ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

太田述正事件 第9回(最終回)
                             ★第1回から読みたい人はこちら


太田裁判を知っていた矢野

 裁判を甘く見ていたのか、一審で代理人をつけなかった太田は、控訴審では代理人に委任した。委任した弁護士は、明代の自殺から13年、矢野穂積と朝木直子のいいなりになって今も「他殺」を主張しつづけているジャーナリスト乙骨正生の代理人も務めている共産党系弁護士だった。

 弁護士への依頼に関しては、太田が提訴された直後、かつての自民党・四月会による「創価学会疑惑」キャンペーンに裏方として関与したと称する人物から次のようなアドバイスがあった。

〈私は以前白川勝彦元衆議院議員と一時期行動を共にして白川新党自由と希望を応援したものです。またそれ以前から東村山問題についてもやっておりました。
 矢野氏はいろいろあったようでたいへん疑い深く、難しい人物です。私もそれでたいへん嫌な思いをしたことがあります。
 ですのでこの問題、白川勝彦に頼ってみればいかがでしょうか。――後略――〉

〈私が白川勝彦から直接伺った話を少しお話ししますと、朝木市議が転落死した当時の事を話しておりました。もちろん国家公安委員長だったわけですから、……当時の警察の最高幹部の地位にいたわけですので、詳細を知っております。白川に頼るのが一番早道でしょう。
 ……白川は弁護士資格も持っており、当時国家公安委員長の席にいたわけですので、彼に弁護を頼むのもいい手法かと思いますがいかがでしょうか。〉

 要するにこの人物は、著者である矢野は「難しい人物」だから、矢野には援助を頼まない方がいいといっているらしい。つまり矢野は、「他殺説」を信じ込んでいる者からもなにか敬遠されているものとみえた。

 それはともかく、白川が出てくれば、事件当時、白川自身が警察の捜査に介入し、捜査に圧力をかけた事実が、まさに現場の責任者として圧力を受けた当事者である千葉本人から逆に追及されることになっただろう。太田が白川に接触したのかどうかはわからないが、仮に弁護を依頼されたとしても、白川に千葉と対決する度胸があったとは思えない。いずれにしても、太田は最終的に反創価学会人脈の一人である乙骨の代理人に弁護を委任したのである。

 では、『東村山の闇』の内容を事実と信じ込んだ太田が、著者である矢野と朝木に相談を持ちかけなかったのかどうか。なんといっても、彼らは「新証拠」によって明代の「万引き冤罪」と「他殺」が裏付けられたと主張しているのだから。それもまた定かではないが、『東村山の闇』の内容を引用したコラムが原因で太田が千葉元副署長から提訴された事実を矢野と朝木が知っていたことだけは事実である。矢野と朝木は『東村山市民新聞』第145号(平成18年5月31日付)で、〈元副署長また提訴! 今度は元防衛審議官〉のタイトルでこう書いている。

〈昨年5月13日に、朝木明代議員遺族・矢野議員側の勝訴が確定した最高裁判決が、朝木明代議員が自殺したとする東村山警察の捜査結果を、事実上、否定していたことをおしらせしました。(=ここでいう「最高裁判決」とは、明代の万引きとアリバイ工作の事実を認定し、「万引きを苦にした自殺」の相当性を認定した「月刊タイムス」裁判のこと。したがってこの記載は虚偽である)。――中略――元副署長は「自殺」として私(矢野)や朝木直子議員を計5件も提訴。最近『東村山の闇』を読んだ元防衛審議官の方を提訴しています。〉

 矢野自身の著書である、警察と検察の捜査結果を覆す内容の『東村山の闇』を読んだ読者が、その内容を信用してコラムを執筆し、それが提訴されたことを知った矢野は、真実性・相当性の立証に関して太田を支援したのかどうか。もちろん矢野と朝木が太田を支援しなければならない義務はないが、明代の死後13年間、「明代の万引き犯の汚名を晴らす」と公言し続けてきた矢野と朝木が支援を買って出ても不思議はなかろう。

