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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第34回
相手にもされなかった詭弁

 50ページにも及んだ朝木の「前提事実の真実性・相当性」という主張に対して東京高裁はこう述べた。



(朝木の詭弁に対する東京高裁の判断 1)

 朝木らは、当審で、……被告らの行為は事実の摘示ではなく、朝木市議死亡等に一審原告関係者が関与した疑いを指摘したという論評であるから、その疑いを基礎づける事実の真実性等が違法性阻却事由の立証対象と解されるところ、これを疑わせる事実が存する旨主張する。しかしながら、一審被告大統、同直子がそれぞれ○○記者……に対して述べた内容及びこれに基づいて掲載された本件記事に照らして、同一審被告らの述べたところは……その旨の事実を指摘するものであることは明らかである。



 東京高裁は朝木父娘のコメントは「殺害に関与した(のではないか)とする事実」を指摘するものであると明快に認定。その上でこう結論付けた。



(朝木の詭弁に対する東京高裁の判断 2)

 仮に同一審被告らが疑いを指摘したものとしても、その場合の違法性阻却事由の立証対象は、単に疑いの存在を立証したことでは足りず、原則としてその疑わしいとされた事実の真実性を立証することを要すると解すべきであるから、……同主張を採用することはできない。



 朝木父娘が「明代は創価学会に殺された」と断定したことは事実と思うが、東京高裁は仮にそれが「疑い」の指摘だったとしても、「疑いを裏付ける事実への関与」などではなく「殺したとする疑い」自体の真実性を立証することが必要だと述べ、朝木の詭弁を排斥したのである。つまり朝木が準備書面で主張した「①『明代の他殺を裏付ける事実の存在』と②『その事実に創価学会が関与している疑い』」などという二重の論理は相手にされなかったということになる。

 東京高裁は朝木が準備書面で並べた真実性・相当性を主張するための50項目のうち、ただの1項目さえ判決文に記載していない。このことがなにより朝木に対する東京高裁の不信感を物語っているように思える。もちろん矢野が東京地検で聞いたとする「不起訴処分の理由」の件についても、一言半句も触れられていなかった。

 この裁判で重要なのは、朝木と矢野が「明代は創価学会に殺された」とする事実を立証しようとせず、「殺害を裏付ける事実に関与しているのではないかという疑いがある」などとし、違法性を否定しようとしたことである。コメントの存在を否定したのみならず、自らコメント内容に対する立証のハードルを下げたという事実こそ、そもそもコメントの内容に客観的な根拠などなかったことを自白したに等しい。この主張を思いついたのは朝木ではなく矢野だろう。

 こうして東京高裁は講談社に対する一審判決を維持し、朝木父娘に対しても各自200万円の支払いとともに講談社とは別に『週刊現代』誌上における謝罪広告の掲載を命じた。その後、講談社と朝木父娘はそれぞれ上告したが平成14年10月29日、最高裁は上告を棄却し、東京高裁判決が確定した。

 確定からしばらくして講談社は創価学会に対して200万円を支払い、『週刊現代』誌上に命じられたとおりの謝罪広告を掲載した。その内容は以下のとおりである。



(講談社の謝罪広告)

 株式会社講談社及び「週刊現代」編集人兼発行人元木昌彦は、「週刊現代」平成7年9月23日号において、「東村山女性市議『変死』の謎に迫る 夫と娘が激白!『明代は創価学会に殺された』」との大見出しの下、あたかも貴会が、東村山市議の朝木明代を殺害したかのような印象を与える記事を掲載頒布しました。
 株式会社講談社及び元木昌彦は、右記事によって、貴会の名誉を著しく毀損したことに対し、謹んで謝罪の意を表します。



 一方、東京高裁が朝木父娘に対して命じた謝罪広告の内容は以下のとおりである。



(朝木父娘の謝罪広告)

 朝木大統及び朝木直子は、「週刊現代」の取材に対し、朝木明代が創価学会関係者に殺害された疑いが強い旨述べたところ、これが同誌平成7年9月23日号において、「東村山女性市議『変死』の謎に迫る 夫と娘が激白!『明代は創価学会に殺された』」との大見出しの下で掲載され、あたかも貴会が朝木明代を殺害したかのような印象を与えることになりました。しかしながら、このような疑いがあるとしたことは根拠に欠けるものであり、この発言が「週刊現代」誌上に掲載されたことにより、貴会の名誉を著しく毀損したことに対し、謹んで謝罪の意を表します。



 朝木が「明代は創価学会に殺された」とする主張に根拠がないことを自ら認めた謝罪広告を命じられた意味は大きかろう。謝罪広告の掲載命令を朝木が履行し、『週刊現代』に掲載されたという話は聞かない。しかしこのころから矢野と朝木は、「明代は何者かに殺された」という文言は使用しても「創価学会」の文言は使用しなくなったのである。

自分自身に語った朝木

 ところでまだ『週刊現代』裁判が終結をみないころ、東京高裁の待合室で偶然矢野、朝木に出くわしたことがある。嘘にまみれて人生を生きることは多大の苦痛を伴おう。彼らが「朝木明代は万引きをしておらず、自殺とみせかけて殺されたのだ」と主張し続けることは、自分自身を騙し続けるということでもある。

 待合室は入口から見て左右にベンチが設置されている。ドアを明けると、右側に矢野が座り、左側に朝木が向かい合って座っていた。私は朝木に並んで腰を下ろし、こう話しかけた。

――いつまで嘘をつき続けるつもりなのか。あなたはまだ若いし、いくらでもやり直しができるだろう。

「嘘をつき続けている」といわれれば、プライドの高い朝木なら当然、食ってかかってきてもおかしくない。ところが朝木は、私の発言になんら反論することもなくこう答えたのである。

朝木  私はもう若くないから。

 その声と口調は、それまで法廷で見てきた敵意むき出しのものではなく、むしろ自分自身に向かって語っているようだった。それを聞いた矢野はすかさず私に向かって「今度は説教か」と割り込んだ。しかし少なくとも、「嘘をつき続けている」といった私の言葉に朝木がそのとき一言も反論しなかったのは事実だった。朝木は嘘をつき続けていることを十分に自覚していたということだろう。それを瞬時に察した矢野があわててその場をごまかした--この一瞬の場面は、まぎれもなくそういう光景であるように思えた。

 しかし、最高裁決定後にコメントを求めようとすると朝木は露骨に嫌な顔をし、そばにいた矢野に助けを求めた。以後、朝木は私が何かを聞こうとしてもほとんど口を開かなくなった。

(つづく)
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