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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「セクハラ市議」名誉毀損事件 最高裁判決(その2)
 では「表現行為B」についての東京高裁の判断はどうか。問題とされたのは以下のウェブ版「東村山市民新聞」の記事4本と「多摩レイクサイドFM」の放送1本(『ニュースワイド多摩』)である。



1 ウェブ版東村山市民新聞平成19年8月6日

〈ついに薄井問題に決定打!〉

〈法律家の方々から貴重な助言をうけました。薄井氏には速やかに辞職されるよう強く勧告します。〉

2 ウェブ版東村山市民新聞平成19年8月7日

〈法律家・研究者の方々の応援により急展開!〉

〈照準は、はっきりと、違法行為、犯罪既遂の事実です。〉

〈1 ソープ(本番=売春)は勿論、「性風俗」は全部「有害業務」(確定判決)
 2 「有害業務」の宣伝(求人など)は職業安定法63条2号違反の犯罪(懲役刑)〉

〈法が否定する「有害業務」を「職業」などと叫んだ薄井氏及び薄井擁護派は、これで完全に破綻です。それどころではありません。犯罪の疑いまで出てきたのです。〉

3 東村山市民新聞第158号(平成19年8月29日付)

〈問題は「犯罪」関与の疑惑に進展!〉

〈調査の結果薬事法や職業安定法の違反をしているのではないか、という疑惑まで出ている。〉

〈薄井氏、セクハラどころか、ついに犯罪の疑惑が〉

4 「ニュースワイド多摩」平成19年9月5日放送分

〈調査の結果、薬事法や職業安定法の違反をしているのではないか、という疑惑まで出ています。〉

〈薬事法68条は、無許可医薬品の効能効果または性能に関する広告をしてはならないと定めています。薄井氏、セクハラどころかついに犯罪の疑惑が浮上しました。〉

5 東村山市民新聞第159号(平成19年12月15日付)

〈薄井氏が特殊性風俗宣伝のネット動画で「違法ドラッグ」を紹介したことなど、薄井氏の言動について違法の可能性がある〉



 こう並べてみると、平成19年に矢野と朝木が行った薄井攻撃の執拗さがあらためて実感できるのではあるまいか。

「職業安定法違反」との主張に違法性を認定

 上記1~5の記載及び放送に対して東京高裁はどんな判断を行ったのか。

 まず1について東京高裁は、これだけでは〈被控訴人が職業安定法63条2号に違反する行為をした疑いがあるという事実の摘示にも、同旨の意見表明に当たるとはいい難い。〉と述べて名誉毀損の成立を否定した。しかし、上記2以降についてはいずれも名誉毀損の成立を認定している。

(「表現行為B」の2について)

 2について東京高裁は、〈上記記載は、被控訴人が職業安定法63条2号違反の犯罪行為をした疑いがあるという法的な見解を表明するものである。……法的な見解の表明は、事実を摘示するものではなく、意見ないし論評の表明の範ちゅうに属するものというべきである(前記最高裁平成16年7月15日判決)。〉とした上で、名誉毀損性について〈前記意見表明は、被控訴人が職業安定法違反の犯罪行為をした疑いがあるとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉と認定している。

 意見表明が他人の名誉を毀損するものだったとしても、公共性・公益性があり、その前提に真実性・相当性が認められた場合には違法性は阻却される。この点について東京高裁は次のように述べた。

〈控訴人矢野及び控訴人朝木は、……前提事実を掲げることなく、公然と、被控訴人が職業安定法違反の犯罪行為をしているという意見表明をし、これにより、被控訴人の社会的評価が低下するおそれを発生させた。

 ……本件訴訟において控訴人矢野及び控訴人朝木が上記意見表明の前提事実として主張した事実の重要な部分が真実であるとは認められず、また、控訴人矢野及び控訴人朝木がこれを真実であると信じるについて相当の理由を認めるに足りる証拠もない。〉

 東京高裁はこう述べて、「表現行為B」の2について名誉毀損の成立を認定したのである。

(「表現行為B」の3について)