 しかし、仮に矢野と朝木が太田のために証言したとしても、結果にはなんら影響を与えることはできなかっただろう。なぜなら、太田裁判を扱ったのは、原典である『東村山の闇』をめぐる裁判を審理している部だったのである。『東村山の闇』裁判は太田裁判よりも2年も前に始まっている。太田裁判がわずか3回の口頭弁論で終結に至ったのも、裁判官が『東村山の闇』裁判を通じて東村山事件をよく理解していたからでもあったと思われた。

 太田は控訴審で代理人をつけたものの1回の口頭弁論で結審、平成19年6月7日、東京高裁は太田の控訴を棄却する判決を言い渡し、太田が上告を断念したことで50万円の支払いを命じる判決が確定した。コラムの内容、裁判経過からして当然の結果といえたが、驚いたのは賠償金の支払いをめぐる太田の対応だった。太田は損害賠償を支払うためにコラムでカンパを呼びかけたのである。自分の調査不足が原因であるにもかかわらず、読者に尻拭いを頼むなど、普通の感覚ではとても恥ずかしくてできることではないが、もっと驚いたのは太田の呼びかけに応じた読者が少なからずいたらしいことだった。

 一方、『東村山の闇』をめぐり千葉が矢野と朝木を提訴していた裁判は平成19年12月18日結審し、平成20年3月25日、判決が言い渡されることになった。『東村山の闇』を読んだ太田述正というエリートが、「千葉が『他殺』の事実を隠蔽し『自殺』として処理した」するコラムを書き、裁判所がその内容が名誉毀損であると認定した事実は小さくあるまい。また常識的にみて、『東村山の闇』を要約引用した執筆者に対して損害賠償を命じた裁判官が、コラムの原典である『東村山の闇』の著者である矢野と朝木については違法性を認めないということも想定しにくい、ということだけは確かである。

 おそらくそんな事情を知らない太田は、控訴審判決後も「千葉が『他殺』の事実を隠蔽し『自殺』として処理した」とする見解を撤回しておらず、それどころかコラムで次のように述べている。

〈『東村山の闇』という本に記述されているところの市議転落死事件に関する、千葉英司氏の東村山署副署長当時の捜査指揮への疑問、あるいは当時の東村山署や検察の捜査への疑問にはそれなりの根拠があったことが2つの裁判を通じてほぼはっきりしたといってよい〉

〈これは、……典拠の信頼性を見抜く私の力が改めて裏付けられたことを示すものでもあります。〉

〈第一審と第二審の裁判官は、典拠の信頼性を見抜く私の力など全く評価してくれなかったわけです。〉(いずれも平成19年7月10日付)

 太田のいう2つの裁判とは『宝島』裁判と『第1次エフエム東村山』裁判のことだが、仮に疑問を持つこと自体には根拠があったとしても、そのことからただちに「千葉が『他殺』の事実を隠蔽し『自殺』として処理した」と断定したことについても根拠があるといえるかどうかはまったく次元の違う話である。太田に「典拠の信頼性を見抜く力」があるかどうかは「千葉が『他殺』の事実を隠蔽し『自殺』として処理した」という記載事実が真実であるかどうかにかかっていよう。3月に迫った『東村山の闇』裁判判決は、太田の「典拠の信頼性を見抜く力」が本物か偽物かを明らかにするものでもあるということになる。

 この連載が終盤にさしかかったある日、平成19年に書かれた「千葉が『他殺』の事実を隠蔽し『自殺』として処理した」とする趣旨の新たな太田コラムをめぐり、千葉元副署長は再び太田を提訴した。提訴されているにもかかわらず、独自調査をしないまま再び同趣旨のコラムを掲載するとはよほど『東村山の闇』を信頼しているということだろうか。それともなにか他に理由があるのか。いずれしても、前回はことさら千葉を貶める意図はなかったと思うが、2度目となれば「悪意はなかった」という抗弁は通用しまい。「後悔先に立たず」とならないためにも、太田にはぜひ自分の裁判で「典拠の信頼性を見抜く力」を証明してもらいたいものである。


(了)

関連記事

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

TOP