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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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佐藤ブログ事件 第13回
2 超党派事件

 平成4年から平成6年にかけて、東村山市議会自民党、公明党、社会党(当時)、生活者ネット、共産党の「草の根市民クラブ」を除くすべての会派が、会派の利害を超えて「超党派でつくる新聞」というビラを発行した。たとえばその第3号には次のような記載があった。



(「超党派でつくる新聞」第3号の記載)

〈東村山市民新聞代表者(筆者注=矢野穂積)は裁判ごっこマニア?〉

〈これらは朝木議員(筆者注=明代)、又は社会教育団体として登録されている「東村山市民新聞」の代表者らが訴えたもので、現在係争中の事件を除いて、すべて、棄却、取下げ、和解(1件)となっています。このように、朝木議員、または「東村山市民新聞」の代表者は、いたずらに裁判を起こし、実際、何か自分達を批判する者は「裁判するぞ」と脅かしたりしているようです。〉

〈新聞販売店の店主は平成3年8月に、「貴社発行紙には他人を中傷誹謗する記事が掲載されることがあり、新聞に折り込むには不適当なものがある」と同矢野代表に書面をもって回答しています。〉

〈脅しに裁判を利用する矢野氏〉



「超党派でつくる新聞」とは、東村山市議会および東村山市議会議員に関して誹謗中傷を含む一方的宣伝を繰り返していた「東村山市民新聞」に対抗して、市民に正しい情報を提供しようとする趣旨で発行されたものである(平成4年に第1号)。異なる政治グループが3年以上にわたり思想信条を超えて共同でビラを発行するなど、そうあることではあるまい。

 それほど朝木明代と矢野(当時は傍聴席から不規則発言を繰り返していた)の特異性は尋常ではなかったということと理解していいのではあるまいか。矢野と明代(訴訟は遺族が承継人となった)は上記を含む「超党派でつくる新聞」の記載によって名誉を毀損されたとして提訴したのである。

 しかし東京地裁は上記論評の真実性・相当性を認めて矢野の請求を棄却、東京高裁も次のように述べて矢野の請求を斥けている。

〈(「超党派でつくる新聞」には)……矢野が、「裁判ごっこマニア?」であるとか、いたずらに裁判を起こし、また、自分たちを批判するものを「裁判するぞ」と脅かしたりしているとの記載がある。

 たしかに控訴人矢野は、……自分と意見が対立する者に対して、裁判を起こすなどと言っていたことが認められるのであって、上記の記事がその主要部分において、事実の基礎を欠くものということはできない。〉

〈もっとも、「ごっこ」とか「マニア」とはいかにも侮蔑的な要素を含む表現であって、……かなり行きすぎの面を含むものである。しかし、……その市民新聞においては、かねてから市議会議員らの個人攻撃とみられるような記事が掲載されていたことなど……を考慮すれば、……直ちに政治的な表現の自由の行使として許容される範囲を逸脱しているとは認め難い。〉

 東京高裁は「超党派でつくる新聞」の表現には必ずしも適切とはいえない側面があるものの、「東村山市民新聞」の表現に対する反論としては許されると判断したということだろう。佐藤は上記判決を証拠として提出し、東京地裁は本件コメントの真実性・相当性の根拠として認めたのである。

「蒸し返し訴訟」

 ところでこの裁判の被告には25名の東村山市議以外にもう1人、かつて「東村山市民新聞」の新聞折込を請け負っていた新聞販売店主(以下=「K」)が含まれていた。「新聞販売店に関する記述はいずれもKと矢野との間でしか知り得ない事実であるから、Kが情報提供したことは明らか」というのだった。その上で矢野は、「『超党派でつくる新聞』は亡明代および矢野を攻撃するために作成したいわゆる『ビラ』の類で、取材に基づく事実報道を行うものではないから、店主と作成者が共謀して作成したものである」などと主張していた(判決文)。
 
 Kと市議が共謀したとする根拠がどこまであったかは定かではないが、Kに対する矢野のこだわりもまた尋常ならざるものがあった。Kはかつて矢野の「東村山市民新聞」の新聞折込を請け負っていたが、ある出来事をきっかけに折込を断ったことから紛争が生じたのだった(矢野は当時、新聞折込によって「東村山市民新聞」を市内に配布していた)。

 折込を断ったことに対して矢野が撤回を求めるとKは、矢野のビラには「他人を中傷誹謗する記事が掲載されることがあり、新聞に折り込むには不適当なものがある」と回答。Kがビラの折込を拒否したことに対して矢野は平成4年、Kが折込を拒否したことが違法であるなどとして提訴したが平成6年7月14日、最高裁で矢野の敗訴が確定している(=第1次訴訟)。

 その後の平成6年8月ころ矢野は、今度は平成3年に折込を依頼した「東村山市民新聞」(平成3年7月24日付)の返還を求めて再びKを提訴したものの平成6年10月26日、第2回口頭弁論において訴えを取り下げている(=第2次訴訟)。なお矢野はこの裁判に併合して「東村山市民新聞」の印刷を依頼していた印刷会社に対して折込代金の返還を請求しており、この裁判は弁論が分離された上で、同期日に印刷会社が代金を返還する内容の和解が成立している(遅延損害金を含めて9858円)。

 Kに対する第2次訴訟の終結から1カ月もたたないうちに、矢野は「東村山市民新聞」(平成6年11月16日付)に〈本紙折込代金返還で実質勝訴〉と題する記事を掲載した。ところが本文では〈被告○○(筆者注=K)が、同紙の記事が他人を中傷誹謗したなどと根拠のない言いがかりをつけて折込みを拒否、折込み代金も返還しないので裁判を提起したところ、被告側(印刷会社)が代金を返還して和解が成立した〉(趣旨)と記載されていたのである。

 つまり矢野は、「東村山市民新聞」において性質の異なる2つの裁判を1つの裁判だったかのように記載し、Kに勝訴したことにしているのだった。そもそも新聞折込に関する限り印刷会社の立場は矢野の代理なのであって、K側ではないのである。とうてい尋常な記事とはいえまい。

 上記の「東村山市民新聞」の記事についてKの代理人は超党派事件における準備書面で次のように述べている。

〈原告らは、このような記事を「取材に基づく事実報道」というのであろうか。

 一方でこのような記事を平然と掲載しながら、「超党派でつくる新聞第3号」……程度の記述を理由に、被告○○(店主)に対し本件訴訟(筆者注=Kに対する3度目の提訴)に及んだ原告らの行動は、誠に理解することが困難である。〉

 その後、東村山市内の新聞販売店は市民からの抗議が相次いだこともあって「東村山市民新聞」の折込をしなくなった。これに対して矢野は市内の新聞販売店を提訴したが、この裁判でもKを提訴したのである。4度目の提訴だった。これに対してKは答弁書で次のように主張している。

〈本訴は確定判決の存在する事件(筆者注=折込拒否に関する判決)についての2度目の蒸し返し訴訟である。その度に応訴させられる被告の迷惑は極めて大きいものである。〉

 平成16年、東京地裁八王子支部は「販売店の側には折込契約を締結するしないの自由があり、『東村山市民新聞』の折込契約を締結すべき法的義務を認めることはできない」などと述べ、矢野と朝木の請求を棄却した。きわめてまっとうな判断である。

 この裁判を最後にKに対する矢野の提訴は終息したが、Kに対する提訴内容からも「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントの真実性・相当性を認めた本件判決の正しさが十分に納得できるのではあるまいか。

(了)
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