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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『週刊現代』事件 第51回
完膚なきまでに否定

『フォーラム21』裁判で東京地裁は、東京地検の「『不起訴処分』の理由」に関する創価学会代理人の陳述書には〈虚偽記載を行ったものと認めることはできない。〉として、その内容が事実をそのまま述べたものであると認定した。その上で東京地裁は、矢野が主張した「検察官発言」の内容について次のように結論付けた。



(矢野が主張する「検察官発言」に対する東京地裁の判断)

 被告らが本件検察官発言が真実であることの根拠とするところは、いずれもこれを採用することができず、他に本件検察官発言を真実であると認めるに足りる証拠はない。



 東京地裁は矢野が東京地検で聞いたとする検事の発言(「創価学会が事件に関与した疑いは否定できない」)の真実性を否定したのである。矢野の主張する内容が「真実であると認めるに足りる証拠がない」ということになれば、必然的に東京地裁は創価学会代理人の述べる内容が事実であると認めたということになる。

 矢野と朝木は平成15年に発行した『東村山の闇』で、東京地検の「不起訴処分」について〈第7章 最初の勝利、刑事告訴を粉砕〉と題して丸々1章を割いて詳細に主張している。矢野と朝木がこの「不起訴処分」を「朝木明代の転落死は殺害事件だ」といいくるめるための重要な根拠として位置付けようとしていることがわかる。矢野はこの章において次のように述べている。

〈東京地検八王子支部は、十二分の捜査の結果、

「創価学会が事件に関与した疑いは否定できない」

 という理由で不起訴処分としたのだ。

 捜査機関からでてくることはないと思っていたこのような重大な判断が出てきたのだ。〉

 矢野と朝木はこう主張し、「不起訴処分」を〈最初の勝利〉であると述べている。この「不起訴処分」があたかも明代の転落死に対する結論(=「自殺」)と一連の判断であるかのようにみせているところが彼らのたぐい希な狡猾さである。この「不起訴処分」は明代の転落死に対する捜査の結論とは無関係である上に、「自殺」とする捜査機関の結論を覆すようなものでもない。

 上記記載は同時に、東京地検で矢野が聞いたとする「『不起訴処分』の理由」を否認する創価学会代理人の証言が虚偽であると主張するものでもあった。しかし、東京地検の「『不起訴処分』の理由」をめぐり矢野が創価学会代理人を提訴した裁判で東京地裁は、創価学会代理人が提出した陳述書の記載について「捏造はない」と断定して、創価学会代理人の証言に嘘がないことを認定した。

 さらにこの『フォーラム21』裁判においては、創価学会代理人の陳述書について信用性を認めただけでなく、矢野の主張内容についても直接言及し、その信用性を認めなかった。これは矢野と朝木にとってより厳しい判決であるというのみならず、「明代は殺された」とする彼らの主張を否定する判決がもう1つ加わったということでもある。

乙骨の姿勢を批判

 矢野と朝木が主張するように、創価学会が『週刊現代』の記事を告訴した事件で東京地検が「不起訴処分」とした根拠が「創価学会が事件に関与した疑いは否定できない」(『東村山の闇』)というものだったとすれば、これは明代の転落死について平成9年に東京地検が出した「自殺」とする結論を事実上覆すことになるきわめて重大な結論である。彼らの主張が事実とすれば、東京地検は社会に対して平成9年に行った発表を修正する旨の説明をしなければならないが、東京地検がそのような発表を行った事実はない。

 つまり彼らが主張する事実には、①東京地検がいったん出した結論を「疑いは否定できない」などというきわめて曖昧な理由によって覆してしまったこと、および②そのような重大な結論の変更であるにもかかわらず、その事実を社会に対していっさい公表していないこと――この通常では考えられない2つの事実が含まれているということになる。したがって、矢野が主張する東京地検の「『不起訴処分』の理由」の信用性を判断するにあたっては、東京地検においてそのようなことが本当に起こり得るのかどうかという視点も重要な要素となり得よう。

 東京地裁もこの点を十分に認識していたことが判決からもうかがえた。『フォーラム21』裁判では当然、発行人であるジャーナリストの乙骨も提訴されているが、東京地裁は検察官発言を真実と信じるについて相当性があるとする乙骨の主張も否定している。その理由を東京地裁は次のように述べた。



 被告乙骨は、本件検察官発言を掲載するに当たり、被告矢野に対する取材しか行っていないが、これは、上記発言を含む本件記事が、原告(筆者注=創価学会)が朝木市議転落死事件に関与したとの極めて社会的影響の大きい事実を摘示するものであることに照らすと、裏付け取材として十分なものであったとは言い難い。



 東京地裁は矢野の主張内容の社会的重大性を十分に認識しており、その点からも乙骨の取材は不十分であると認定したことが理解できる。

 乙骨が矢野の主張する「『不起訴処分』の理由」が何を意味するかを理解していなかったということはあり得ない。矢野の主張内容が、明代の転落死に対する東京地検の結論を変更するものであることを理解していたがゆえに記事化しようとしたのである。

 矢野が主張する東京地検の「『不起訴処分』の理由」が持つ重大な意味を考えれば、普通のジャーナリストなら当然、矢野以外の当事者に対する取材をするだろう。ところが乙骨は、矢野の主張を無批判に受け入れ、他の誰にも取材することなく記事作成を進めた。

 ジャーナリストとしてはほめられた対応とはいえない。常識では考えられない対応で、東京地裁が乙骨の対応に何か不自然なものを感じたとしても不思議はない。東京地裁の上記認定は、このような乙骨のジャーナリストとしての姿勢に対する批判であるともいえるのではあるまいか。

失った「他殺説」の根拠

 いずれにしても東京地裁は、東京地検の「『不起訴処分』の理由」について、創価学会代理人と矢野双方の供述に基づく事実判断と、矢野の主張する内容の社会的影響という2つの観点からどちらの主張が事実かを判断しようとしたことがうかがえる。その結果、矢野が主張する内容を〈真実であると認めるに足りる証拠はない〉と認定したのだった。

 この裁判で一審の東京地裁は、矢野と乙骨らに対して170万円の支払いを命じる判決を言い渡した。なお、控訴審で東京高裁は創価学会の請求を棄却したが、これは「記事自体に名誉毀損はない」と認定したためであって、矢野の主張する東京地検の「『不起訴処分』の理由」の真実性を認めたということではない。したがって、仮に矢野か朝木が「『フォーラム21』裁判で勝訴したから、『東村山の闇』で記載した東京地検の不起訴処分の理由は裁判所のお墨付きを得た」などと主張しても、それはまったくの虚偽だということを認識しておく必要がある。

 矢野と朝木は『週刊現代』の記事をめぐり創価学会から提訴された際には「取材を受けておらず、発言はしていない」と主張してはしごを外し、講談社に全責任を押しつけた。その一方で彼らはそれから6年後、『東村山の闇』において『週刊現代』を裏切った事実を隠し、あたかも現在も『週刊現代』と共闘関係にあるかのように装った上、記事に対する告訴が不起訴となったことを奇貨として、これに虚偽を交えながら「他殺」の宣伝に利用したのである。

 しかし、『東村山の闇』で「他殺」の根拠の1つとして1章を費やした東京地検の「『不起訴処分』の理由」は、同書の発行から3年後、東京地裁によってそれが虚偽であることが認定された。こうして矢野と朝木は、「明代は殺された」とする主張の大きな根拠の1つを失ったのである。

(了)
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