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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第18回
想定を超えた相手

 朝木直子に対する尋問は平成10年11月8日に主尋問、同年12月7日に1回目の反対尋問(講談社からの反対尋問)、平成11年2月15日に2回目の反対尋問(創価学会側からの反対尋問)の計3回行われた。この間、原告の創価学会とともに相被告である講談社側も反対尋問を行った。

 反対尋問とは、原告であれ被告であれ、自らの主張に相反する当事者の主張に対してその真実性や正当性をただし、結果として自らの主張の正当性を主張しようとするものである。したがって被告の間には利害対立がないのが普通と思われるが、この裁判では被告である講談社側が相被告の朝木に対して反対尋問を行った。

 講談社側は、問題の『週刊現代』発行当時、いかに両者の関係が良好で、「そんなコメントはしていない」などと抗議されたこともない事実を確認しようとした。しかし、これに対して朝木は最後まで取材と発言の事実を認めず、シラを切り通した。主張の不自然さもさることながら、ここまで嘘をつき通せること自体が驚きだった。傍聴席では矢野穂積がときおり満足げな笑みを浮かべていた。

 尋問が終了し、千葉とともに法廷を出てエレベーターホールに向かうと、そこに講談社の2名の代理人弁護士もいた。その表情はなにか冴えないようにみえた。

 かつては協力関係にあった相被告が、『週刊現代』を利用するだけ利用すると裁判の途中で裏切り、「そんなコメントはしていない」としてすべての責任を『週刊現代』に押しつけたのだ。どんなに証拠を示しても朝木はその不実きわまる主張を曲げなかった。また裁判ですぐに「コメントはしていない」と主張しなかった理由についても「講談社側に配慮した結果」とうそぶいた――。講談社の弁護士としては、ここまで嘘をつける人物が存在していたことに戸惑っていた面もあったのではあるまいか。

 そのうちエレベーターがやってきて、私と千葉は講談社の代理人といっしょに乗り込んだ。エレベーターの中には私たち4人しかしない。私たちは奥の方に、講談社の代理人はドア側に立っていた。すると先輩格の弁護士が、朝木に対する反対尋問を行ったもう1人の弁護士にこう話しかけた。
 
「今日の朝木直子の証言は講談社のためにしてくれたようなもんだね」

 明らかな過去の自分の行為を平気で否定する難しい相手を追及した後輩への労いの言葉でもあったろう。尋問で代理人は朝木に発言があったことを認めさせることはできなかった。しかし総合的にみると、発言が確かにあったこと、朝木がその責任から逃れようとしていることを歴然と、しかも醜悪なかたちで印象付けられたのではないかという趣旨と思われた。つまり裁判官の心証は朝木に対してより悪くなり、それによって講談社の責任は相対的に軽減されると。

 確かに傍から見ていると、朝木が次々と事実を否認していく経過は悪質そのものであり、彼らの発言をそのまま活字にした講談社が、うまく利用されたあげく裏切られただけであるかのような錯覚を覚える瞬間があった。それを講談社に対する同情と言い換えればよりわかりやすいかもしれない。講談社の代理人があえて2名の部外者がいる前で語ったのは、つまりはそういうことではなかったか。

 このベテラン弁護士は、エレベーターに乗り合わせた敵か味方かわからない素人2名に対しても、朝木の供述が裁判でどういう意味を持つのかあえてレクチャーしてくれたのだろう。しかし、仮に朝木の供述が講談社との関係で意味を持つものだったとして、講談社と創価学会との関係に影響を与えるかどうかはきわめて不透明であると思われた。

 その一方で矢野は数日後、朝木の供述について私に対して満足げにこう言い放った。

「この前の朝木さんの証言はよかっただろう?」

 可能な限りデマ宣伝の媒体として利用し、デマの責任を問われることを予感するや、いっさいの関与を否定するなど、そうそうできることではない。矢野と朝木はいとも簡単に『週刊現代』を裏切っただけでなく、それを悪びれるどころか自画自賛しているのだった。講談社にとって矢野と朝木が想定をはるかに超える相手だったことは間違いあるまい。

講談社の憤り

 尋問終了後に提出した最終準備書面で講談社側は朝木の姿勢について次のように心情を吐露した。


 
(最終準備書面における講談社の主張)

 残念なことに被告朝木大統、直子両名は、本訴において本件報道の正当性を主張し原告創価学会の企てた表現の自由への重大な侵害、言論妨害と正面から闘うことを放棄し、「そんなことはいっていない」という責任のがれに終始してきた。当法廷における被告直子の不誠実なそして不自然な証言にはなりふりかまわぬ責任のがれ以外の何ものも見出すことはできないものであった。

……

 被告直子らが背信的な虚偽の主張を掲げるに至った1996年9月9日までの間、被告直子らもその代理人も信頼していたし、共に原告創価学会の言論妨害と闘う同志として意識して行動してきた。それは何よりも当初の「びっくりドンキー」における会合において、また東京弁護士会館における第1回目の会合においても、「述べていない」などということは言わないという確認が示されたからである。「びっくりドンキー」における乙骨正生氏の同席までも否定する嘘を重ねた被告直子の証言は一体どこから来るものか。……被告朝木らの証言は虚偽を重ねたものである。



 朝木と矢野に対する講談社側の思いは、実際にはこれ以上のものがあっただろうことは想像に難くない。

(つづく)
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