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選挙ポスター印刷代金踏み倒し事件 第2回

「ヤクザじゃないから、踏み倒すようなことはしない」

 矢野、直子とS印刷との関係がおかしくなるのは、11月になってS印刷が「今年で『東村山市民新聞』の印刷を終わりにしたい」といってきて以後である。明代が亡くなって、もう利益の出ないような値段で付き合う理由もなくなったということだったのだろうか。あるいは利益とは関係なく、もう付き合わない方がいいと判断したのかは定かではないが、いずれにしても、通常の半額以下で印刷してもらっていた矢野にとっておもしろい話ではない。矢野を知る者からみればなおのこと、簡単に受け入れるような話ではないと思われた。

 ところが矢野はこのとき、意外にもものわかりがよく、S印刷の申し出に対してこう応えた。

「新聞のことはわかったから、ポスターをできるだけ安くやってほしい」

 ポスターとは、平成8年の東京都議選に出馬を予定していた直子の選挙運動用ポスターである。S印刷側は「できるだけ勉強しましょう」と応えた。こうして、矢野とS印刷との間で、平成7年11月発行分のビラ4万8000部(14万4869円=単価2円90銭)とポスター1万枚(68万1860円)の最後の契約が結ばれた。ポスター代金は、通常なら95万5900円になるところを3割近く値引きした値段だった。3割引いてもなお、S印刷は矢野との取引を終える方が得策と考えたのだろうし、矢野とのトラブル回避を優先するのなら、これはきわめて賢明な判断だったろう。

 こうしてS印刷は平成7年11月10日にビラを、同12月11日と18日にポスターを納品。11月21日にビラ代金、12月20日にポスター代金を請求している。ときあたかも、「東村山市民新聞」だけでなく週刊誌、テレビ、ラジオなど、矢野と直子の主張に乗せられたメディアの協力によって「創価学会疑惑」の嵐が吹き荒れていたさなかのことである。
 
 さて、S印刷としては、ポスターを3割近くも値引きし、なにより契約時に矢野も納得していたから、印刷代金を払ってもらえばそれですべての矢野との関係が終わるはずだった。ところが、それまで一度も滞ることのなかった支払いが、今度ばかりはいつまでたっても実行されなかったのである。

 S印刷は平成8年3月から5月にかけて直子に対して郵便で何度も支払いを催促するがなしのつぶてとなり、電話をかけてもいっこうにつながらないという状態になってしまう。平成7年末から平成8年にかけてといえば、確かに矢野と直子にとって明代の「万引きを苦にした自殺」という事実をいかに隠蔽し、すなわちいかに「疑惑報道」を継続させるかにおそらく最もエネルギーを集中させていた時期である。だから、督促がくるまでは「忘れた」という言い訳もできたのかもしれない。しかし、督促状を出したあとになっても何の連絡もないというのは、やはりただごとではなかろう。

 そこでS印刷は同年6月、やむなく明代の親戚の力を借りることにした。直子の義理の伯父と実の伯母が直子の自宅を訪ねて支払いを求めたのである。すると直子は伯父に対してこういったという。

「ポスターは1万枚の契約なのに、請求書では5000枚の金額になっている。あとでもう5000枚分の請求をされたのではたまらない。それに印刷代が高い」

 実は、S印刷は通常よりも3割、30万円近い値引きをしていたから、経理処理上、5000枚分として請求しただけで、それが全請求額の半分ということではなかったのである。その説明をしていなかったことが落ち度といわれればそうかもしれないが、請求書の記載内容に疑問があったというのなら、最初に請求書を受け取った時点で問いただせばそれですんだ話なのである。伯父がそう説明すると、直子はこういった。

「ヤクザじゃないから、踏み倒すようなことはしないですよ」

 確かに矢野も直子も「ヤクザ」ではなく、1人は東村山市議会議員、もう1人は東村山市議と東京都議の立候補者である。しかしその後も、「ヤクザ」ではないはずの矢野と直子から支払いは実行されず、その代わりにS印刷には平成8年8月29日、矢野と直子の連名による次のような内容の「通告書」が届いたのである。

〈昨年9月朝木明代議員が殺害された直後に、貴社は貴社内部の事情であるにもかかわらず、代替策の提示も一切ないまま、突然、一方的に昨年12月で当方との印刷契約を破棄し、東村山市民新聞の発行自体が不可能となる重大な損害を発生させる事態を招きました。
昨年11月末、この件に関し、ポスター印刷等をもって契約解約に伴う当方の損害補てんとする旨、貴殿との間で約定しております。

 貴社関係者Sなる人物から文書等が郵送されておりますが、当方としては、現在においても右補填は十分なものとは考えておりません。なお、貴社から何か補填策につき話し合うことがあるのであれば、これを拒むものではありませんが、右経過から、貴殿以外との話し合いは事態を混乱させるだけであるので、予め通告いたします。〉

 平成7年11月8日、S印刷と矢野、直子が最後の契約を結んだ席では「補填」などという話はいっさい出なかった。それだけでなく、S印刷側から出された取引停止の話に対して、矢野は「新聞のことはわかった」といい、その代わりにポスター代金を勉強するということで納得していたのである。そもそもS印刷はビラの印刷を止めるのに、ポスター代を値引きしなければならない理由はない。これまでの付き合いから、あくまで好意で割引することになったにすぎない。

 ところが矢野は、請求書を送付してから半年以上たって、「ポスター代金の値引き」は補填であり、しかもそれだけでは補填は不十分などと主張していたのである(伯父と伯母が直子の家を直接訪ねた際の直子の言い分ともかなり異なる)。矢野が「通告書」でいう「事態を混乱」とは矢野の一方的な言い分にすぎないようにみえるが、これを受け取ったS印刷の困惑は想像に難くない。

 この通告書の内容を矢野が当初から考えていたのなら、やはり直子同様、請求書が届いた時点でそれなりの意思表示をすべきだろう。それをせず、今頃になってこのような通告書を送りつけるとは、やはりどうみても、いいがかりをつけて印刷代金の踏み倒しにかかっているとしか思えなかった。


(第3回へつづく)
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