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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞」事件 第21回
一緒にいたことも否定

 実際に「日替わり」を食べたという自信があれば、矢野はただちに「『日替わり』がないはずがない」と反論しただろう。ところが矢野は反論するどころか、取調官からさらに「売り切れてます」とダメを押され、次のように話をそらした。



矢野  じゃあ、ちょっと待って。仮にそれが正しいとするよね、そうしてもね、あの、それ以外にもあるの。……つまり、あの事務所にはいない、2人ともいないわけ。つまり、一緒に行動とってるわけだから、朝木さんだけが、ほら。



 そもそも「びっくりドンキー」で「レギュラーランチ」を食べたというアリバイがあると主張し、それが崩されると今度は「日替わり」だったと言い換えてアリバイを主張したのは矢野と明代の方である。東村山署は彼らがそう主張したがゆえに裏付け捜査を行い、「そのアリバイは成立しない」とその結果を正直に伝えただけのことである。自分たちからいい出しておいて、「日替わりランチ」はないといわれたとたん、再び「それ以外」のアリバイに話をそらそうとするとはわがままにもほどがあろう。

 矢野はここで、「2人(矢野と明代)は一緒にいたから、明代は万引き現場には行っていない」と主張したいようである。しかし「日替わりランチ」のアリバイが否定されたということは、万引きの時間帯に明代が矢野と一緒にいたという根拠も否定されるということにほかならない。

 それでも矢野は、「日替わりランチ」のアリバイが否定されるとしても、「(2人は)事務所にはいない。……一緒に行動とってる(から、明代は万引きはしていない)」と、まったく支離滅裂な主張を始めたのだった。それどころか、万引きの時間帯に矢野と明代が「日替わりランチ」を食べていた、すなわち一緒にいたという証拠を示すことができなければ、その時間帯に「2人とも事務所にいない」という矢野の供述は逆に明代が単独で外出していたことを肯定するもの、すなわち明代が万引き犯である可能性をより高める事実の1つへと変質してしまうのである。

根拠のない抵抗

 だから取調官は、一応矢野の主張を立てながら、こう質問をつないだ。

「私も、一緒だと思ったの。……だから、あの、なんで」

 しかし「日替わりランチ」のレシートが存在しなければ、矢野が明代と一緒にいたとする主張も裏付けがなくなる。取調官の「なんで」に続くのは、「食べたと主張する時間帯になぜ『日替わり』が売り切れだったのか」ということだろう。

 そう聞かれたと感じたのか、矢野は再び「午後2時12分の時点で『日替わりランチ』がない」という取調官の説明に異議を唱えた。それを認めることは、自分の主張する「日替わりランチ」のアリバイが成立しないことを認めるということであり、「明代と一緒にいた」という主張も根拠を失ってしまう。矢野の抵抗をみよう。



矢野  「ない」っていうのは本当なの? それ、ちょっと、わかんないな。

取調官  いや、ホントなの、それは。私はあの日のカード、全部調べたの。

矢野  それはおかしいよ。

取調官  いやいや、おかしくない。あの日のカード(筆者注=注文伝票と清算記録)、全部調べたら、もうね、……たとえば1時半ごろ入ったとしても、ああ、2時に入ったとしても、……もう売り切れなの。

矢野  売り切れてないよ、それ。

取調官  売り切れ。



 矢野が聞き分けのない子供のように、何の根拠もなく、ただたんに捜査結果を否定しているだけであることがわかろう。しかし、いくら「おかしい」と言い募ったところで、すべての記録を調べ上げている取調官を動揺させることさえできない。

大きくブレた時間帯

 すると矢野はまたおかしなことをいい始めた。



矢野  たとえば、私は食べたんだから、だったら、その前になるよね。

取調官  うん、だから、前かな、と。

矢野  ちょっと待って。その、この前でもね、前でも、それが、ちょっと記憶がはっきりしないけれども……。



 今度は「午後2時12分」に明代が銀行振込をする「前」だといい始め、「記憶がはっきりしない」ともいう。

 千葉によれば、矢野は東京地検に提出した上申書で、「午後2時半ころから3時半ころまでは、朝木議員とレストラン『びっくりドンキー』にいたのは間違いなく覚えていた」と記載しているという。また矢野はのちに提出する陳述書でも〈私が「びっくりドンキー」に一足先に着いたのは、午後2時20分ころ〉と明確に記載している。10分の幅はあるものの、いずれも「びっくりドンキー」に行ったのは「午後2時12分」よりあとであると供述している。銀行での振込時刻である「午後2時12分」は、矢野の主張する時間の流れを計る上で明確な基準となる。

「間違いなく覚えていた」とまで供述していた入店時刻が、この取り調べでは一挙に「午後2時12分」より前になるとはどうしたことだろうか。これでは、それまで説明していた東村山市役所から「びっくりドンキー」に行ったとする経路のすべてが間違いだったということになる。万引きの時間帯に明代と「日替わりランチ」を食べたとする事実があれば、それがいきなり明確な基準である「午後2時12分」より前になるなど、通常はあり得ない。しかも「2時12分」より前では、アリバイにならない。

 アリバイとは無関係の時間を主張するとは、矢野にとって「『日替わりランチ』を食べた」とする事実はそれほど重要なものであり、万引きの時間帯には間違いなくあると思っていた「日替わりランチ」が「午後2時12分」より前の「午後1時半に入ったとしてもない」といわれたことのショックの大きさを物語っていたように思える。「『日替わり』はない」という取調官の説明に根拠もなく抵抗したことで、矢野は埋め戻すことのできない墓穴を掘ったというべきだろうか。

(つづく)
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