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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

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少年冤罪事件 第4回
逆恨みを恐れた「目撃者」

 もちろん、少年の身元を知ったというだけでは少年を暴行事件の犯人と特定する客観的な証拠となり得ないことについて矢野も十分に認識していたから、矢野は若者グループの1人と矢野がいう人物に法廷での証言を依頼している。しかし、その若者は矢野の申し出を断った。その理由について矢野は、「逆恨みを恐れたため」であると主張し、電話での会話記録を証拠として提出している。「逆恨みを恐れた」こと自体が、「犯人を突き止めた」証拠であると矢野は主張したいようだった。つまり、若者が「逆恨み」を恐れる相手は少年であると矢野は主張しているのだが、それは事実だったのか。実際の電話での会話は次のようなものだった(矢野の電話の相手は、若者の母親だった)。

矢野 裁判所にも「逆恨みされる可能性がある」ということで、むずかしい、というお話をされたみたいですが。
――ええ。
矢野 やっぱりそういうふうなことが原因になりますか。
――やっぱりねえ。
 
 この会話記録をみるかぎり、若者が「逆恨みされる可能性がある」といったのは矢野ではなく裁判所に対してであり、逆恨みを恐れたのは少年ではなく、矢野である可能性もあったということになる。

 矢野が「逆恨み」される相手が少年であると主張する前提には「若者グループは犯人を突き止めた」(当然、その「犯人」とは当の少年でなければならない)とする事実があるはずだが、そもそもそのような事実はあったのか。事件当夜、東村山署は「事件」現場で若者グループからも事情を聴いている。するとグループの1人は、「犯人」の背格好や「犯人」の髪が長髪だったことは証言したものの、「犯人」の顔については「見ていない」としか答えていなかった。事実関係からみるかぎり、若者が法廷での証言を拒んだのは、見てもいないものを見たとは証言できない、というのが本当の理由だったのである。

 仮にこの若者が法廷で証言すれば、それは証言の依頼者である矢野にとって不利なものとなる。とすれば、「逆恨みされる可能性がある」と若者が考える相手は、少年ではなく矢野だったと考えるのが自然だという結論になる。若者は連絡の相手が裁判所だったからこそ、正直に自分の気持ちを伝えたのだろう。ところが、矢野は「逆恨みされる可能性がある」といった若者の言葉を逆手に取り、それが少年に向けられたものであると強引にこじつけようとしたものと推測できる。矢野の代理人はこの電話での会話を利用して少年にこう尋問している。

代理人 彼女が、前回も今回も呼ばれて来なかったんですけれども、出廷を拒否している理由をご存じですか?

少年 知りません。

代理人 矢野さんが、今日出てくれと連絡したんですけれども、あなたに逆恨みされるから出たくないと。

少年 そういうふうにいったんですか?

代理人 矢野さんが、彼女のお母さんに、どうしても難しいんですかと聞いたんですよ。何かお話によりますと、「裁判所にも、『逆恨みされる可能性がある』ということで、むずかしい、というお話をされたみたいですが」と、「ええ」と、「やっぱりそういうふうなことが原因になりますか?」と、「やっぱりねえ」と、そう答えているんですよ。

少年 お母さんがですか?

代理人 あなたが犯人だからということじゃないですか?

少年 …………意味がわからないです。

代理人 顔見知りのあなたに、出てきて真実をしゃべったら逆恨みされるということは、あなたが犯人だということをいってるんじゃないですか?

少年 僕にいってもわかりません。

 暴行事件などまったく身に覚えのない少年にとって、この会話の「意味がわからない」というのはきわめてまっとうな感覚である。それまで会ったこともない少年をいきなり警察に突き出したあげく、「犯人の顔を見ていない」といっている目撃者の何の意図もない言葉を少年の追及に利用した矢野とその代理人の尋問は、事実ではなく発言のこじつけと曲解によって現実的な犯罪事実を生み出そうとするきわめて犯罪的なものというほかなかった。


(第5回へつづく)

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