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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第26回
報道を期待していた朝木

 東京地裁は「取材は受けておらず、コメントもしていない」とする朝木の主張を否定し、『週刊現代』が掲載したとおりのコメントをしたものと認定した。記事の名誉毀損が認定された場合に朝木父娘がコメントをしたと認定されれば当然、朝木父娘にも不法行為責任が及ぶものと誰もが予想していた。

 矢野と朝木は、具体的な表現は異なっていたとしても、『週刊現代』以外のメディアに対しても「明代は殺された」と主張し、「創価学会の関与」をほのめかし続けていたし、彼らには「他殺」あるいは「他殺の疑い」と報道されることを期待するだけの理由があった。矢野には、明代が犯した万引きと万引きを隠蔽するために矢野自身が関与したアリバイ工作という犯罪を露顕させないためという自分自身の保身に関わる理由があり、朝木にとっては実の母親が犯した万引きの事実だけは否定したかった。

 朝木と個人的にも親しかった乙骨正生の『怪死』には、〈朝木さんに対しても、「万引き常習者」だの「家族揃って万引きをしている」などと、それこそ根も葉もない誹謗中傷が執拗に加えられている〉とする記載がある。明代の万引きを苦に自殺したことが世間に知られれば、乙骨のいう「誹謗中傷」がまんざら嘘でもなかったことが明らかになってしまうのである。実際、窃盗容疑で書類送検された明代は死亡したため不起訴となったが、東京地検は明代の万引きについては事実だったと認定している。

 矢野と朝木が明代の万引きとそれを苦にした自殺を否定するには東村山署副署長千葉英司がマスコミの取材に対して「事件性はない」とする判断を示していたことほど目障りなものはなかったはずである。矢野と朝木のメディアへの対応をみる限り、東村山署の見立てを打ち消すためにもメディアを味方につけ、「他殺説」を宣伝したかったように思える。

 もちろん『週刊現代』に対する思いも同じだったろう。だからこそ記事が発行された際、朝木はデスクに対して「よくここまで書いてくれましたね」と礼まで述べていたのである。だから、創価学会に対する名誉毀損の度合いは編集部と同等であり、当然、責任も同等であると私は考えていた。

東京地裁が示した判断基準

 朝木が『週刊現代』にコメントしたことが名誉毀損の不法行為を構成するか否かについて判断するにあたり、東京地裁は以下のように論点を示した(要旨)。

――一般に雑誌記事の編集権は出版社にあり、採用不採用を含めてコメントの使い方は出版社が判断・決定するものである。一方、取材された側は通常、発言内容がそのままの形で雑誌に掲載されるとは考えない。したがって、仮に被取材者に第三者の社会的評価を低下させる発言があったとしても、その発言を資料として作成した記事の公表によって生じた名誉毀損との間には原則として相当因果関係はない。

 しかし、取材を受けた者が出版社と意思を通じ、自らの発言がそのまま雑誌に掲載されることを承知した上で第三者の社会的評価を低下させる発言をしたというような特段の事情が認められる場合には「相当因果関係を認めることができるというべきである」――と。

 その上で東京地裁は、朝木と『週刊現代』の関係について次のように述べた。



(朝木らに対する東京地裁の判断 1)

 本件取材当時、被告朝木らは被告講談社の発行する週刊現代の記者の取材であることを認識しつつ、……自らの発言内容の一部が右雑誌記事に掲載されるかもしれないことについて、被告朝木らがその認識を有していたことは推認できるものの、それ以上に、自らの発言をそのまま右雑誌記事に掲載することにつき、被告朝木らがあらかじめ被告講談社と意思を通じていた事実については、本件全証拠によってもこれを認めるに足りない。



 東京地裁はこう述べて、朝木らがコメントしたことと掲載された記事との間の相当因果関係を否定したのである。とりわけ大統については、〈同被告の自宅を訪問した○○記者の取材申込みにたまたま短時間応じたに過ぎない〉とした。

裁判所に救われた朝木

 ただ大統とは異なり、取材に積極的かつ好意的に応じて記者と親密な関係を作り上げ、記事発行後には担当者に礼まで述べていた朝木直子の取材対応に対する東京地裁の評価は異なっていた。裁判の途中から「取材を受けておらず、コメントはしていない」と主張してきた朝木の『週刊現代』に対する姿勢について東京地裁は次のように述べた。

〈被告直子については、本件取材当時から、朝木市議の遺族として朝木市議の死亡に原告が関与しているのではないかとの強い疑いを有しており、朝木市議の死亡直後から朝木市議の議員活動の拠点であった事務所に詰めて他のマスコミからの取材に応じ、右疑惑の存在を繰り返し指摘していたことが認められる。

 したがって、被告直子は、被告講談社の取材に対しても、自らの持つ右疑いが右雑誌記事へ掲載されることを意欲していたことが窺われるところである。〉

 東京地裁は改めて、朝木が明代が万引きを苦にして自殺したことを否定するために彼らの主張を取り上げられることを期待し、『週刊現代』の取材に対して積極的に対応していたことを認定した。ここまでは当然の判断と思われた。しかし東京地裁は、朝木が取材を受けたことと現実の記事との相当因果関係について次のように述べたのである。



(朝木らに対する東京地裁の判断 2)

 しかしながら、被告直子がいくら自らの発言内容の右雑誌記事への掲載を意欲したところで、……被告講談社との間に意思の連絡が認められない限り、本件直子発言部分の趣旨の発言が記事として雑誌に掲載されるかどうか、……を予見することは困難である。そして、被告直子と被告講談社との間に、本件直子発言部分の本誌への掲載公表について意思の連絡があった事実は、本件全証拠を総合してもこれを認めるに足りない。……
 
 そうである以上、本件取材時における被告直子の発言と本件直子発言部分による原告の社会的評価の低下との間に相当因果関係を認めることはできないと言わざるを得ない。



 東京地裁はこう述べて、朝木父娘が取材に応じてコメントしたことと記事掲載との間には明確な共謀性が認められないから名誉毀損を構成しないと結論付け、朝木らに対する請求を棄却した。「コメントはしていない」とする主張を虚偽であると認定しても、裁判所は朝木がまったく主張しなかった理由によって朝木側の不法行為責任を否定し、形としては矢野と朝木が望んだとおりの結果となったのである。

 しかし結果はともかく、裁判の過程では『週刊現代』の無責任ぶりとともに、朝木が責任から逃れるためにはどんなに卑劣で、尋常ではあり得ないと思える嘘であろうと、なりふりかまわず主張できる希有な人間であることを世間に知らしめた。朝木がコメントの事実を否定して真実性の主張・立証から逃げたことで、矢野とともに主張していた「他殺説」にも根拠がなかったことを自白したも同然だった。

 そのことを十分に理解している矢野は判決後、矢野は私に対してこう言い放った。

 「朝木の責任が認められなくて、残念だったな」

 その顔はどうみても、明代の転落死の「真相究明」を真摯に訴えている者のようにはみえなかった。
 
(つづく)
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