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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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第2次朝木直子・傍聴人「撮影」事件
踵を返した矢野

 平成26年3月4日午後12時5分ごろ、東村山市議会議会事務局で傍聴手続きをすませた直後、議員控室前のロビーにいた私のところに受付の職員がわざわざやってきて、たった今、午前中に行われていた3月定例会本会議の一般質問は昼の休憩に入ったことを教えてくれた。午後の再開は13時20分となった。

 ロビーは四角い本会議場の議長席の裏手に接する角にあって、その外側に議長室、会議室が並び、ロビーの角の頂点から右に各会派の控室が並んでいる。ロビーの中央部には低く大きな丸テーブルが2つとそれぞれに6個ずつ椅子が配置され、議長室側から見て右の角には議員用のコピー機が置かれている。

 昼休みになると、ロビーでは議員を待つ市民をよくみかけるが、この日は誰もおらず、休憩に入った議場からは緊張から解放されたようなざわめきが漏れ聞こえてきた。そこに元東村山警察署副署長の千葉英司が傍聴席の方からやってきた。胸には議会事務局が交付した傍聴章を付けている。千葉は午前中の会議を傍聴していたのだった。

 私たちがロビーの議長室側の端で挨拶を交わしていると、私たちから見てロビーの右側の角、コピー機の向こう側にちらっと矢野穂積の姿を認めた。矢野の来る方向から左回りにロビーを抜けたところに議会事務局があり、その正面にエレベーターがある。矢野は昼食にでも行こうとしているようだった。

 ところが、こちらに来ようとしているように見えた矢野はどうしたのか、いったんロビーの角から踵を返して姿を消した。こっちには来ないのかと思っていると、その直後、今度は朝木直子と並んで姿を現したのである。

準備していた朝木

 事件は次の瞬間に起きた。朝木が矢野の前に回り込み、ロビーの右角にあるコピー機の前に来るとさっと携帯電話を構え、千葉の方向に向けたのである。シャッター音が聞こえたため、千葉はすぐに「写真を勝手に撮るんじゃない」と抗議した。すると朝木の後方にいた矢野が、朝木に代わって「後ろを撮っただけだよ」と弁解した。もちろん市会議員の矢野は、無断で人の写真を撮ってはいけないことを知っているのである。

 しかし、朝木がロビーの角から姿を現してから千葉を撮影するまで5秒もかかっていない。千葉がいることに気づいてから撮ろうとしたのでは、ここまでの早業はとうてい不可能である。矢野は最初にロビーの角に来たとき千葉の存在に気づき、戻って朝木に知らせたのだろう。

 私の記憶では、朝木は千葉に携帯電話を向けた際、それをどこかから取り出したのではなく、すでに手に持っていた。つまり朝木は、ロビーに現れる前から千葉の写真を撮るという強固な意思を持っており、すぐに構えられるように準備していたのだと思う。千葉はなおも抗議したが、彼らは嘲るような笑みを浮かべたままエレベーターに逃げ込んだ。

5年前にも議長が「注意」

 議会規則を定める前提として、市役所内や控室前ロビーなら議員が市民に対して嫌がらせ目的でカメラを向けてもいいと考える議員が存在することは想定されておらず、同規則は議場内の行為しか対象にしていない。しかし矢野と朝木は現実に本会議場内外で、傍聴人を撮影する行為を繰り返している。矢野は第三者が本会議中に議場内で無断撮影した傍聴人の写真を使用したこともあるから、第三者を使って撮影させるという可能性も否定できない。

 平成21年6月議会の際にも、市役所玄関付近で朝木が千葉ら2名の傍聴人にカメラを向けて撮影したことがあった。千葉が抗議すると、今回と同様に、そばにいた矢野が「後ろのスロープを撮っただけ」などと言い訳したという。

 このときには、千葉ら2名は議長に対し、東村山市議会として朝木に対してなんらかの対応をするよう求める要望書を提出。東村山市議会の代表者会議は共産党を除いて「議会としてなんらかの見識を示すべき」との意見が大勢を占めた。この結果を受けて、議長は本会議の休憩中に朝木に対して異例の注意を行った。

 会議を「休憩」とした上で注意したのは、朝木が千葉らにカメラを向けた行為が議場内でなされたものではなく、議会としての処罰対象とはならないからだった。しかし、いかに「休憩中」とはいえ、本会議場で議長がわざわざ議事の時間を割いて注意をした意味は重いはずである。普通の議員なら重く受け止めるところだろう。

市民を議会から遠ざける行為

 しかし再び朝木が千葉にカメラを向けたことで、朝木も矢野も5年前に議長から受けた注意を何とも思っていなかったことが明らかになった。議会を軽視していると言い換えてもよかろう。

 今回の朝木の行為も議場内の出来事ではない。しかしこの行為は、東村山市議会議員が本会議場脇のロビーで無断で市民にカメラを向け、シャッターを切ったものであり、カメラを向けられた側とすれば嫌がらせか威迫行為に等しく、とうてい看過できるものではない。

 矢野と朝木が立ち去ったあと、千葉は議長に面会を求め、厳重な対応を求めた。面会の場には私も証人として、また議会側からは副議長が立ち会った。千葉の抗議に対して議長は「議会としてなんらかの対応をしたい」と述べた。

 のちに聞いたところによると、議長の対応は早かった。午後の再開前に開いた代表者会議で議長は、「朝木から写真を撮られた」として傍聴人から抗議があったことを報告した上で、朝木が所属する会派「東村山を良くする会」の代表である奥谷浩一に「朝木さんに、今後市民に対してそのようなことはしないように伝えてもらえませんか」と話しかけた。しかしこれに対して奥谷は「ウチの会派はすべての考え方が一致しているわけではない」(趣旨)という理由で断ったとのことである。

 議長はその後開かれた本会議ではその件には触れず、閉会後、朝木を呼んで注意した。すると朝木は「写真は撮っていない」と撮影の事実を否認し、当然、反省の意思を示すことはなかったと聞く。万引きを苦に自殺した朝木の母親が、万引き事件で警察から呼び出されても、アリバイ工作が崩されるまでは頑として容疑を否認したことを思い出す。

 ただ仮に朝木が写真を撮っていなかったとしても、議会として、議員が傍聴に来た市民に少なくともカメラを向けたことを見過ごしにしていいのだろうか。傍聴に来た市民が議員からカメラを向けられれば、市民はもう怖がって議会を敬遠するようになろう。議員が市民を議会から遠ざけるような行為をしていいのか――今回の朝木の行為は、そういう問題でもあるのではなかろうか。

(了)
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