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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第17回
録音していた明代

 明代が矢野とともに東京地検に提出した上申書の内容は、東村山署で供述したアリバイ主張の内容、および明代の供述に基づき東村山署が「びっくりドンキー」で行った裏付け捜査の結果とはかなりの食い違いがあった。明代が「アリバイ」の証拠として「びっくりドンキー」の「レギュラーランチ」のレシートを提出し、その内容までも詳細に説明したにもかかわらず、「レギュラー」は間違いで、それは「店長が明代の要求とは違うレシートを渡したために起きたミスだった」と主張していた。

 レシートが他人のものだったことを店長のせいにすることで平然と前言を翻す神経は並大抵ではないが、アリバイ主張に関する内容が矢野も同一だった点からも、上申書の提出は明代1人の意思によるものではないように思える。なぜなら、アリバイ工作が疑われるのは明代1人だけではなく、明代のアリバイを主張する矢野もまた共犯と目されてもおかしくない状況にあったからである。

 もう1つ、現実的な理由もあったのではないかと思える事実があった。7月12日に行われた3回目の取り調べの際、明代がバッグの中にカセットレコーダーを忍ばせているのを、立ち会った女性警察官が現認していた。矢野と明代が日常的にカセットレコーダーを持ち歩いていたことはよく知られた事実である。

 それでも、自分の取り調べに際しても隠し録りするとは相当のしたたかさである。したがって矢野は、明代が取り調べでどんな供述をし、どう追い詰められていったかを確認した上で上申書を作成した可能性が高いとみられた。

上申書とは異なる説明

 では10月7日、東村山署での事情聴取に臨んだ矢野は、上申書どおりの供述をしたのか。事実をありのままに供述するのなら、事実の根幹部分において上申書の内容と齟齬はないはずである。矢野の供述はどうだったのだろう。

 矢野が『聖教新聞』裁判で提出した「事情聴取記録」によれば、まず矢野は「明代が提出したレシートが実際に食べたものとは違う」と供述している。最初から「『レギュラーランチ』ではなく『日替わりランチ』だった」といえばいいと思うが、矢野は何を食べたかをいうのを渋った。しかし、「レシートが違っていた」という主張については変わりがなかった。

 ただなぜか、「レシートを間違えた」理由については、上申書の記載からはだいぶトーンダウンしていると千葉はいう。千葉によれば、上申書では矢野はこう書いていた。



(「レシートを間違えた」ことに関する上申書における記載)

 朝木議員は「びっくりドンキー」に対して、「6月19日の午後2時から4時の間で、『日替わりランチ』と飲み物を注文した2人組のレジ記録票をさがしほしい」と電話で依頼したのですが、「びっくりドンキー」側は、「日替わりランチ」を単なる「ランチ」ととり違えて「レジ記録票」を朝木議員に手渡していたのです。
 


 明代が「びっくりドンキー」に対してきわめて明瞭なかたちで依頼していたと記載していることがわかる。

 ところがこの点について矢野の供述は取調室で次のように変遷したのである。



(「レシートを間違えた」ことに関する取調室における供述)

矢野  そう、それ(筆者注=「レギュラーランチ」のレシート)違うの。これは、間違って、店長が、つまりこちらの言い方もまずかったんだけど。だから、こういうものあるかって聞いたときに、向こうも、あのう、正確な聞き方をしてないわけですよ。こちらも正確な言い方をしてないわけ。



 取調室で矢野は、「両方とも正確な言い方をしなかったから間違えた」と供述している。上申書における明確な記載とは大違いだった。ここでもまだ矢野は「何を食べたか」は口に出さない。取り調べる側としては、明代の取り調べの際の供述とはかなりの齟齬があるものの、矢野が「レギュラーランチは間違いだった」といっていることだけは理解できた。

メニューをいおうとしない矢野

 すると、「では何を食べたのか」というのが次の重要な論点となるのは当然だが、矢野はけっして自らいおうとはしない。いったんメニューが確定すれば、捜査側も白黒をつけやすくなる。矢野はそのことを恐れていたのだろう。双方の思惑をうかがわせるやり取りがある。



取調官  食べたものが違うっていうことでしょ。

矢野  そうそう違う。

取調官  ……そうすると、矢野先生方は何を食べたんですか、この日。

矢野  言いたくはないんだけど、調べたいの? ……それについては、地検ではいったんだわ。地検ではね、この話を。だからそれはちょっと勘弁してもらいたいんだけれど、それ以外にもね、あるの。



 矢野と明代が東京地検に上申書を提出したのは7月26日付だから、もう2カ月以上がたっている。矢野は東村山署が「日替わりランチ」の裏を取っている可能性があると踏んでいたからメニューを明らかにしたくなかったのだろう。だから、「それ以外にもあるの」と、話をそらそうとしている様子がうかがえる。もちろん、東村山署が「日替わりランチ」の裏付け捜査をしていないはずがなかった。

 矢野は取調官に対して「3時15分にあの現場に行ってないという、ものがあるんですよ。客観的に一応こちらで」となおも話をそらそうとする。「びっくりドンキー」のレシート以外に客観的なアリバイがあるというのなら、それでも十分に万引きを否定する根拠となり得よう。しかしすでにレシートのアリバイが崩されたあとでは、「それ以外」のアリバイといわれてもいささか説得力に欠けると思われた。

(つづく)
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