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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第9回
最悪の選択

 アリバイとして提出した証拠がニセモノと見破られ、それまでの供述をすべて撤回に追い込まれたあげくに書類送検されれば、普通は抵抗をやめるだろう。書類送検後であっても、明代には洋品店主に謝罪して起訴を避けるという選択肢もあり得た。

 トップ当選議員のプライドは捨てなければならない。しかし明代にとって、事態がこれ以上悪化することだけは避けられた。

 ところが取調室を出てから数時間後、矢野がどのようなアドバイスをしたのか、最終的に明代は最もやってはいけない選択をした。明代は全国紙各社の立川支局宛に次のようなコメントをファックスで送ったのである。



(明代が新聞各社に送った〈「窃盗事件」に関するコメント〉と題するファックス)

 私が窃盗を働いたというデッチ上げ事件について、以下の通り見解を発表します。

記 

「窃盗事件」があったという日には、現場付近には行っておらず、全く身に覚えのない「事件のデッチ上げ」に、強い怒りを覚える。

「当選返上」以来、一部グループが根も葉もないことで「草の根」に刑事告発などを繰り返している嫌がらせの1つで、現行犯でもなく、朝木明代と事件を結び付ける物的証拠もないまま、人を陥れようとして被害届をだした洋品店主には、ただちに「誣告罪」で逆告訴の手続きをとる考えだ。

 また、商品が実際になくなったわけでもなく、実害もないのに、被害届を警察が取り上げたこと自体問題で、政治的な動きといわざるをえない。



 翌7月13日、全国紙各紙は明代の書類送検を報じた記事で、明代が「身に覚えがなく『デッチ上げ』」などと主張していることも記載した。警察に対して犯行を否認しただけなら、最終的に「やっぱり私がやりました」といってもプライドを捨てる相手は警察だけである。しかしマスコミに対しても無実を主張したことで、いよいよ引っ込みがつかない状況になったのではあるまいか。

 このファックスの中に「万引き」の文言がないのは、「万引き」という犯罪の態様を具体的にイメージされたくなかったのかもしれない。本人でなければわからない独特の感覚なのだろう。

 またこの中で明代が〈実害もないのに、被害届を警察が取り上げたこと自体問題〉と記載しているのは、やはり万引き事件に無関係の人物の言葉とは思えなかった。品物を取り返したとしてもその時点で犯罪は成立しているのであり、警察が被害届を受理したことには何の問題もない。「実害がない」ということを強調することで書類送検の不当性を訴えようとしているようにみえた。犯人本人でなければ、「実害もないのに」などと主張する必要はない。

他のメディアでも否認

 明代は全国紙だけでなく、その他のメディアに対しても無実を訴え、その主張は自分が万引き犯と名指しされたとするその「背景」にも及んだ。ニセのアリバイを主張している限り、「無実」を主張することは自らを追い詰めることにしかならない。しかし明代と矢野は、他のメディアにも積極的にコメントすることによってますます自らの首を締めていった。

 明代と矢野のコメントの趣旨はおおむね「万引きはデッチ上げ」で、「矢野と別の場所で食事をしていたからアリバイがある」ということ、さらに「事件には政治的背景が感じられる」というものである。万引きを否認する明代と矢野のコメントを掲載したメディアは平成7年7月13日から8月25日までにざっと10を超えた。記事を見て喜んだのは支援者だけだったろう。

 そんなメディアの中で、とりわけ詳細なコメントを掲載していたのが同年8月4日付『週刊ポスト』だった。タイトルは〈「創価学会の陰謀説」まで飛び出した 東村山女性市議 たった1900円 万引き送検騒動の「ヤブ」〉である。そのコメントを紹介しておこう。



(『週刊ポスト』が掲載した明代と矢野の万引き事件に関するコメント)

「……(警察から呼び出されて)“店の人は朝木さんが犯人だといっています”と告げられ、その瞬間、ああ学会にやられたと思ったんです。……もちろん私は万引きなどはやっていません。事件当日のアリバイがあります」(明代)

「(そのアリバイについては)裁判で明らかにします。今、話してしまうと、アリバイの証拠を潰されてしまう危険がある」(明代)

「これだけはいえます。犯行があったとする時刻には、私が朝木さんと一緒に行動していて、証明もできます。しかも、洋品店の周囲には立ち寄っていません」(矢野)

「こちらでは洋品店主の妻が創価学会関係者であると総合的に判断しています」(矢野)



 発行日が8月4日だから、取材は書類送検からあまり時間がたっていない時期に行われたと推測できるが、アリバイを完膚なきまでに否定された直後でありながら、「アリバイは裁判で明らかにする」などというコメントは普通ではできないだろう。

 記者の間からは「マスコミに明らかにした方がかえって潰されない」という意見があったと聞くが、明代と矢野はマスコミに対して具体的なアリバイを明らかにはしなかった。アリバイが事実なら、マスコミに詳細を公表し、マスコミによって裏付け調査を行ってもらうことがアリバイを守る最善の方法だろう。明代がマスコミにアリバイを明らかにしなかったということは、当然だが、自信がなかったということにほかならない。

 明代は東村山署の取調室で、主張した「レギュラーランチ」のアリバイについて「守秘義務を守ってマスコミにはいわないでいただきたい」と注文をつけている。アリバイに関する明代のこれらの発言をみると、明代はマスコミによってアリバイが虚偽であることを明らかにされ、報じられることをより警戒していたことがうかがえる。

明代を追い込んだ支援者

 事件当日の「アリバイ」について明代が「裁判で明らかにします」と明言しているのは『週刊ポスト』だけである。実情を知らない支援者たちはこの明代のコメントに大きな期待をかけたことは間違いあるまい。明代は自分自身の言葉によって自ら逃げ道をふさいでしまったということだった。

 記事の終わり近くでは、「朝木市議の知人」という人物の、明らかに明代寄りのコメントが掲載されていて、いっそう明代を追い込んでいた。

「朝木さんは1円玉を拾っても交番に届けるような人。裁判ですべてが明らかになると思いますが、朝木さんのクビが飛ぶか、東村山署幹部のクビが飛ぶか。どちらかでしょうね」

 明代はともかく、「朝木市議の知人」は当然、東村山署幹部のクビが飛ぶと思っていたのだろう。また読者の何割かはこれをまっとうな論評と受け止めたかもしれなかった。

(つづく)
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