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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第33回
踏み込んだ判断

 東京高裁は朝木が彼らの主張を『週刊現代』が取り上げることを意欲し、『週刊現代』の側にも朝木の主張を好意的に取り上げるだけの時代的背景もあったとした上で、朝木父娘の不法行為責任について次のように結論付けた。

〈一審被告朝木らが一審被告講談社の本件取材に応じたのも、その見解をマスメディアによって一審原告批判として取り上げられたいとの意図に基づくものであったと推認することができる。そうすると、一審被告朝木らは、本件記事の掲載につき、その結果を意図してこれに加巧したものであるから、一審被告講談社らとともに一審原告に対する名誉毀損につき共同不法行為責任を負うというべきである。〉

 一審の東京地裁は朝木らが「明代は創価学会に殺された」とする主張を取り上げてもらうことを意欲していたことまでは認定したが、コメントの掲載について『週刊現代』と意を通じていたという証拠がないとして、朝木らの不法行為責任を認めなかった。しかしこの点について、東京高裁はこう述べた。

〈もっとも、……(いかに朝木らが意欲しても)編集者の意思の関与がなければその目的を達し得ない関係にあるといえる。しかし、本件では前記のような事情が認められる以上、一審被告朝木らは一審被告講談社らの本誌の編集行為を利用して一審原告の名誉を毀損するという不法行為をしたとの関係が認められ、編集という他人の行為が介在することの一事をもって、因果関係が否定されるものでもないから、……編集行為の介在が、一審被告らの一審原告に対する不法行為の成否に消長を来すことはないと解すべきである。〉

 上記記載の中で特筆すべきは、東京高裁が〈本誌の編集行為を利用して〉ときわめて踏み込んだ判断を示していることである。この前提に朝木父娘のコメントが根拠のない虚偽であるという判断があることは、続く〈一審原告の名誉を毀損するという不法行為をした〉とする記載からうかがうことができる。つまり東京高裁は、朝木らが根拠のないデタラメのコメントを掲載させようとしたとする判断があり、それが〈本誌の編集行為を利用して〉とする文言を使用させたのではないかという気がする。

 あるいは『週刊現代』に掲載されることを意欲して積極的にコメントを提供したにもかかわらず、「コメントはしていない」として責任から逃げた朝木父娘の不誠実きわまる対応も事実認定に大きく影響したのだろう。とりわけ大統の供述内容は裁判官の心証をより悪化させたのではあるまいか。

50ページに及ぶ主張

 大統の供述に加えてもう1つ、裁判官の心証をさらに悪化させたとみられるのが、「朝木らの行為は事実の摘示ではなく『創価学会が関与しているのではないかとの疑いを指摘した論評』である。したがって立証対象は『疑いや疑惑』を基礎づける事実の真実性等であり、それを裏付ける多くの事実がある」と主張したことである。この詭弁は矢野が当事者となった『東村山市民新聞』事件の控訴審(矢野は一審ではこのような主張はしていない)でもより詳細に主張されることになる。矢野と朝木はこう主張することによって、立証のハードルを下げようとしたようにみえる。

 一般人からすると頭が痛くなるような難解な主張だが、朝木の主張を理解するために改めて整理すると、この主張は「①『明代の転落死には他殺を裏付ける多くの事実があり』、②『その事実に創価学会が関与しているのではないかという疑いがある』と主張したにすぎない」という二重の論理構造になっている。したがって、立証対象は『殺害の事実への関与』ではなく『他殺を裏付ける事実への関与』であるといっているようである。

 単刀直入に「創価学会が朝木明代を殺害した証拠はこの事実である」といえない時点ですでに苦しいと思うが、朝木(矢野)は控訴審において上記2段階の分類に従い、①〈他殺であることに関する真実性、相当性〉(13項目)と②〈控訴人創価学会関係者の朝木議員死亡までの一連の事件への関与に関する真実性、相当性〉(37項目)に分けて、それぞれ具体的事実を列挙している。

 ①ではたとえば、「遺書の不存在、事務所内の状態」「臭路の未確認、靴、目撃者の未発見」「鍵の捜査の放棄」「墜落時の体位」「争った痕跡」など13項目が挙げられており、「争った痕跡」のところで司法解剖鑑定書に「上腕内側部に皮下出血の痕」があると記載されていることに触れている。ただ、『聖教新聞』裁判の準備書面では図面(『東村山の闇』に掲載されているもの)を示してこれを「他殺の証拠」と主張しているが、この裁判では千葉が一般論として、「捜査上、上腕内側部の皮下出血の存在が争った痕跡を示す証拠と認識されると証言した」とした上で、「明代の司法解剖鑑定書にも上腕内側部に皮下出血が存在したことを示す記載がある」と述べるにとどまっている。

 ②では、「創価学会による刑事告訴(筆者注=本件記事に対する刑事告訴)の不起訴処分の理由」「創価新報(創価学会機関紙)関係者による尾行」「公明党議員による集会妨害行為」「創価学会による組織的な東村山市民新聞配布妨害」「地元青年部創価信者による矢野議員に対する襲撃殴打事件」(筆者注=いわゆる「少年冤罪事件」)「朝木直子ポケベルへの嫌がらせ事件(筆者注=4444という数字が打ち込まれた事件)――など37項目を挙げている。

不可解な不起訴処分の「理由」

 上記②の中で、裁判官に信用されれば最も説得力があると思われたのは本件記事をめぐる「刑事告訴」に関する主張である。東京地検八王子支部はこの刑事告訴について平成10年7月5日、不起訴処分を決定したが、その理由について矢野は偶然、検察官が創価学会の代理人に対して「十分の捜査の結果、創価学会側が事件に関与した疑いは否定できない」という処分理由を説明しているのを聞いたと主張していた。なお、この件について朝木はすでに一審でも「矢野さんから聞いた話」として陳述書でも尋問でも供述しているが、一審で朝木は特にこの点についての主張はせず、争点とはなっていない。

 この準備書面が提出される1カ月前、矢野は自分が上記内容を現認したとする陳述書を提出している。これに対して、当事者でもある創価学会代理人は矢野が証言するような事実はないとする反論を行っている。 

 朝木のこの主張に信用性があると判断されれば、素人目にもそれだけで少なくとも真実性の根拠になりうると思える話だった。むしろ、そんな地検の重要な「判断」をなぜいままで主張しなかったのか、またこの「重要な」事実がなぜ、①ではなく②の「一連の事件への関与に関する」部分で主張されているのか不可解だった。この項目は②の最初に入れられているから、くくりを間違えたということはあり得ない。すると、ここでいう「事件」とはたんに朝木がいう「一連の事件」と称するもののことなのか。

 ちなみにこの不起訴処分が行われた直後に発行した『東村山市民新聞』第97号(平成10年9月1日付)にはこう書かれていた。



(「不起訴処分の理由」に関する『東村山市民新聞』の記載)

〈捜査の結果、創価関係者が、朝木議員殺害までに至る事件・嫌がらせに関与した疑惑は否定できないことが判明する事態となったのが不起訴の大きな理由となっており……〉



 こんなことが不起訴の理由になるとは思えないが、この記載をみるかぎり、ここでいう「事件」とは「一連の事件」のことのようである。

 いずれにしても朝木の真実性・相当性に関する主張は①②を合わせてB5で50ページにも及んだ。②で延々と主張した「疑惑」が①の「他殺」と直接的につながることがあるのかどうか。①と②の直接的なつながりを立証できなければ、「創価学会に疑惑がある」とする真実性・相当性の立証とは永遠にならないということだけは確かなように思われた。

(つづく)
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