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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第38回
あまりに詳細な「証言」

 東京地検が創価学会による『週刊現代』、朝木父娘に対する刑事告訴を不起訴処分にした理由に関する矢野の主張内容は、当初の〈捜査の結果、創価関係者が、朝木議員殺害までに至る事件・嫌がらせに関与した疑惑は否定できない〉(平成10年『東村山市民新聞』)とするものから平成15年に出版した『東村山の闇』においてはついに〈創価学会が事件に関与した疑いは否定できない〉とするものへといつの間にか変遷を遂げ、明代の転落死について東京地検が平成9年に発表した「万引きを苦にした自殺」とする結論が覆されたことになった。

 しかし不可解なことに、上記のような理由は告訴した当事者である創価学会側代理人も聞いていなかった。では、公表もされていないこのような不起訴の理由について矢野はいかにして知り得たのか。「不起訴の理由」を知ったとする状況について矢野は『東村山の闇』の第7章において詳細に述べている。その状況を要約すると以下のようになる。



(矢野が説明する「不起訴の理由」を知った状況)

 矢野は平成10年7月15日、当時17歳だった少年から暴行を受けたと訴えた件(いわゆる「少年冤罪事件」)などの事情を話すため、東京地検八王子支部の担当検察官の部屋にいた。するとちょうどそのときに外部から電話が入り、検察官はその電話に対応を始めた。

 検察官の話す内容から、用件はどうも創価学会が『週刊現代』を告訴した件であるらしいことがわかった。検察官は「はい、本日決定しました」といい、しばらくすると「告訴から3年間、十二分に捜査した結果、創価学会側が事件に関与した疑いは否定できないということで、不起訴の処分を決めたんですよ」と説明した。電話の相手は創価学会の代理人であることを、あとで検察官から教えられた。また検察官から、「このことは明後日、当事者の朝木直子さんに直接話すので、それまでは口外しないよう」と指示した。



 こんな、あり得ないとは断定はできないが、かなり奇跡的なタイミングで矢野は、創価学会の告訴が不起訴になったこと、その理由が「創価学会側が事件に関与した疑いは否定できない」というものだったことを知ったというのである。しかも検察官が矢野に「明後日、朝木に直接話す」といったと記載するなど、その内容は詳細かつ臨場感にあふれていた。


にわかに措信できない状況

 ただ証言内容があまりに詳細なのは、一見すると信憑性があるようにみえる反面、詳細であること自体が証言が嘘であることを自白する結果になることもある。それが事実ではないことが明らかになった場合には、たまたま間違えたのではなく意図的に嘘をついたと判断されることにもなる。

 たとえば万引き事件で書類送検された朝木明代は、詳細なら警察を騙せるだろうと、アリバイ工作の舞台に使ったレストランのメニューを暗記し、取り調べで料理の内容を寸分違わず供述した。しかし明代が矢野と食事をしたとする時間帯には、そのメニューを注文することはできなかったことが判明するなどした。こうして明代の供述は詳細だったことが嘘であることを証明しており、言い逃れの態様は悪質と判断された。この結果、明代は東京地検に書類送検されたのである。明代が虚偽のアリバイを主張した陰には矢野の協力があった。

 また、1つの局面に関する証言の信憑性を判断するには、証言の内容と前後の事実関係や状況を含めた総合的な見地から照らし合わせることも必要だろう。『週刊現代』に対する告訴の場合に最も重要な事実は、平成9年に東京地検が明代の転落死について「自殺の可能性が濃い」とする結論を発表し、その結論が変更されたという事実はないということである。すると矢野が東京地検八王子支部の検事室で聞いたという話をにわかに信用するのは難しいという状況にあることは否定できない。

「蟻の一穴」

 不起訴処分の理由をめぐる矢野の詳細な説明については、詳細すぎるために矛盾が生じている。矢野は『東村山の闇』で、検事が電話で説明しているのを聞いたあと、検事からその内容について〈明後日、当事者の朝木直子さんに直接話すので……〉といわれたと述べている。「明後日」とはまた詳細な再現である。

 朝木がこの「不起訴の理由」について裁判の中で主張したのはまさしく『週刊現代』裁判だった。朝木は不起訴の決定から4カ月後、平成10年11月9日付陳述書でこの経緯について次のように述べている。



(平成10年11月9日付陳述書の記載)

 刑事告訴は、本件7月15日に東京地検八王子支部が不起訴の処分を決定しました。処分のあった同じ日に、別件の告訴していた事件で地検支部に出向いていた矢野議員がそして翌々日に私自身が地検八王子支部で処分のあったことをお聞きし、9月1日の事件までの一連の事件や嫌がらせに、創価学会関係者が関与していたのではないかという疑惑は否定できないというのが、不起訴処分が決定された理由であることを知りました。



 朝木は矢野が聞いたという日の〈翌々日〉に検事から説明を受けたと供述している。矢野が『東村山の闇』で記載した〈明後日〉と矛盾せず、辻褄が合っている。ところがこの陳述書を提出してから3カ月後の平成11年2月15日に行われた尋問で行った朝木の供述はややニュアンスが異なった。やり取りを聞こう。



(尋問での朝木の供述)

創価学会代理人  この(不起訴の)理由をもう1回いってもらえますか。

朝木  不起訴処分ですか。私は、これは矢野さんから聞いた話ですのでそれを前提にしていただきたいんですが、……一連の事件も含めて、創価学会が関与した疑いが否めないというようなことで、不起訴になったんじゃないかというふうに聞いておりますが。

代理人  一連の事件に関与した疑いがあるということですか。殺害事件に関与した疑いがあるということではないんですね。

朝木  殺害も、私は直接検事さんから聞いたわけではないので、ちょっとあまり細かいことを私に聞かれるとお答えはできないんですが。

代理人  あなたの陳述書、そういうふうに書かれてあるんです。……

朝木  ……それは、私は文書でもらったわけではありませんから、わかりません。

代理人  ……矢野さんからあなたが聞いたという話はいっさい出てないんですけれども、矢野さんからそういった話を聞いたことは間違いないわけね。

朝木  たぶんその電話を矢野さんがそばで聞いていたんだと思います。



 追及されるたびに朝木の供述はあいまいになっているように思える。いずれにしても朝木は尋問で、矢野が聞いたとする日の「翌々日」に検事から直接聞いたとは一言も供述していないことがわかろう。当初は「検事から直接聞いた」といった者が「実は矢野さんから聞いた」と供述したのでは、当然、「矢野から聞いた」とする内容それ自体の信憑性が大きく揺らごう。矢野の詳細すぎる説明は、詳細すぎたがゆえに早くも破綻の危機に瀕していたということではあるまいか。蟻の一穴ということもある。実際に、『週刊現代』裁判で東京地裁はこの話を相手にもしなかったのである。

 しかしそれにしても、朝木はなぜ陳述書の内容とは異なる供述をしたのだろうか、と読者は思うのではあるまいか。陳述書を朝木自身が作成したという前提なら考えにくい話である。しかし陳述書を作成したのが矢野だったとすれば、打ち合わせ漏れという可能性もあり得ないことではないのだった。

(つづく)
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