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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第45回
期日直前の延期申請

「不起訴処分」の内容をめぐる裁判で東京地裁は矢野に対して、名誉を毀損されたとする「特段の事情」について主張・立証するよう求めた。しかし矢野がこれに応じなかったため、東京地裁は矢野の請求を棄却する判決を言い渡した。

 矢野は判決を不服として控訴したが、その後の訴訟追行姿勢は控訴した者としてややその積極性に疑問を感じさせるものだった。矢野は平成17年3月6日に控訴状を提出している。控訴した者は控訴状に控訴理由を記載していない場合、控訴状の提出から50日以内に控訴理由書を提出しなければならない(民事訴訟法)が、矢野は控訴状の提出から50日を経過しても控訴理由書を提出しなかったのである。

 矢野が控訴した他の裁判では控訴理由書を第1回口頭弁論当日にファックスで送ってくるという事例がたびたびみられた。いずれも法定期限を過ぎていたが、裁判所が時機を逸したという理由で控訴理由書を受理しなかったという例はない。心証はともかくとして、控訴理由書の提出期限が常に厳密に運用されているわけではないのだった。

 ところがこの裁判では、矢野は控訴審の第1回口頭弁論が開かれた平成17年6月21日に至っても控訴理由書を提出しなかった。矢野はすでに一審と同じ弁護士を代理人に立てる旨の訴訟委任状を裁判所に提出していた。弁護士が代理人についていながら控訴理由書を提出しないとはどういうことなのか。

 私の知るかぎり、矢野はこれまで大幅に遅れたことはあっても、第1回口頭弁論期日までに控訴理由書を提出しなかったことはそれまでに1度しかなかった。「少年冤罪事件」の控訴審だった。裁判長から追及された代理人はなにごとか言い訳をしたものの、裁判長は終結を通告し、矢野の請求は全面的に棄却された。やはり、多少の遅れは大目に見てもらえても、第1回口頭弁論期日に至っても控訴理由書を提出しないというのは許されないのである(「少年冤罪事件」の場合には、提出していたとしても矢野の請求が認められることは100%なかっただろう)。

不可解な理由

 では、東京地検の「不起訴処分」の理由をめぐる裁判で矢野はなぜすんなり控訴理由書を提出しなかったのだろう。第1回口頭弁論期日の前日になってその理由を推測させる動きがあった。矢野の代理人は、「矢野の体調不良と代理人の別件事件との重複による差し支え」を理由に口頭弁論期日の変更を申請したのである(矢野の供述によれば、控訴したのち、「入院して手術をして状態が悪かった」という)。矢野の体調不良はともかく、別件と「期日が重なる」というのならその意味は容易に理解できるが、「別件事件との重複による差し支え」とは微妙な言い回しだった。

 しかし、矢野が代理人として委任したのは一審と同じ弁護士で、裁判の経緯を熟知している上に、矢野が委任したのは同年4月30日付である。したがって、矢野が「体調不良」だったからといって代理人が出頭すればすむ。「別件事件との重複による差し支え」の意味するところは定かではないが、それがたんに期日上の差し支えを意味するのであれば、重複が明らかになった時点で期日の変更を申し立てればよかろう。

 あるいは「別件事件との重複による差し支え」が期日上の問題でないとすれば、「訴訟戦略上の差し支え」である疑念も出てこよう。仮にこの申請に他意がなかったとしても前日に期日を変更するのは事務手続き上も難しいと思うが、「別件事件との絡み」と受け取られたとすればなおのこと変更を認めてもらうことは難しかろう。その場合にはむしろ、期日変更の申請は時間稼ぎか引き延ばしの意図と疑われても仕方がないのではあるまいか。

 いずれにしても、東京高裁は期日変更を求める矢野代理人の申請を却下した。翌日開かれた第1回口頭弁論には体調不良の矢野はもちろん代理人も出頭せず、控訴理由書も提出されなかった。これでは客観的にどうみても、裁判官からどんな判断をされても文句のいえない訴訟追行態度というほかあるまい。

 それでも東京高裁は一応、矢野の申請等に対する創価学会代理人の見解を聞いた。これに対して創価学会代理人は、一審で矢野が裁判所の求める主張・立証をしなかったという経緯、いまだ控訴理由書が提出されていないことなどを理由に弁論の終結を求めた。東京高裁は双方の訴訟追行態度と主張内容等を慎重に検討し、その場で弁論を終結させたのである。

「重複による差し支え」の意味

 その翌日、東京地検の「不起訴処分」に関する矢野の発言が争点の1つとなっている『フォーラム21』裁判で乙骨正生と創価学会代理人に対する尋問が行われた。この日は矢野の代理人も出廷し、乙骨と創価学会代理人に対して尋問を行っている。前々日、東京高裁に対して期日変更を申請した際に矢野の代理人がいった「別件事件との重複による差し支え」とは、内容的にもこの尋問のこととみられた。

 そもそも『フォーラム21』事件と矢野が創価学会代理人を提訴した事件が、東京地検の「『不起訴処分』の理由」が争点となっている点において「重なっている」ことは当初からわかっていたことで、その状態は矢野が別訴を提起したことによって生じたといえる。すると、自分で「重複」の状態を作っておきながら、そのことを理由に期日変更を申請するとは身勝手もはなはだしいということになろう。

 また、たとえ2つの裁判の争点が「重複」していたとしても、本来なら事実に基づく主張をすればいいだけである。実際に創価学会代理人は『フォーラム21』裁判でも矢野から提訴されたこの裁判でも、東京地検が伝えた「不起訴処分の理由」について一貫して〈創価学会が事件に関与した疑いは否定できない〉というようなものではなかったと主張している。

 事実に基づくかぎり、「別件事件との重複による差し支え」など起こりようがないのである。ところが、東京地検の「不起訴処分」に関して矢野が創価学会代理人の陳述書に記載されていた「その後」という一言を捉えて証言のすべてを否定しているように、相手の単純な言い間違えや言葉尻につけ込もうと狙っている者にとってはそうではないのかもしれない。

 第1回口頭弁論の翌日には『フォーラム21』事件の創価学会代理人に対する尋問が控えていた。控訴理由書を提出することによって手の内を見せるようなことはしたくない――矢野の代理人がいったという「別件事件との重複による差し支え」とはそういうことだったのではないかと私はみている。

(つづく)
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