ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第27回
速やかに削除した矢野

 平成7年9月1日に発生した東村山市議、朝木明代の自殺事件で、東村山警察署が行った現場検証後に自殺現場から発見された鍵をめぐり、東村山市議会議員の矢野穂積と朝木直子が捜査指揮官だった東村山警察署副署長(当時)、千葉英司が「朝木明代殺害事件の証拠を隠匿した」などと記載したことに対し、千葉が矢野と朝木を提訴していた裁判は平成24年7月26日付けで和解が成立した。

 なお和解条項には削除義務条項があったため、和解成立当日から8月2日までの間、矢野が発行し、朝木が編集するウェブ版「東村山市民新聞」ではかなりの箇所におよぶ削除や改変がなされた。和解調書は削除義務が履行されたことを確認できたのちに作成され、同年8月10日、当事者に送達された。和解条項は以下のとおりである。


 
和解条項

 被告らは、原告に対し、別紙甲1の1及び同1の2の被告らが管理、運営する下記のURLのウェブサイト「東村山市民新聞」における平成23年5月9日付「千葉英司元副署長とは?」とのページに記載された原告の氏名(千葉英司、千葉、チバ、C等を含む)を平成24年8月2日限り削除する。



 http://www.geocities.jp/higashimurayamasiminsinbun/page283.html
 
(※筆者注……「別紙甲1の1」とは、上記「東村山市民新聞」のトップページ、「同1の2」とは、上記「東村山市民新聞」における平成23年5月9日付「千葉英司元副署長とは?」とのページである。)

 被告らは、原告に対し、被告らが管理、運営する前項のウェブサイトにおいて、今後原告の氏名(千葉英司、千葉、チバ、C等を含む)を一切表記しないことを約束する。

 被告らは、原告に対し、被告らが管理、運営する第1項のウェブサイトにおいて、過去に掲載した原告の氏名(千葉英司、千葉、チバ、C等を含む)を速やかに削除するよう努力する。

 第1項、第2項及び前項については、既に書物として出版されたもの、判決及び原告作成の準備書面等のPDFファイル等は除くものとする。

 原告は、その余の請求を放棄する。

 原告及び被告らは、原告と被告らとの間には、本件に関し、本和解条項に定めるもののほかに何らの債権債務のないことを相互に確認する。

 訴訟費用は各自の負担とする。

以 上



 上記和解条項のうち、1~4はいずれも被告ら(矢野穂積と朝木直子)に対するもので、1は本件で千葉が問題にした記事に限定した「千葉の氏名等の削除義務(平成24年8月2日限り)」ものである。ここまでは裁判の争点と直接重なるが、2、3はウェブ版『東村山市民新聞』全体に及び、「今後、千葉の氏名等を記載しないこと」及び「過去に記載した千葉の氏名等を速やかに削除するよう努力する」というものである。和解条項1~4にいえるのは、いずれもウェブ版「東村山市民新聞」において、「千葉個人の氏名等の記載を削除あるいは削除するよう努力し、あるいは今後いっさい記載しない」と約束するものということになる。

 和解条項4は、ウェブ版『東村山市民新聞』に掲載したものであっても、出版物や判決など削除が不可能なもの、あるいは矢野が記載したものでないものについては除外するという趣旨である。

本件以外にも及んだ削除対象

 交代する前の裁判官は「千葉が朝木明代謀殺事件の証拠を隠蔽した」とする本件記載は事実摘示であるとする見解を示していた。矢野は真実性・相当性を主張・立証するよう求められたが、矢野が主張したのは結局「千葉が鍵の発見状況について公表したのはこれが初めてであり、これはすなわち証拠を隠匿していたということだ」という空虚な解釈論(言い換えれば、なんら具体的内容のない作文)にすぎなかった。したがって、本件記載が事実摘示と評価されるとすれば、千葉の請求は認容される可能性が高いとみられた。

 しかし、千葉の個人名を削除するというだけで、千葉が請求していた記事そのものの削除も慰謝料の支払いも含まれていない和解条項をみるかぎり、裁判官の交代とともに記事の評価も変わったことがうかがえる。ただ、裁判官が記事にまったく問題がないと考えていたわけでもないことは、千葉の個人名を削除するという条項が含まれていたことからも明らかだった。当時の東村山署の捜査について疑問を呈したとしても千葉個人を名指しするのは行き過ぎである――和解条項1は裁判官がそう判断した結果のように思われた。

 交代した裁判官が「千葉が朝木明代謀殺事件の証拠を隠匿した」とする記事を「事実摘示」と認定しなかったことについて、私がいささか違和感を覚えていることは否定しない。しかし裁判官が矢野と朝木に対して、本件請求とは直接関係ない部分についても千葉の個人名を削除する(努力をする)とともに今後も個人名を記載しないことを約束させた和解条項2、3の意味は小さくあるまい。

 長期的にみると千葉の個人名が特定されにくくなろう。より重大なのは、矢野が過去に書いてきたものを含め、未来永劫にわたり矢野の表現に「千葉の氏名を一切表記しない」という制限を加えることになるという点である(過去の分については「努力する」となっている)。

 矢野は、自ら1度口にしたものは絶対に撤回しない人物である。自尊心の塊である矢野が過去に書いたものを削除するなど考えられないことだった。ところが矢野はこの和解において、本件とは直接関係のない過去に記載した分についてまで「速やかに削除するよう努力する」ことに同意したのである。

 これはよほどのことではないかと私は思う。もちろん和解といっても裁判官が間に入った協議だから、限度を超えた要求と判断すれば認められまい。つまり、本件とは直接関係のない部分に関する削除については裁判官も妥当と判断したということだった。

 矢野と朝木が朝木明代の自殺を「謀殺事件」として宣伝し、東村山警察署の捜査に疑念を表明する中で捜査指揮官だった千葉を名指しで批判、誹謗してきたことには重要な意図があっただろう。「他殺説」を流布する上で具体名があるとないとでは訴求力に大きな差があるし、なにより矢野が深く関与したアリバイ工作を暴いた千葉に対する敵愾心の現れであり一種の報復だったのではないかと私は考えている。なぜなら本来、捜査批判の対象は東村山警察署の責任者である署長でなければならないのである。

 その矢野が「努力する」となっているとはいえ、争点とは直接関係ない部分の削除に応じるとは並大抵のことではない。矢野にとって関係ない部分の削除を受け入れても和解に応じることに、それなりの意味があったということになろうか。

 なおその後、矢野がウェブ版「東村山市民新聞」に掲載していた本件以外の千葉の氏名についても削除努力をした形跡が顕著にみられる。その姿勢は一応評価してよかろう。しかしそれでもなお、ウェブ版「東村山市民新聞」には数カ所、千葉の氏名が残っているようである。それがたまたまなのかどうかについては定かではない。

(つづく)
関連記事

TOP