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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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太田述正事件 第8回

東京地裁は太田の主張を全面的に排斥

 記事による名誉毀損の存否が争われる裁判では、記事に書かれた内容が真実であったか、あるいは真実と信じるに足りる相当の理由があったかが争点になることが多い。しかしこの裁判では、被告である太田は「原告が問題とする部分は『要約・紹介』にすぎないから違法性はない」とし、当初から真実性・相当性の立証をする必要がないとする意思を明らかにしていた。したがって、裁判所が立証の必要があると判断した場合には太田の敗訴は確実となる。この点について東京地裁はどう判断していたのか。

 平成16年5月9日に開かれた第1回口頭弁論から4カ月後の同年8月31日に開かれた第3回弁論準備手続のあと、裁判官から原告・被告双方に対して和解の意思があるかどうの確認が行われた。一般に裁判所が和解を持ち出す場合、原告有利と考えていることが多い。わずか3回の口頭弁論ですでに裁判官は太田の主張には無理があると考えていたフシがうかがえた。

 裁判官から和解に応じるつもりがあるかと聞かれた太田は、「原告を創価学会員と誤認した点については非金銭的な方法であれば応じる用意がある」と答えたという。ホームページでの謝罪・訂正のことである。これに対して裁判官は和解金について切り出した。以下はそのやりとりである。

裁判官  和解金を支払うつもりはないのか。

太田  昼飯代くらいなら考慮できる。

裁判官  昼飯代とは1万円ぐらいか。

太田  フレンチのランチ代ではあるまいし、1万円は昼飯代としては高すぎる。

――和解が成立する場合には和解金の額は認容額よりもいくらかは安くなるのが普通だが、太田は状況をどう理解していたのだろうか。「『他殺』の事実を曲げて『自殺』として処理した」と断定した部分についてはなんらの非も認めず、「1万円も払う意思はない」というのでは、140万円の損害賠償を請求していた千葉が和解を拒否したのもやむをえまい。東京地裁はこの日をもって弁論を事実上終結した。

 判決が言い渡されたのは平成18年12月26日。東京地裁は太田コラムによる名誉毀損の成立を認定し、太田に対して50万円の支払いを命じる判決を言い渡した。東京地裁は判決で太田の主張した主な論点について次のように述べた。

①「原告が問題視している箇所は他人の著作物の引用紹介である」

〈一般読者の普通の注意と読み方とを基準として解釈した意味内容に従えば、東村山警察署で本件事件の捜査及び広報の責任者を務めていた創価学会員である副署長らは、公僕としての義務よりも創価学会への忠誠を優先させ、本件窃盗事件を捏造し、本件転落死事件の隠ぺい工作を行ったとの事実を摘示したものと認められる。〉

〈本件記事は、その記述の内容、表現方法等に照らせば、本件書籍が存在していること及びその内容を正しく紹介するにとどまるも期ではなく、本件書籍において記述されている事実が、あたかも客観的に存在する真実であるかのように指摘するものであると認められるところ、本件記事において摘示された事実がその重要な部分において真実であるとの主張はない。〉

 なお、太田が主張した「相当性」について東京地裁はこう述べた。

〈被告は、本件書籍が公選された公務員2名が執筆した公刊書籍であること、本件書籍が絶版とされておらず現在においても流通していることを根拠として、本件記事において摘示した事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があると主張する。
 しかし、現在も流通しており、かつ、公選された公務員が執筆した公刊書籍の記載内容が真実であるということについて、社会通念上、高い信頼が確立しているとまではいうことはできないから、このような書籍に基づくとの一事によって、直ちに、その記載内容を真実と信じたことに無理からぬものがあるとはいえない。〉

 ついでにいえば、『東村山の闇』の著者である公選された2人の公務員が太田のように正直ではないこと、それどころか彼らこそ市民を罪に陥れ、被害者を脅してまで明代の万引きを苦にした自殺を隠蔽しようとした事実は多くの裁判記録からも明らかである。

④判例

〈被告が引用する判決は、他人の著作物に関し、その執筆姿勢を批判する内容の論評についての名誉毀損が問題となった事案において、その前提としての引用紹介が全体として正確性を欠くとまではいえないとして、当該論評に名誉毀損としての違法性があるということはできないと判示したもので、本件とは事案を異にするから、この点についての被告の主張は独自の見解というほかなく、これを採用することはできない。〉

⑤「私は原告の社会的評価を低下させていない」(千葉への誹謗はすでにインターネット上などに多く出回っていたから、コラムによって千葉の社会的評価を低下させるものではないとの主張)

〈本件記事の掲載当時、原告について上記の指摘(インターネット等での誹謗)がされていることが広く一般に知られていたものとまでは〉いえない。

 ――太田の認識はともかく、東京地裁の判断はいずれもきわめて常識的なものと思われた。


(第9回へつづく)

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テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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