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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞」事件 第15回
ほぼ同一の上申書

 千葉によれば、確かに明代は書類送検後に東京地検に宛てた上申書では「食べたのは『日替わりランチ』だった」と供述を変えている。明代の上申書には明代による自筆の署名があった。しかし、万引き事件に関する上申書の内容は矢野の上申書にほぼ一致しており、少なくともアリバイ主張に関する箇所については両方とも矢野が作成したものである可能性が疑われるというのである。

 そのことを具体的に疑わせる箇所もあると千葉はいう。以下は千葉の説明である。

 矢野の上申書には次のような記載がある。



(矢野上申書の記載)

 私と朝木議員が7月3日に東村山警察署に出向き、刑事課長と課長代理とに直接面談した際、朝木議員のアリバイを証明する資料として「びっくりドンキー」の東村山店の店長から貰った「レジ記録票」を提出しましたが、右に述べた7月8日を含めたその後の調査で……

(明代の上申書の記載)

 私と矢野議員が7月3日に東村山警察署に出向き、刑事課長と課長代理とに直接抗議した際、私のアリバイを証明する資料として「レジ記録票」を提出しましたが、右に述べた7月8日を含め、その後の調査で……



 上記の2つのくだりは、主語を入れ替え、矢野の上申書では「面談」となっているのが明代の上申書では「抗議」となっていること、末尾の表現が微妙に異なっているだけで、あとはほぼ同一であることがわかる。これだけでも作成者が同一人であることを疑わせるに十分だが、もう1箇所、どちらかの文書が片方のコピペであることをより疑わせる箇所があるというのである。

 最後に近い部分にある〈右に述べた〉という箇所だった。矢野の上申書にはそのだいぶ前のページに〈右に述べた〉に該当する部分が確かに存在する。ところが明代の上申書には、〈右に述べた〉とする記載はあるが、それに該当する部分は〈右〉のどこを探しても存在しないのだった。

 明代が〈右〉には該当する部分が存在しないのに〈右に述べた〉などと書くことはあり得ない。したがって、こう考える以外にないと千葉はいう。――1つは、矢野が自分用の上申書を先に作成し、それをコピペした上で主語や微妙な表現を変えながら明代用の上申書を作成したが、その際にうっかり〈右に述べた〉を削除し忘れた。もう1つの可能性は、明代が矢野作成の原稿データを使用して上申書を作成したが、その際に〈右に述べた〉を削除し忘れた――。

 いずれのケースだったにしても、上申書を先に作成したのが矢野であることは明らかである。その後2人が「日替わりランチ」を食べたとする事実が証明されれば問題はない。しかし立証できなければ、上申書の内容は矢野が作出したもので、明代は口裏を合わせただけという可能性も浮上するのではあるまいか。少なくとも明代は自殺によって、「日替わりランチ」のアリバイを立証することをあきらめた。

 明代は東村山署の取り調べで「レギュラーランチ」を食べたと言い張り、その内容まで詳細に供述していた。にもかかわらず、東村山署に他人のものと指摘されるや「レギュラー」は誤りで正しくは「日替わりランチ」だったと供述を変えたところで、どうみてもそんな主張が通るはずがないと明代は感じていたのだろう。

 すでに1度、取調官の目の前でそれまでの主張の撤回に追い込まれるという屈辱を味わわされている明代には、そのときの状況が忘れられなかったのではあるまいか。取調官の態度や口ぶりを直に見てきた明代は、警察が徹底的な捜査をしていること、警察を騙し通すことはできないことを、身をもって感じていたはずである。当然、警察や地検に対する内心は矢野とは異なろう。

事情聴取に応じた矢野

 東京地検の取り調べから2日後、矢野は東村山署の事情聴取に応じた。明代の自殺後、東村山署は再三にわたって矢野に事情聴取を申し入れていたが、「殺された」と主張しているにもかかわらず、矢野は東村山署の事情聴取には応じていなかった。その矢野が明代の死から1カ月以上たった10月7日、やっと聴取に応じたのである。

 事情聴取は「転落死関係」と「万引き関係」にテーマを分けて長時間に及んだ。ただこれは任意であり、矢野は先に行われた「転落死関係」の聴取については調書化に応じたものの、「万引き関係」の調書化については「後日にしたい」と調書化を拒否している。

 理由は、「『日替わりランチ』のレシートがまだみつかっていないから」というものだった。矢野のこの言い分は、「探せば明代のアリバイの証拠である『日替わりランチ』の清算記録が必ずみつかる」といっているに等しい。

 この日の事情聴取でも当然、矢野は「日替わりランチ」のアリバイを主張しており、その内容については矢野自身が『聖教新聞』裁判で録音の「反訳」を提出している。当然、矢野側が「万引きの冤罪」と「他殺」を主張するために提出したもので、千葉によれば、矢野に有利な恣意的注釈がカッコ付きで加筆されていたり、大幅にカットされた部分があるという。しかしそれ以外は、おおむね実際のやりとりが再現されているという。

 矢野は東村山署の取調室でどんなアリバイ主張を行ったのか。はたして事情聴取終了後に矢野が「『日替わりランチ』のレシートがまだみつかっていないから」といって調書化を拒否したことにはそれなりの根拠があると、客観的に思わせるような説得力のあるものだったのか。

 なお東村山署は当時、矢野と明代が東京地検に提出した上申書の内容をすでに把握しており、彼らがメニューを変更した「日替わりランチ」を食べた痕跡があるかどうかの調査を終えていた。東村山署は「びっくりドンキー」から矢野が最初に店長から渡された「レジ記録リスト」および注文時刻が記録された「注文伝票」の提供を受け、彼らが主張する時間帯だけでなく、その日のすべての注文と清算の内容をリスト化していた。東村山署はいかなるメニューにも対応できる万全の態勢を整え、矢野を待ち受けていたのだった。

 矢野が提出した事情聴取記録は、

「あの、何? 『レジの記録』の話?」

 という、矢野のとぼけた問いかけから始まっている。もちろん矢野はこのとき、東村山署が「びっくりドンキー」の完璧な注文リストを作成していることを知る由もなかった。

(つづく)
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