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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第13回
絶妙の尋問

 講談社と朝木側の初会合の席で矢野が「(朝木のコメントについて)言った言わないの話にはならない」と回答したとする乙骨正生の証言を全面的に否定した朝木に対し、創価学会代理人は続けて、乙骨が講談社に有利な証言をした理由について思い当たるところはないか聞いた。これに対して朝木は小坂と同様に、「講談社との仕事上の関係ではないか」と述べた。

 ただ創価学会代理人にはもう1点聞きたいことがあったようだった。経験豊富な代理人は妙なことを聞き始めた。朝木と乙骨との関係にやんわり言及したのである。



(朝木が供述した乙骨との関係) 

創価学会代理人  (講談社との仕事上の関係のほかに)何か特に(あなたと)乙骨さんと利害が対立しているとか、何かそういうことがあるんですか。

朝木  1度、乙骨さんのお書きになった本(筆者注=『怪死』)があったんですけれども、その中でちょっと配慮を欠いた部分がありましたので、その部分を訂正していただいたことがあります。ですので乙骨さんはこちらに対してそのことを根に持つというか、そういう気持ちはあるかもしれませんが、私は推測であまりこれ以上は申し上げることはできません。

代理人  乙骨さんというのは、よく創価学会の批判記事を書いてる人ですよね。

朝木  はい。

代理人  現在もそうなんだけれども。何か今あなたがいわれたようなことを根拠に、ああいう事実と違う陳述書を出したと、こういうことになるわけですか。

朝木  いや、ですので私はなぜかわかりませんので、ここでちょっとそういうふうな決めつけるようなことは申し上げません。



 乙骨は『怪死』で「朝木明代の転落死には創価学会が関与した疑いがある」と主張し、朝木らのデマを代弁するとともに、デマを世に広める重要な役割を果たした。「東村山デマ」を妄信する者たちは現在もなお『怪死』をその有力な資料としている。

 その『怪死』の出版後に朝木らと乙骨の間に何が起きていた第三者が知りうるはずもなく、まして『怪死』の表現をめぐって朝木が乙骨にクレームをつけたことなど、本来なら朝木が話す必要はまったくない。ところが朝木はこの日、創価学会代理人の問いかけに外部に知らせる必要のない内情をあっさりさらしたのだった。それほど乙骨の証言を否定することに必死だったのだろう。

乙骨が漏らした本音

 しかも乙骨に対する朝木のクレームのつけ方は、朝木が「そのことを根に持つというか、そういう気持ちはあるかもしれません」というほどのものだったことがうかがえる。著書の内容についてたんに誤りを指摘された程度で、法廷で事実に反して相手方に不利な証言をするほど根に持つとは普通は考えにくい。法廷で対峙した朝木には、乙骨の反応が決して穏やかでなかったことを実感していたのだろう。

 朝木と矢野が乙骨にクレームをつけた『怪死』の「(矢野と朝木に対して)ちょっと配慮を欠いた部分」には以下の箇所が含まれると聞いている。



〈朝木さんに対しても「万引き常習者」だの「家族揃って万引きをしている」などと、それこそ根も葉もない誹謗中傷が加えられているが、そうした誹謗中傷の極めつけにあるのが、W不倫情報。

 朝木さんと矢野さんは、以前からW不倫関係にあり、二人が性交渉していた声が、事務所から漏れていたなどとの噂が、東村山市内では、創価学会・公明をはじめとする反「草の根」グループからまことしやかに流されているのである。〉



 朝木によれば、これらの箇所について朝木らは乙骨に対して法的手段によって削除を要求した。乙骨は噂の存在を示した上でそれを完全に打ち消す方が彼らの利益になると判断したわけだが、朝木らは「噂」の中には動かしようのない事実やあまりにも生々しい話も含まれており、噂の存在を記載すること自体が「配慮を欠くもの」と判断したということだった。

 朝木にとって噂自体が許せないということだったのだろう。乙骨が記載した「噂」のうち、少なくとも明代が平成7年6月19日に万引きという犯罪を犯したことは事実だった。だから朝木は法的手段に訴え、削除を要求したのではあるまいか。彼らのそれまでの関係の深さからすれば、当初は話し合いがあったと推測されるが、朝木らが引き下がる気はなかったはずである。

 最終的に乙骨は矢野と朝木の要求を受け入れた。しかし乙骨は、仮に朝木の「配慮を欠いている」とする主張を理解したとしても、彼らに対する見方が大きく変わったのではないか。そう思われる具体的な話も漏れ聞こえてきた。『怪死』を出版して1年もたたないころ、乙骨は周囲にこう漏らしていたという。「もう東村山には行きたくない」と。

「ジャーナリストとしての信頼」

 ただもちろん、朝木らと乙骨の関係が変質していたとしても、『週刊現代』裁判で乙骨が事実に反して朝木が不利になるような証言をしたということにはならない。乙骨の証言が講談社側出席者の認識に一致している点からしても、乙骨は事実をありのままに証言したとみるべきだろう。担当者は乙骨証言の内容が事実であると述べるともに、次のように述べている。

〈乙骨氏が講談社のためにウソの陳述をしたとしたら、ジャーナリストとしての信頼は失われ、それこそ仕事がこなくなります。〉

 講談社と朝木側の初会合の席で朝木側がコメントについて「言った言わないの話にはならない」と明言した事実を乙骨はありのままに証言した。講談社にとって乙骨は「ジャーナリストとしての信頼」が失われることはなかったことになる。

 しかし乙骨は朝木がコメントの事実を否定し、初会合の席に乙骨はいなかったと虚偽の供述をするに至る経緯の中で、自分自身に対する「ジャーナリストとしての信頼」がぐらつくことはなかったのだろうか。普通の感受性の持ち主なら、朝木が『週刊現代』におけるコメントを否定した時点で、それまで自分がさんざん取材を重ねてきた相手の主張が虚偽に満ちたものではなかったかと疑問を持ち、『怪死』の内容についても少なくとも見直す必要があると考えてもなんら不思議はない。

 しかし乙骨が、朝木が『週刊現代』のコメントを否定したことについて疑問を呈したことはなく、乙骨が会合に出席していたことを虚偽の証言によって否定した事実を公表したこともない。もちろん『怪死』の内容についてなんらかの反省を述べたことはただの1度もない。

 少なくとも、朝木が『週刊現代』の取材も受けていないなどと虚偽の主張をしたことについて何も疑問を持たないはずはあるまい。そのことを乙骨が自発的に批判しないのは、自分自身にとってもきわめて都合が悪いということを理解しているからにほかなるまい。

 乙骨はかつて講談社に対しては「ジャーナリストとしての信頼」を維持したかもしれない。しかし読者や自分自身に対しての信頼はいまだ失われたままである。

(つづく)
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