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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第47回
「ねつ造の意図」についても判断

 では、東京地検の「不起訴処分」をめぐり矢野穂積が創価学会代理人を提訴していた裁判で東京高裁はどんな判断をしたのか。一審の東京地裁は「民事訴訟に提出された書面について違法行為を認定するには『特段の事情』がなければならないが、原告はそれに関する主張をしないので主張自体が失当」などとして矢野の請求を退けた。東京高裁は一審の上記判断に加え、もう1つの判断理由を付け加えていた。

 朝木明代の自殺をめぐり『週刊現代』が「朝木明代は創価学会に殺された」などとした記事を掲載したため、創価学会は『週刊現代』と取材に応じてコメントした朝木直子らを名誉毀損で告訴した。東京地検は平成10年7月15日、「不起訴処分」の決定を行ったが、矢野がその理由について担当検事から「『十分な捜査の結果、創価学会側が事件に関与した疑いは否定できないことから不起訴の処分を決めた』と伝えられた」と主張。これに対して創価学会代理人は、検事がそのような発言をした事実はないと反論する陳述書を提出した。裁判で矢野は、創価学会代理人によるその記載が「矢野が虚偽事実を主張し裁判所を欺罔する人物との事実を摘示し、市議会議員である矢野の社会的評価を著しく低下させるもの」であると主張していた。

 東京高裁が付け加えた判断理由とは上記の矢野の主張に関するものだった。東京高裁は創価学会代理人が提出した陳述書について〈体裁、表現等を検討しても、これが控訴人の社会的評価を低下させるものとは到底考えられない。〉と述べ、その上で矢野が同陳述書について「ねつ造の意図がある」旨の主張をしている点に対する判断を示したのである。東京高裁は次のように述べた。



(創価学会代理人の記載が「ねつ造」とする矢野の主張に対する判断)

 控訴人は、別訴陳述書において、不起訴処分をした日時を誤解させるような記載がされているので、被控訴人らには事実ねつ造の意図があった旨主張するが、陳述書の記載から、控訴人の主張する誤解を生ずる余地はなく、被控訴人らにねつ造の意図があったとは認められない。



 上記判断のうち矢野が主張する「不起訴処分をした日時を誤解させるような記載」とは、創価学会代理人が陳述書で矢野が検察官から聞いたとする「不起訴処分」の理由を否定したあとで、〈このことは、その後東京地検が朝木明代氏の転落死事件そのものについて捜査し、……事実上自殺と断定し、捜査を終結する旨の発表をしていることからも明らかであると思います。〉とした箇所の中の「その後」という記載である。矢野はこの「その後」が「創価学会代理人は『不起訴処分の後』の意味として記載している」と主張し、さらに訴状では次のように主張していた。



(訴状における「その後」に関する矢野の主張)

(創価学会代理人は)検察処分のうち、後で決定された「第2次処分」(※1)の理由につき、原告の上記現認内容が虚偽であって自分の主張が正当であることの裏づけとして、すでに1年3ヶ月前に決定された「第1次処分」(※2)(1997(平成9)年4月14日付)が、「第2次処分」(※3)(1998(平成10)年7月15日付)の「その後」になされたとして、明らかに客観的真実に反する記述をしたのである。

筆者注=※1~3
 ここで矢野は明代の転落死事件について東京地検が平成9年に「自殺の可能性が濃い」とする結論を出したことを「第1次処分」、創価学会が『週刊現代』らを名誉毀損で告訴したことに対する東京地検の「不起訴処分」を「第2次処分」と称している。しかしそもそも双方の処分は連続性を持つものではなく、「第1次処分」「第2次処分」などと呼ぶような必然性はない。矢野は「不起訴処分」によって転落死に対する結論が覆されたと主張する意図をもって、あたかも連続性のある処分であるかのように「第1次処分」「第2次処分」と記載しているにすぎない。



 矢野は訴状で、問題としている「その後」について、創価学会代理人が「自分の主張が正当であることの裏づけとして」使用された重要な文言であると主張している。その上で、創価学会代理人は「客観的事実に反する記述をした」と主張しているのである。また矢野は『東村山の闇』でも「その後」について、明代の転落死に関する結論と『週刊現代』に関する「不起訴処分」の関係が連続性を持つものであるかのように主張した上で、創価学会代理人が2つの結論の時系列を「判らない振りをしようとした」と主張している。

 しかし矢野の主張に対して東京高裁は〈陳述書の記載から、控訴人の主張する誤解を生ずる余地はなく、被控訴人らにねつ造の意図があったとは認められない〉と述べ、「その後」という記載にはなんらの意図もないと認定したのである。この認定の意味は小さくない。

東京高裁の認定の意味

 東京高裁はこの認定によって「不起訴処分」に関する矢野と創価学会代理人の主張のどちらに真実性があるかについて直接的な判断は示していない。しかし、「創価学会代理人は『その後』という文言によって『不起訴処分』に関わる前後関係をごまかそうとしている」という矢野の主張が「創価学会代理人は『不起訴処分』の本当の理由を隠匿しようとしている」という事実を前提としていることは明らかだから、東京高裁が「(創価学会代理人に)ねつ造の意図があったとは認められない」と認定したことは、創価学会代理人には「不起訴処分」の理由を隠匿しようとする意図はなかったと認定したに等しいことになる。

 すなわちこの認定は、事実上、「十分な捜査の結果、創価学会が我が事件に関与した疑いは否定できないことから不起訴の処分を決めた」とする矢野の説明を否定した創価学会代理人の主張内容を間接的に認めたものといえるのではあるまいか。

 いずれにしても、東京高裁が創価学会代理人の陳述書の内容について捏造の意図があったとは認めなかった。にもかかわらず矢野は、『東村山の闇』においてなおも、創価学会代理人があたかも事実をごまかそうとしているかのように主張しているのである。

(つづく)
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