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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「セクハラ市議」名誉毀損事件 最高裁判決後(その4)
 放送は〈第一審が最高裁の判例を踏まえ、「指摘した犯罪の疑いがあるとの事実の立証対象は犯罪の疑いの存在であり、犯罪の存在自体を証明する必要はないと解される」との判断〉をしたにもかかわらず、東京高裁は最高裁判例を無視して〈「犯罪の疑いの存在であろうが犯罪の存在自体であろうが、姫アグラに関する報道はインターネット版を含めた『東村山市民新聞』の記事およびFM放送について名誉毀損は成立する」とした〉と主張し、東京高裁の判断は違法(したがって彼らの上告を受理しなかった最高裁の決定も誤り)であると主張している。

 しかしこの主張は前回に述べた名誉毀損裁判の判断の経路を無視し、聴取者を混乱させるものである。「薬事法違反」(あるいはその疑い)と「職安法違反」(あるいはその疑い)に関する矢野と朝木の表現について一審は「薬事法違反の疑いがあるという法的見解の表明」、「職安法違反、又はその疑いがあるという法的見解の表明」であるとした上で、個別の表現について真実性・相当性を検討している。

東京高裁の認定

 では東京高裁は放送が主張するように「犯罪」と「犯罪の疑い」の線引きをしないまま判決を下したのだろうか。東京高裁が行った認定は以下のとおりだった。



1 インターネット版「東村山市民新聞」(平成19年8月7日配信分)

〈薄井「被疑」特集〉
〈法律家・研究者の方々の応援により急展開!〉
〈照準は、はっきりと、違法行為、犯罪既遂の事実です。〉

〈1 ソープ(本番=売春)は勿論、「性風俗」は全部「有害業務」(確定判決)
 2 「有害業務」の宣伝(求人など)は職業安定法63条2号違反の犯罪(懲役刑)〉

〈法が否定する「有害業務」を「職業」などと叫んだ薄井氏及び薄井擁護派は、これで完全に破綻です。それどころではありません。犯罪の疑いまで出てきたのです。〉

(上記記載に対する東京高裁の認定)

〈上記記載は、被控訴人(筆者注=薄井)が職業安定法63条2号違反の犯罪行為をした疑いがあるという法的な見解を表明するものである。……法的な見解の表明は、事実を摘示するものではなく、意見ないし論評の表明の範ちゅうに属するものというべきである。……

 前記意見表明は、被控訴人が職業安定法違反の犯罪行為をした疑いがあるとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるものであることは明らかである。〉=(「職安法違反の疑い」)



2 平成19年8月29日付「東村山市民新聞」158号

ア 〈問題は「犯罪」関与の疑惑に進展!〉
イ 〈調査の結果薬事法や職業安定法の違反をしているのではないか、という疑惑まで出ている。〉
ウ 〈薄井氏、セクハラどころか、ついに犯罪の疑惑が〉

(上記表現に対する東京高裁の認定)

 東京高裁は上記表現について「いずれも法的意見の表明に当たる」と認定するとともに、「薬事法違反」に関する意見表明の前提事実は「東村山市民新聞」に記載された〈この削除した動画の中には、この無許可無承認医薬品「姫アグラ」の効能にまで触れて薄井氏が宣伝をしていたのです。薬事法68条は無許可医薬品の「効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない」と定めています。〉との部分であると認定。その上で東京高裁は、「薬事法違反」に関する上記意見表明について次のように認定している。

〈……前記意見表明は、被控訴人が薬事法違反の犯罪行為をしたとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉(「薬事法違反」=「薬事法違反の犯罪行為」)

 また上記イ記載の「職業安定法違反」に関する「意見表明」について次のように認定している。

〈前記意見表明は、被控訴人が職業安定法違反の犯罪行為をした疑いがあるとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるものであることは明らかである。〉=(「職安法違反の疑い」)



3 多摩レイクサイドFM「ニュースワイド多摩」平成19年9月5日放送分

ア 〈調査の結果、薬事法や職業安定法の違反をしているのではないか、という疑惑まで出ています。〉
イ 〈薬事法68条は、無許可医薬品の効能効果または性能に関する広告をしてはならないと定めています。薄井氏、セクハラどころかついに犯罪の疑惑が浮上しました。〉

(上記表現に対する東京高裁の認定)

 上記表現に対して東京高裁は〈各表現は、……法的意見の表明に当たる。〉とし、その法的意見の前提事実が〈この削除した動画の中には、無許可無承認薬品「姫アグラ」の効能にまで触れて、薄井氏が宣伝をしていたのです。〉(アシスタント)、〈……薄井さん自身がこの姫アグラという違法ドラッグについて、効能ですね、こういう効果が現れるという……効能についてですね、とくとくと喋ってるんですね。宣伝しています。……〉(矢野の解説)であると認定している。

 その上で上記意見表明について東京高裁は次のように認定している。

〈……前記意見表明は、被控訴人が薬事法違反の犯罪行為をしたとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉(「薬事法違反」=「薬事法違反の犯罪行為」)



4 平成19年12月15日付「東村山市民新聞」159号

〈薄井氏が特殊性風俗宣伝のネット動画で「違法ドラッグ」を紹介したことなど、薄井氏の言動について違法の可能性がある〉

(上記表現に対する東京高裁の認定)

〈(上記表現は)意見表明である。……前記意見表明は、被控訴人が薬事法違反の犯罪行為をしたとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉(「薬事法違反」=「薬事法違反の犯罪行為」)



 以上が名誉毀損と結論付けた表現に対する東京高裁の認定である。「薬事法違反」については「薬事法違反の犯罪行為」、「職安法違反」については「職安法違反の疑い」を主張する意見表明であると認定したものと理解できよう。判決文からは、放送がいう〈東京高裁は最高裁判例を無視して〈「犯罪の疑いの存在であろうが犯罪の存在自体であろうが、姫アグラに関する報道はインターネット版を含めた『東村山市民新聞』の記事およびFM放送について名誉毀損は成立する」とした〉という事実は読み取れない。

(つづく)
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