢野が「遺族が執刀した医師に直接会って確認した」と書いていることである。千葉が準備書面で主張するように、司法解剖を行った医師が警察と遺族に異なる見解を示すことはあり得ない。朝木が解剖医に直接会ったのなら、やはり他殺を疑うような見解は示されなかったとみるのが常識的で、「朝木は司法解剖執刀医から警察が聞いたのと同じ説明を受けた」とする千葉の主張には合理性があるというべきではあるまいか。

裁判官が和解を勧告

 なお、6月27日に開かれた第7回口頭弁論で裁判官は双方に対して和解を勧告した。この裁判では裁判官が2回交代している。2人目の裁判官は矢野に対して「千葉は朝木明代殺害事件の証拠を隠蔽した」とする記載は事実摘示であるとする見解を示していた。矢野が違法性を阻却されるには真実性・相当性の立証が必要だが、矢野がこれまでに真実性・相当性の主張・立証をしたとは思えない。

 その段階で和解を勧告したということは、少なくとも3人目の裁判官の認識は2人目の裁判官とは別のところにあるということのようだった。弁論準備手続きを終えてエレベーターを降りてきた矢野と朝木の表情には笑みが漏れているように見えた。

 裁判官は最終的にどんな和解内容を想定しているのか。またそれによって折り合いがつく可能性があるのかどうか。次回の和解協議は7月26日に行われることになった。

(つづく)
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