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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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佐藤ブログ事件 第7回
 東村山市議、佐藤真和のブログに投稿されたコメントをめぐり、東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が佐藤を提訴していた裁判は平成24年11月9日、最高裁が矢野と朝木の上告を棄却する決定を行った。これによって、矢野らの請求を棄却した東京高裁判決(平成23年12月21日)が確定した。

 矢野と朝木が問題としたのは次の3件のコメントである。



コメント1(平成19年6月29日付)

 ……(矢野と朝木らは)トラウマの原因と全く関係ない他人を攻撃(=八つ当たり)する事で、心の虚無を埋めようとする方々とお見受けしました。心理学では「共依存」? 「境界性人格障害」「攻撃性人格障害」「パワーゲーム」など幾つかの名を付けて分析・対処方法を研究しているはずです。

コメント2(平成19年7月6日付)

 私も、○○さんの見解は正しいと思います。草の根の人たちは病気なんです。他人を攻撃することで、自己のアイデンティティを保っているんですから。まあ、昔から住んでいる市民なら、みんな知ってることですが。

コメント3(平成19年6月29日付=投稿されたコメントに明らかな差別用語と判断できる文言が含まれていたため、佐藤の責任で修正したのちに再掲載したもの)

 矢野・朝木両市議が発行する東村山新聞(筆者注=「東村山市民新聞」の誤り)は、一読しただけで○○と判ります。この2人が市議として存在することが東村山の大問題ではないでしょうか。○○さんが挙げておられる心理学上の分類に「サイコパス」も追加させてください。



 コメント2、3はいずれもコメント1に対する感想であり、触発された意見である。矢野と朝木はこれらの投稿および、佐藤自身が第三者のコメントを修正して再投稿したことによって著しく名誉が毀損されたとして、佐藤に対し計300万円の支払いなどを求めて提訴していた。

佐藤は「特定電気通信役務提供者」であると認定

 この裁判では、コメント内容の評価以前の問題として、矢野は佐藤がプロバイダ責任制限法が定める「特定電気通信役務提供者」ではないから同法は適用されない――すなわち佐藤は名誉毀損にあたる投稿を放置して不特定多数の読者の閲覧に供した点において、いずれのコメントについても佐藤に不法行為責任があると主張していた。

 インターネット上の掲示板におけるコメントについては、そのすべての責任を無条件に設置者やプロバイダに負わせるべきではないという趣旨でプロバイダ責任制限法が制定されている。同法の適用を受けるのは特定電気通信役務提供者と認められる者である。本件において佐藤は、佐藤が同法にいう特定電気通信役務提供者に該当すると主張していた。

 まず東京地裁立川支部は、佐藤のブログ掲示板についてプロバイダ責任制限法が適用されるものであるかどうかについて検討し、次のように述べた。

〈プロバイダ責任制限法2条3号にいう特定電気通信役務提供者とは、特定電気通信設備を設置又は所有している者である必要はなく、特定電気通信設備を他人の通信の用に使用させていれば足りると解される。〉

 東京地裁は、佐藤が特定電気通信役務提供者であり、ブログ掲示板がプロバイダ責任制限法の適用を受けるものと認定したということである。

 また矢野は佐藤が修正した「コメント3」について「佐藤が修正したものを投稿したのだから、佐藤による発信である」(趣旨)と主張していた。この点について東京地裁はこう述べた。

〈本件……修正投稿は、……差別的用語の部分を削除するためにそのような形態を採ったものであり、プロバイダ責任制限法3条1項の適用上、被告ブログ掲示板の管理者である被告が発信者となる場合には当たらないというべきである。〉

 ここまでの段階で東京地裁は、佐藤のブログ掲示板がプロバイダ責任制限法の適用を受けるものであること、また上記3つのコメントはいずれも佐藤以外の読者による投稿であると認定したのである。

3つのコメントに対する評価・認定

 その上で東京地裁は、それぞれのコメントの内容について以下のように認定している。



(コメント1に対する評価・認定)

 パーソナリティ障害は、精神病ではないとはいえ、精神医学で取り扱われ、治療の対象となっているものであるから、その指摘が名誉毀損となるか否かの観点からは、やはり病気の一種であり、その指摘は事実の表明と認めるべきである。

(コメント2に対する評価・認定)

 上記「病気」の付加は、原告らが病気の一種であるパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明したものと認めるべきである。

(コメント3に対する評価・認定)

 ……サイコパスが人格障害とほぼ同義と解されていることからすると、(コメント1)と同様に、原告らがパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明するものと認められる。



 問題とされた3つのコメントについて東京地裁立川支部はこのように認定した。雑誌などの名誉毀損裁判では、上記のような記載によって提訴された場合、ただちにその真実性・相当性が問題となる。

 しかし東京地裁は、プロバイダ責任制限法における特定電気通信役務提供者の場合には、〈名誉毀損における真実性及び相当性についても、当該特定電気通信役務提供者が真実性及び相当性が存在しないことを知っていた(筆者注=同法3条1項1号)か、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があること(筆者注=同2号)〉の立証が必要であると述べた。この判示によれば、投稿者本人が損害賠償責任を負った場合でも、特定電気通信役務提供者の責任が問われないこともあり得ることになる。

 したがって東京地裁立川支部は、3つのコメントの評価・認定に続き、佐藤がコメントの内容について真実性・相当性が存在しないことを知っていたかどうかを検討した。佐藤は3つのコメントの内容には真実性・相当性があると主張して多くの証拠を提出していた。

 この佐藤の主張に対して東京地裁立川支部はどう判断したのか。東京地裁立川支部はこれらの証拠を検討した結果、佐藤が3つのコメントを掲示板に表示した行為について〈被告ブログ掲示板の管理者である被告につき、同法3条1項1号又は2号に該当する事由があったと認めることはできない。〉とした上で、重ねてこう述べたのである。

〈かえって、後記イ~オに説示するとおり、原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行為があったものである〉

 一審の東京地裁は、むしろ佐藤にはコメントを削除しない相当の理由があったと認定したのである。

(つづく)
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