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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第39回
代理人が聞いた「不起訴」の理由

 矢野が検事室で検事が電話で不起訴の理由について説明しているのを聞いたとする日に、創価学会の代理人が検事から不起訴の決定を知らされ、その理由について質したというのは本当である。しかし創価学会の代理人によれば、不起訴の理由は矢野が聞いたと主張するようなものではなかった。創価学会の代理人が聞いたという内容については『東村山の闇』でも同代理人の陳述書を引用して掲載している(矢野が創価学会代理人の主張を掲載した目的は、その内容を否定し、自らの主張する内容が事実であるとするためである)。

 創価学会代理人は平成10年7月15日に検事から不起訴の決定をしたことを電話で聞き、その理由を質した。それに対して検事は次のように回答した。

「朝木直子、大統については、本人らはそのような発言はしていないと供述している。講談社側は、朝木らから取材してその発言を記事にして掲載したものであるといっており、名誉毀損にならないと判断した」

「本件では当事者の言い分が真っ向から食い違っており、その場合に告訴された一方の当事者だけを起訴することは公平を欠くことになる。講談社側もそれなりに取材して記事を掲載したものであり、嫌疑不十分とした」

 とうてい納得できる理由ではなかったが、結論が変わる雰囲気でもなかったため、代理人はそれ以上の追及をあきらめた。しかし、検事が創価学会代理人に述べた不起訴の理由はこれだけで、「創価学会側が事件に関与した疑いは否定できないことから、不起訴の処分を決めた」と発言した事実はなく、「矢野の主張は事実と全く異なります」と創価学会代理人は陳述書で述べている。

 社会的に注目を集めた朝木明代の転落死に関して平成9年4月に発表した「自殺」とする結論を東京地検が変更したとは公表していない事実からしても、創価学会代理人の説明に不合理な点はない。むしろ、当初は不起訴の理由として〈創価関係者が、朝木議員殺害までに至る事件・嫌がらせに関与した疑惑は否定できない〉といっていたのが、いつの間にか〈創価学会側が事件に関与した疑いは否定できない〉へとその内容がしだいに直接的なものへと変遷していること、朝木が「自分が直接聞いた」といったり、「矢野さんから聞いた」といったりして説明に一貫性がないことなどからすると、矢野の主張を信用するのは難しいというべきではあるまいか。

「別件」の説明をしない不思議

 ところで矢野は『東村山の闇』で創価学会代理人の陳述書を引用したが、その陳述書について〈別件裁判で……提出した〉と記載しただけで、「別件裁判」がどんな裁判だったのかについてはいっさい明らかにしていない。同代理人が東京地検の不起訴理由について聞いたところを陳述書として裁判に提出したということは、矢野がその裁判でも不起訴理由について〈「創価関係者が、朝木議員殺害までに至る事件・嫌がらせに関与した疑惑は否定できない」というものだった〉と主張したため、これに反論しようとしたということである。

 創価学会の代理人が陳述書を提出したほどだから、不起訴の理由について矢野もそれなりの主張をしたということである。ところがなぜか矢野は『東村山の闇』で、この裁判については「別件」と記載したのみで、詳細にはいっさい触れていないのである。事実を明らかにしようとするなら、矢野の見解はともかく、客観的な状況なり結果なりを記載することが重要と思うが、矢野はなぜ詳細を述べようとしないのか。

 この「別件裁判」とは、明代の転落死について東京地検が「自殺」とする結論を公表したのに基づき、これを報道した『創価新報』および発表した東京地検(訴訟当事者となったのは国及び法務大臣)を平成11年3月7日、矢野と朝木直子、大統が提訴した事件である。創価学会だけでなく東京地検も相手なのだから、矢野としても重要な裁判だったのではあるまいか。

 矢野と朝木は当然この裁判でも「朝木明代の転落死は自殺ではなく殺された」と主張し、創価学会が『週刊現代』に対して行った告訴が不起訴になった理由についても主張した。平成14年3月4日付陳述書で朝木直子は次のように述べている。



(『創価新報』事件での「不起訴」に関する朝木の主張)

 ……(創価学会が『週刊現代』を告訴していた事件に対する)処分のあった同じ日に……矢野議員が担当検事の部屋にいた際、……電話でのやりとりから、この刑事告訴の処分理由が9月1日の事件までの一連の事件や嫌がらせに、創価学会が関与していたのではないかという疑惑は否定できないというものであることが、矢野議員にわかったのです。……

 そして翌々日に私自身も、地検八王子支部で、処分のあったことをお聞きしました。



 この陳述書では、『週刊現代』裁判で提出した陳述書と同様に朝木は「(矢野が聞いた)翌々日に私自身も」検事から聞いたことになっている。「不起訴」の理由を朝木が直接検事から聞いたのなら、その内容だけを記載すれば足りると思うが、朝木(あるいは矢野)はなぜかやはり矢野が電話での会話を聞いた話を繰り返す必要があると考えたようである。また矢野は尋問で次のように供述している。



(『創価新報』裁判での「不起訴」に関する矢野の供述 1)

矢野  ……創価学会が、朝木議員関係の事件に関与した疑いは否定できないということで結論を出しましたというような部分が、私はしかと聞き及びました……



『週刊現代』の記事に関する告訴が不起訴になった理由について矢野と朝木がこう供述したため、創価学会代理人は自分が体験した事実に基づき陳述書として提出したのである。

 一方、被告となった東京地検としても、矢野の聞いたとする話が事実とすれば平成9年の「自殺」とする結論を覆すものであり、検察組織を揺るがす一大不祥事となってもおかしくない重大な証言だろう。さらに矢野はより直接的にこう供述している。



(『創価新報』裁判での「不起訴」に関する矢野の供述 2)

創価学会代理人  同じ検察庁でありながら、先ほど、東京地検の最終捜査発表が自殺の可能性が高いといったことは、全然○○検察官(筆者注=『週刊現代』の記事について不起訴の決定をした検察官)の認識とは違うということですか。

矢野  驚くほど正反対の捜査をしていただきましたので、ある意味では感謝しております。私どもは告訴しておりませんけれども、いずれ特定されれば告訴も考えております。



〈(平成9年の結論と)驚くほど正反対の結論〉であるのなら、発表の当事者である東京地検を提訴した裁判は、矢野にとって「正反対の結論」をより確かなものにするまたとないチャンスである。それが確定できれば、創価学会代理人の陳述書を引用する必要もなかろう。

 ただ一方で、東京地検としても内部の話だから、矢野が「聞いた」とする話が事実かどうかを確認するのはさほど難しいことではないという事情もあっただろう。いずれにしても矢野は、「告訴も考えている」ほどだったにもかかわらず、不可解なことにその裁判の結果を『東村山の闇』には1行も記載しなかったのである。

(つづく)
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