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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第16回
「意味不明」の書き換え

 平成8年1月25日に行った打ち合わせで、朝木側は講談社の準備書面原案の「被告朝木大統、直子が週刊現代編集部の取材に際して記事中で引用されている各発言を行った事実は認めるが……」とする認否の部分について認否をしないよう要請し、講談社はこれに応じた。

 ところが朝木側が修正を求めたのはこれだけではなかった。それから3日後、朝木側はさらに、今度は口頭ではなく文書によって原案の以下の見出しについて修正を求めたのである。



(原案の見出しと朝木側の要請によって修正された見出し)

〈故人の夫と娘とが故人は創価学会に殺されたと述べている事実〉

(修正後)
「故人の夫と娘とが、故人の死亡に原告教団関与の疑惑を指摘した事実」

〈これを原告教団による殺害であるとする遺族側の見解〉

(修正後)
「この死亡に原告教団関与の疑惑を指摘する遺族側の見解」



 ――朝木らは「創価学会が関与した疑惑」ではなくストレートにコメントし(「明代は創価学会に殺された」)、『週刊現代』はそのまま掲載した。さらに創価学会から提訴された後、コメントの存在について朝木側は「言った言わないの話にはならない」と明言している。その状況で朝木はなぜこのような書き換えを要請してきたのか。

 担当者は朝木側の意図をいぶかると同時に「意味不明」と評している。何より担当者は、朝木のコメントの事実と朝木への信頼から、なぜあえて「殺人」から「関与した疑惑」に変える必要があるのか理解できなかったのではあるまいか。また「明代の死亡に原告教団が関与した疑惑」と言い換えたところで、表現そのものが間接的になるだけで、その意味するところに変わりはなかった。

 講談社は朝木のコメントを前提にして裁判を争おうとしていた。しかしこの書き換えの要請をみるかぎり、朝木側としては内心では問題のコメントの違法性は免れないと考えていたことは十分に察することができる。それから3年後、朝木は尋問で、講談社側がこの書き換えを了承したことを根拠に、朝木が当時すでに講談社側に対して「コメントはしていない」ことを伝えており、講談社側はそのことを承知していたと主張したのだった。

 最初の会合の際、乙骨正生(講談社側代理人から「言った言わないの話にはなりませんね」と聞かれて矢野が「そういうことにはなりません」と答えたことを証言)がその場にいたかどうかを聞かれた朝木は、〈先生は(平成8年)1月25日の会談のときにも準備書面を書き換えて下さってるじゃないですか。確認して下さい。〉と、準備書面書き換えの話を持ち出した(本連載第12回)。「その時点ですでにコメントはしていないことを伝えていた」と主張する根拠として書き換えの件を持ち出したのである。朝木は準備書面の書き換えを要請した時点でハシゴを外すことを考えていたのだろうか。

配慮を逆手に

 尋問で朝木がさらに持ち出したのが、講談社が朝木の要請に従って認否の箇所を修正した事実だった。上記2箇所の見出しの修正については、矢野と朝木は文書で訂正を要請しているが、認否を削除した経緯について朝木は、打ち合わせの際に朝木代理人が口頭で削除の要請を行い、削除してもらったと述べている。認否の箇所については代理人が口頭で削除を要請しただけで、文書で要請するまでもなく講談社側はすぐにその要請に応じたといっているわけである。

 すなわち朝木は、講談社側が口頭での削除要請にすぐに応じたのは、朝木がすでにコメントの事実がないことを講談社側に伝えてあり、講談社側もその事実を認めていたからだと主張しているのだった。口頭であろうが文書であろうが、削除・訂正を要請した事実に変わりはなく、たとえそれに応じたからといって講談社が「コメントはしていない」とする朝木の主張を事実として受け入れていたということにはなるまい。

 準備書面書き換えの客観的経緯は、講談社が朝木側から口頭と文書(ファックス)で書き換えを要請され、朝木を信用していた講談社はそれに応じただけのようにみえる。その話が朝木の供述では、いつの間にか「講談社はすでに朝木がコメントの事実を否定していることを知っていたがゆえに書き換えの要請に応じた」ことに変質していた。矢野と朝木が尋問に臨むにあたり、講談社側の配慮を逆手に取り、いかに巧妙に彼らに有利なストーリーを作り上げようとしていたかがわかるのではあるまいか。常人にはなかなか真似のできる業ではない。

 法廷での講談社代理人と朝木の以下のやりとりを具体的にみれば、「コメントの存在」に関する講談社代理人の認識が朝木の主張とは大きく異なっていたことがよくわかろう。



(認否の書き換えに関するやりとり)

講談社代理人  請求原因の認否をしないで、手続き問題、あなた方のいう当事者適格で争いたいというので、請求原因の認否は絶対にしないでくれという話だったんで、それはできないと。講談社はそういう方針では争えないということをその場で申し上げたことはありませんか。

朝木  それは事実と違うと思います。

(見出しの書き換えに関するやりとり)

講談社代理人
  故人の夫と娘とが故人の殺害に原告教団関与の疑惑を指摘したというような修正を入れてくれという、中田先生から連絡があって、表現を和らげてくれという連絡があって私が変えたんです。故人の殺害、要するに明代さんの殺害に原告教団関与の疑惑を指摘したと、これはどういう意味ですか。あなたは何を指摘したんですか。

朝木  私は何回も申し上げておりますけれども、私たちが申し上げたのは、疑惑を基礎付ける事実をいくつか、記者の方にお話をしたという趣旨です。



 講談社代理人の発言に不自然な点はいっさいなく、いずれも当時、代理人がコメントの存在が否定されることなどまったく想定していなかったことがわかろう。最初の会合でまずコメントの事実を再確認した事実からみても、準備書面の一部を書き換えてほしいという朝木の要請がコメントを否定する意図であることを講談社代理人が知っていたとすれば、黙って準備書面を修正するはずはないと思われた。

 さて、朝木側が準備書面の書き換えを要請してきたことにやや違和感を覚えた担当者は、同年8月27日に東京弁護士会館で行った打ち合わせの際には朝木側に対して不信感を持ち始めたという。朝木側が何の連絡もないまま30分以上も遅刻してきたのである。

 遅れることはあったにせよ、朝木はなぜ連絡もしなかったのか。すでにその20日前の8月7日、矢野と朝木は『聖教新聞』に対する訴状(「コメントはしていない」と主張)を提出していたのである。もちろん担当者も講談社代理人も、そのことを知らされてはいなかった。

(つづく)
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