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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第18回
「レシート以外のアリバイ」

 矢野は明代のアリバイについて「それ(筆者注=彼らが食事をしていたとする証拠のレシート)以外にもあるの」といい、実際には「何を食べたのか」という取調官の質問をはぐらかそうとした。では矢野がここでいう「レシート以外の確かなアリバイ」とは何だったのか。矢野はこう供述した。



矢野  その日の午後、行ったのはね、私はとにかく、議会が終わってから、とにかくドンキーへ行って、事務所に帰ってきたの。

矢野 (ドンキーに行った時間は)はっきりいってね、はっきりいって、2時40分から3時2、30分の間は、これはね、食事をしたと考える以外にないんですよ。



「実際には何を食べたのか」という取調官の追及に、それをなぜかいいたくなかった矢野が「レシート以外のアリバイ」として供述したのは、結局は「万引きがあった時間帯は『びっくりドンキー』で明代と食事をしていた」ということだった。矢野は議会から「びっくりドンキー」に行き、銀行で振込をすませてから来た明代と食事をし、それから事務所に帰った、それ以外は行っていないのだ――と。

 いかに矢野でも、まさかいまさら「『びっくりドンキー』で食事をした」ということ以外のアリバイを主張するという選択肢はなかった。すると「レシート以外のアリバイ」を主張しようとすれば、「『びっくりドンキー』に滞在したという事実」の信憑性を高める以外にはない。そのために矢野が主張しようとしたのが「『びっくりドンキー』に行き、事務所に帰るまでの矢野と明代の行動の真実性」だったようである。

短縮した滞在時間

 東村山署の取り調べに臨んだ矢野の供述には「レシート以外のアリバイ」を主張しようとするために上申書における供述との食い違いが生じていると千葉は指摘する。千葉によれば、矢野は「びっくりドンキー」に滞在した時間帯について、上申書では「午後2時20分ころから午後3時20分過ぎ」と供述している。この取り調べでは「午後2時40分から午後3時2、30分」と供述しているから、上申書での供述からは入店時刻で20分、退出時刻で10分のズレが生じていることになる。

 また千葉によれば、明代は東村山署における取り調べで「矢野さんと市役所を出て銀行に立ち寄り、2人して自転車で一緒に『びっくりドンキー』に行き、午後2時30分ころから午後3時20分ころまで食事をしていた」と供述し、矢野も東京地検での取り調べで「『びっくりドンキー』で1時間くらいゆっくりした」と供述しているという。しかしその2日後、矢野の供述では「びっくりドンキー」での滞在時間が一挙に20分も短くなったのである。この点に、東京地検での取り調べとは異なり、東村山署に対しては「レシート以外のアリバイ」を主張しようとする矢野なりの計算があったと千葉はみている。

変遷重ねた「入店時刻」

 具体的にどういうことなのか。

 矢野は「びっくりドンキー」に到着するまでの経路について、「2人して行った」とする当初の明代の説明を否定し、「朝木さんは午後2時12分に銀行で振込をしたあと、事務所に立ち寄り、そのあと『びっくりドンキー』に向かった」と説明した。その後明代と「びっくりドンキー」で合流し、滞在したのは「午後2時40分から午後3時2、30分」と矢野は供述している。

 それまでの説明では「午後2時30分ころから午後3時20分ころ」(明代)、「午後2時20分ころから午後3時20分過ぎ」(矢野上申書)で、滞在の始期だけをみるとそれぞれ「午後2時30分」と「午後2時20分ころ」である。矢野の取り調べでの供述では、それまでの説明よりも10分から20分遅れていることになる。

 明代の最初の供述では「びっくりドンキー」までの経路に「事務所」が含まれていなかった。しかし上申書では、「午後2時12分」に銀行で振込をしたあと事務所に立ち寄って留守電のテープを裏返したことになった。当然、到着時刻は「午後2時30分」よりあとでなければならない(矢野は上申書では到着時刻を誤ったのだろう)。こうしてこの取り調べにおいては、明代が「びっくりドンキー」に到着したのは「午後2時40分」となったとみることができよう。

 矢野は「びっくりドンキー」に滞在したとする時間帯の前後の信憑性を高めることでアリバイを主張しようとした。これが東村山署の取り調べにおいて矢野が供述した「レシート以外のアリバイ」ということではなかったかと思う。

 しかし、これほど供述のたびごとに変遷したのでは信憑性を疑われても仕方がない。矢野の供述がいかにその場しのぎのものであるかは、4年後の作成された陳述書で「びっくりドンキー」に入った時刻を再び「午後2時20分過ぎ」に戻していることが証明していよう。

 いずれにしても、矢野が取調室で主張した「レシート以外のアリバイ」は、なにより「『びっくりドンキー』で食事をしていた」という核心部分が立証されて初めて裏付け捜査を行う意味が生じる程度のものにすぎない。したがって、矢野が「びっくりドンキー」の「レシートによるアリバイ」をまず証明した上で「レシート以外のアリバイもある」と供述したのなら十分に説得力があるといえた。

 しかし矢野は取り調べで、食べたのが「『レギュラーランチ』ではない」と明代の供述を否定しながら、「何を食べたのか」と聞いても明らかにしようとせず、「レシート以外のアリバイもある」と話をそらしている。これでは何の説得力もないのだった。

 逆にいえば、「レシートによるアリバイ立証」ができないがゆえに「入店時刻」がこれほど揺れ動いたとみるべきなのではあるまいか。すでに明代が提出した「レギュラーランチ」のアリバイを崩された東村山署に対する警戒感の表れでもあったろう。しかし、「午後3時20分」前後の清算記録によって『びっくりドンキー』で食事をしていたことが立証できるのなら、入店時刻は最初から問題にさえならないのである。

(つづく)
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