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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「セクハラ市議」名誉毀損事件 最高裁判決後(その8)
ずれてきた焦点

 放送が「薄井は職安法63条2号違反の共同正犯あるいは幇助犯という犯罪者である(疑いが強い)」と主張する根拠の後段をみよう。後段では前段からさらに踏み込んで「薄井が取材あるいは執筆等によって求人誌ゆかいライフの作成頒布に関与した」との事実を論証(=立証)しようとしているものと理解できた。



(放送が説明する「薄井が職安法63条2号違反の共同正犯あるいは幇助犯という犯罪者である(疑いが強い)」根拠=以下、後段)

⑤薄井さんが株式会社クリエイターズカンパニーコネクションに入社直後、株式会社シーズ東京に出向した2004年9月から2006年9月までの期間に、この求人誌ゆかいライフを作成頒布したシーズ東京社がいまだ摘発を受けていないとしても、取材や記事の執筆を担当したのであれば、職安法63条2号に違反する文書募集の共同正犯、少なくともその幇助犯の疑いがあることになりますから、問題は薄井さんがシーズ東京社で取材や記事の執筆を担当した疑いに根拠があるかどうかです。



 放送は⑤において、薄井に「職業安定法違反の疑いがあるかどうか」は「シーズ東京社で取材や記事の執筆を担当したかどうかである」と規定している。1回聴いただけでは聴き逃す可能性が高いと思われるが、「職業安定法違反」が疑われる前提条件の幅が微妙に広がっていた。職業安定法違反の可能性があるとされているのはシーズ東京社の発行物全般ではなく同社の発行物の中でも求人誌ゆかいライフに限られる。したがって「シーズ東京社で取材や記事の執筆を担当したこと」イコール「ゆかいライフの取材や執筆を担当したこと」ではないのである。

 いよいよ薄井の「職業安定法違反」の真実性・相当性に踏み込もうとする段階になって、放送は関与の対象を何の説明もなしになぜ「ゆかいライフ」ではなく「シーズ東京社」へと広げるのだろう。これは不可解なことではあるまいか。

 続く放送の説明を聞こう。



⑥薄井さんは裁判の当初、「シーズ東京社の名刺は持たされていましたが、名刺は業務の都合上持たされていただけである。シーズ東京に勤務していない」などと職安法63条2号に違反する疑いの強いシーズ東京社には勤務したことはないと否認し続けていましたが、その後、本人尋問で最終的にこれを翻して、「シーズ東京では対外的広報活動のみに従事し、取材または編集は担当していない」と言い換えました。違法な疑いの強い求人誌ゆかいライフの取材や編集は職安法63条2号に違反する疑いが強いので、シーズ東京社には勤務したが、記事取材や編集には関与していないと強く言い張ったのです。

⑦ところがこの点について第一審判決は重大な事実の認定をしています。第一審は、薄井さんがクリエイターズ社に入社直後、株式会社シーズ東京に出向したあと、同社に入社してから書き始め、内外タイムスに連載した売春などを紹介する日刊マンゾクニュースの記事を出向したあとの2004年11月1日、「風俗マスコミ最前線」という名称の個人ブログを開設し、これに再掲載したと事実の認定をしましたし、そして薄井さんご自身もこのことを認めたのです。



 ⑥の説明によれば、あたかも薄井が事実に反してシーズ東京において取材や編集をしていないと虚偽の説明をしたかのように聞こえる。しかし、そもそも薄井がシーズ東京で取材や編集をしていようがいまいが、そのことと「職安法違反」の対象と主張する求人誌ゆかいライフの取材や執筆をしたかどうかはまったくの別問題なのである。

 しかし聴取者が1回聴いただけで、放送が主張する薄井の「職安法違反」の対象がシーズ東京なのか、シーズ東京の業務のうちの1つである求人誌ゆかいライフなのかの判断ができるとも思えない。むしろここでも放送が、関与の対象を徐々に広げようとしているのではないかとの疑念を抱かせる。論点をすり替えようとしていると言い換えてもよかろう。

巧妙なる混同

 続く⑦では薄井が開設していた個人ブログを持ち出し、薄井がそのブログに日刊マンゾクニュースの記事を再掲載したと東京地裁が認めたことが「重大な事実の認定」であるという。「重大な事実の認定」とはどういうことなのか。放送は次のように続ける。



⑧ということは、職安法63条2号に違反する疑いの強い取材や編集はしていないと強く主張した薄井さんのご主張にもかかわらず、他方では薄井さんご自身が株式会社シーズ東京に出向し、違法な売買春の記事として執筆し、公表した事実があることがはっきりしたのです。



 東京地裁が⑧のような認定をした事実はない上に、⑧が主張しているのは求人誌ゆかいライフではなく「シーズ東京で記事を執筆した」とする事実にすぎない。立証対象が「職安法違反」から遠ざかっていることがわかろう。聴取者からすれば、「シーズ東京」と「求人誌ゆかいライフ」の位置付けを混同してしまうのではあるまいか。その上で放送は次のように結論付ける。



⑨ということは、薄井さんは裁判の最後までシーズ東京社ではたんに対外的広報活動のみに従事しただけで取材または編集は担当していないと言い張ったのですが、実際にはシーズ東京社で職安法63条2号に違反する疑いの強い取材や記事の執筆をしている事実がはっきりしたのですから、違法な求人誌ゆかいライフの取材や記事の執筆を担当した疑いに根拠があることになりました。



 ⑨において、放送が「シーズ東京」と「求人誌ゆかいライフ」を完全に混同させてしまっていることがわかろう。「求人誌ゆかいライフ」は「シーズ東京」の数ある業務の中の1つであり、仮に「職安法違反」が疑われたとしてもその対象は「求人誌ゆかいライフ」に限られる。したがって「シーズ東京」の業務と「求人誌ゆかいライフ」の業務を同列に論じようとしている点において放送の主張は誤りということになる。

 東京高裁の確定判決をあらためて確認すると、東京高裁がシーズ東京と求人誌ゆかいライフを明確に区別して判断していることは明らかで、放送の主張内容との違いは歴然である。確定判決は次のように認定している。



(「職安法違反」に関する確定判決の認定)

 上記①及び②の各事実(筆者注=薄井が別の雑誌で「ゆかいライフ」解説員として紹介されていること等)に被控訴人(筆者注=薄井)が特殊性風俗情報誌「マンゾク」及び求人誌ゆかいライフを発行するシーズ社に勤務していたことを加えても、被控訴人がシーズ社で求人誌ゆかいライフの取材又は編集の業務に関与していたことを認めるには足りず(その疑いがあることを認めるにさえ足りない。)、他にこれを認めるに足りる証拠はない。



 放送の主張と確定判決のどちらに合理性があるかは明らかである。「薄井は職安法63条2号違反の共同正犯あるいは幇助犯という犯罪者である(疑いが強い)」とする放送の主張に根拠があると認めるのは難しいのではあるまいか。

(了)
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