 3について東京高裁はいずれも「意見表明」であるとし、「薬事法違反」と「職業安定法違反」(の疑い)とする主張について検討している。

「視聴者の誘引」を否定

 まず「薬事法違反」については〈前記意見表明は、被控訴人が薬事法違反の犯罪行為をしたとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、……被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉として名誉毀損性を認定し、その上で真実性・相当性について次のように述べている。

〈被控訴人は、姫アグラの流行と効能に言及しているものの、それを超えて、本件ネット動画の視聴者を誘引し、姫アグラを購買する意欲を昂進させる意図が明確であるとまでは認められない。したがって……被控訴人が姫アグラの「広告」(宣伝)をしたという事実が認められない以上、……控訴人矢野及び控訴人朝木の上記主張を採用することはできない。〉

 東京高裁はこう述べて、3の「薬事法違反」について名誉毀損の成立を認定した。

「職業安定法」についても上記「表現行為Bの2」と同様、〈被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉と述べた上で真実性・相当性を否定し、名誉毀損の成立を認定した。

「表現行為Bの4」「表現行為Bの5」はいずれも「薬事法違反」であると主張するものだが、東京高裁はいずれも上記3と同じ理由によって名誉毀損の成立を認定している。この結果、東京高裁は平成23年意3月16日、矢野と朝木に対して計100万円の支払いと、「表現行為Bの4」の「ニュースワイド多摩」放送分については謝罪放送を命じる判決を言い渡したのである。

 なお、東京高裁が命じた謝罪放送の具体的内容は以下のとおりである。



謝罪放送

 これから謝罪放送を行います。

 本局の番組「ニュースワイド多摩」は平成19年9月5日、東村山市議会議員の薄井政美氏が同年2月10日にアダルト動画サイト「マンゾクTV」でした「姫アグラ」の紹介は薬事法に違反する旨の放送を行いました。しかし、上記放送内容は根拠が不十分であり、上記放送は同氏の名誉を傷つけるものでした。

 よって、本局は、上記放送内容を取り消すこととし、同氏に対し、謝罪いたします。

特定非営利活動法人多摩レイクサイドFM

理事長 岡部 透

放送条件

 上記謝罪放送は、2日間連続して、番組「ニュースワイド多摩」の放送(1日4回)に近接する広告放送の時間帯に(合計8回)、40秒のCM放送の中で、聴取者が明確に聞き取ることができる速度で行うこと。



 東京高裁判決後の平成23年3月23日、矢野と朝木はウェブ版東村山市民新聞で〈「エロライター」裁判で、薄井市議が、東京高裁でまた敗訴!〉とするタイトルのもと次のような記事を掲載し、現在もほぼ同じ状態で残っている。

〈……市民新聞が「まるでエロライター、市議としての適格性がない」と厳しく批判したことを、薄井市議は「名誉毀損だ」として提訴した裁判で、地裁に続き、東京高裁は3月16日、この裁判の根幹である「まるでエロライター」等の記事は名誉毀損にはあたらないとして薄井市議の請求を棄却した。〉

 敗訴部分についてはわずかに〈高裁判決は、薄井市議の薬事法違反等の疑いについては認めなかった〉と触れただけで、100万円の支払いと謝罪放送が命じられたことには言及していない。矢野と朝木の敗訴であるにもかかわらず、事情を知らない市民が読めばまるで彼らが勝訴したと勘違いしてもおかしくないような一面的な記事である。

 この時点ではまだ確定判決でないとはいえ、誹謗目的ではなく真摯な問題提起だったのなら、「セクハラ」や「エロライター」との意見表明に対して東京高裁が疑義を呈した事実を明らかにすべきところだろう。また東京高裁判決が確定したのだから、いまだウェブ上に残っている記事も削除するのが常識的な対応といえるのではあるまいか。

 その矢野と朝木が判決確定に基づき、1月28日と29日に謝罪放送を行うという。「東村山市民新聞」事件で謝罪広告を命じられた矢野は、謝罪広告の隣にその内容を打ち消す内容の記事を配置した。その前歴からすれば今回、矢野が趣旨どおりの謝罪放送を行うかどうかは保証の限りではない。

(了)
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