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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第30回
午前0時30分の電話

 万引き(窃盗)容疑による東京地検への出頭日が迫っていた朝木明代が東村山駅前のビルから飛び降り自殺を遂げてから2時間30分後、日付が変わった平成7年9月2日午前0時30分ごろ、矢野穂積は東村山署に明代の消息を尋ねる電話をかけた。2時間前の9月1日午後10時30分、矢野は朝木直子から「母は家にもいない。警察に連絡してほしい」旨の依頼を受けていた。

 矢野はマスコミに対して(あるいは朝木に対しても)すぐに警察に連絡したと説明しているが、その時間帯に矢野から連絡が来たという記録は存在しない。矢野が実際に東村山署に電話したのは、朝木の依頼を受けてからたっぷり2時間後、9月2日午前0時30分のことだった。

 矢野の説明と現実の間にある2時間のずれとともに、警察への電話の中に、矢野が明代の身に何かが起きたことを知っていたと思わせる発言があった。矢野は当直の警察官に次のようにいった。



(平成7年9月2日午前0時30分ころ、矢野が東村山署にかけた電話の発言内容=趣旨)

矢野  昨夜の10時過ぎから朝木明代さんが行方不明になっている。そちらに行っていないかと思って電話しました。



「(朝木明代が)そちらに行っていないか」とはきわめて具体的な背景事情を物語る文言である。矢野は明代から「警察に行く」ことを、何気ないそぶりや雰囲気からではなく、具体的な意思表示として知らされていたということになる。それなら矢野は、朝木から依頼されたあとなぜすぐに警察に連絡しなかったのだろう。また矢野は、明代が具体的に警察に行くかもしれないと、いつ知ったのか。

東村山署を避けた矢野と明代

 その前に、明代が警察に行くということが何を意味するのか、その点をまず確認しておこう。平成7年7月12日、東村山署で行われた3回目の事情聴取でアリバイを崩された明代は「今日の調書はなかったことにして下さい」と、それまでの主張をすべて撤回する。

 明代が撤回した主張はきわめて具体的かつ詳細なものだった。つまり明代は明らかに警察を騙す意図をもって、計画的に虚偽のアリバイを主張したということだった。明代は「今日の調書はなかったことにして下さい」という言葉によって、そのアリバイが作出された嘘だったことを認めたのである。

 その後明代は「アリバイは調べ直してきます」と言い残して取調室を退去した。しかしそれから2カ月近くがたち、東京地検から取り調べの呼び出しが来ても、明代はいまだ東村山署には姿をみせなかった。常人よりもややプライドが高い矢野と明代の性格からして、アリバイを証明できたのなら、明代はもちろん矢野も勇んで東村山署に乗り込まないはずがない。ところが東村山署には、明代からは何の音沙汰もなかった。

 実は書類送検後、明代と矢野は東京地検に対して密かに「『日替わりランチ』を食べた」とするアリバイを主張する上申書を提出していた。東村山署ではそれまで「『レギュラーランチ』を食べた」と主張していた。しかし矢野も明代も、なぜか「日替わりランチ」が「本当のアリバイ」だと東村山署に対して主張することはなかった。

 その理由は東村山署が行った裏付け調査から明らかだった。「日替わりランチ」は彼らが行ったとする時間帯(午後2時12分)にはとっくに売り切れていて、注文することさえできなかった。さすがの矢野も確信があるはずがなく、「アリバイがあるぞ」と怒鳴り込むことはできなかったということだろう。

 矢野は東村山署を避け、東京地検に対して「『日替わりランチ』を食べた」とする上申書を提出した。しかし平成7年10月7日、東村山署で行われた事情聴取で「日替わり」が売り切れていることを知らされた矢野は「ええっ? ウソっ!」と絶句している。実際に「日替わり」を食べた、確信のある者の反応ではない。

 もちろん万引き犯である明代が「日替わり」でアリバイが証明されるなどと考えていたはずがない。仮にそう考えていたとすれば、明代はただちに東村山署に行っただろう。しかし明代は「レギュラーランチ」のアリバイをみごとに撤回したあと、東村山署にはいっさい姿を見せなかった。

明代が「警察に行く」ということの意味

 その明代が「警察に行く」ということは何を意味するだろうか。書類送検後に明代が東村山署にいっさい姿を見せていないということは、アリバイを立証できるとは考えていなかったということである。

 すると、明代が東村山署に行く目的がアリバイ主張でないとすれば、残る目的とは罪を認めること以外にない。東村山署の刑事の前で罪を認め、万引き被害者に対して謝罪させてもらうとともに、被害届を取り下げてもらうよう仲介を依頼するという道もあり得たかもしれない。

 そうすれば明代は、法廷という公開の場で万引きとアリバイ工作を暴かれるという、この上ない恥辱から逃れることができるかもしれなかった。逆にいえば、明代と矢野が新たなアリバイ主張を続けるということは、近い将来、明代には法廷で人生最大の恥を晒す場面が待ち受けているということだった。

 当然「トップ当選議員が万引きとアリバイ工作」と、マスコミの餌食となろう。公訴を免れたところで報道されることに変わりはないが、自ら非を認めるのと、非を認めないまま法廷で罪を暴かれるというのとでは当然、扱いも大きく異なろう。いずれにしても万引き犯である明代にとって、罪を認めないまま公判を迎えることほど誤った選択はないのだった。

(つづく)
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