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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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『聖教新聞』事件 第26回
必死の論理のすり替え

 東村山署における取り調べで矢野と明代が「日替わりランチ」を食べた可能性がなかったことを示す資料を突きつけられた矢野はついに、それまで「レギュラーランチ」から「日替わり」へと変遷したアリバイ主張を放棄した。事実上、「びっくりドンキー」のアリバイがなかったことを認めたに等しい。

 通常、それまで頑強に主張していたアリバイが完膚なきまでに崩され撤回に追い込まれれば、罪そのものに対する否認の主張もあきらめるところである。しかし矢野は、「日替わりランチ」のアリバイ主張を撤回しても、明代の万引きを認めたわけではなかった。

 矢野は今度は、別のかたちで「アリバイ」を主張しようとした。矢野は取調官に対して「そんな話(アリバイ主張)までしてないよ」と開き直ったあと、こう反論したのである。

矢野  だから私がいってんのは、この12、2時12分より前であっても後ろであっても、こちらが……あそこ(万引き現場)に行ったっていう証拠はないんじゃないよ。なんであるの。

 劣勢を意識した際に矢野が常用する論理のすり替えにすぎず、筋の通った反論とはいえない。むしろ矢野が「びっくりドンキー」のアリバイを主張できなくなった状況に追い込まれたことを歴然と物語っていよう。そこで取調官はこうダメを押した。

取調官  逆にいうと、ここ(「びっくりドンキー」)にいたってこともないわけでしょ、この時間帯。

 取調官はこの取り調べで初めて単刀直入に「これまであなた方が主張してきた『びっくりドンキー』のアリバイは嘘ですね」と迫ったのである。すると、アリバイの逃げ場を失った矢野は思わずこう応えた。

矢野  だからこの時間、たとえばね、3時15分にここにいなくても……3時15分にあそこ(万引き現場)にいたという証拠もないでしょ。

 ここでも矢野は取調官の追及をはぐらかした。ただ、「万引きの時間帯には『びっくりドンキー』で食事をしていた」と主張していた者が、「たとえば」にしても「『びっくりドンキー』にいない」という前提で犯行を否定したことには違和感がぬぐえない。

 こういう仮定をしたこと自体が、矢野が「びっくりドンキー」のアリバイがないことを認めざるを得ない状況に追い込まれたことを示していよう。しかしそれでもなお、「あそこにいたという証拠もないでしょ」と論理をすり替え、反論を試みようとしたところは、けっして自らの非を認めない矢野の特異性をあらためて痛感させられる。

独自の思考回路

 矢野はここで明代が万引き現場にいたことについて(犯人だから当然)、「目撃証言以外に客観的な証拠がないではないか」と主張していることがわかる。防犯カメラの映像や犯行時の写真がないことは確かである。そのことを取調官はあえて否定しなかった。すると、矢野はかさにかかってこう主張した。

矢野  (「日替わりランチ」が売り切れたのが)この2時12分より前であってもね、その後、たとえばあの、3時15分に(犯行時刻)、ええ、朝木さんがあそこにいるっていうことがないと、証拠になんないよ、そんなの。

 取調官が明代の犯行を裏付けるものは目撃者や被害者の証言しかないことを認めると矢野はさらに勢いづいた。

矢野  目撃者だって知り合いじゃない、○○(筆者注=万引き被害者)の。それをね、わざとこの話(筆者注=「びっくりドンキー」のアリバイの話)をしたのに、……私を1回も呼ばなかったでしょう。……今、後なのか前なのかっていう話(筆者注=2時12分より)になれば、それはあの、後だったらどういうふうになるかなあ、と。記憶の問題なんだから、10日も過ぎてからだから。

 証言以外に朝木明代が万引き犯であるという証拠がないという話から、矢野はまた「アリバイ」の話に戻り、自分を呼んでおけば、「正確なアリバイ」が思い出せたかのように主張している。千葉によれば、矢野と明代は東京地検に提出した上申書で「万引きの時間帯は『びっくりドンキー』で『日替わりランチ』を食べていた」と明確に記載している。この「記憶」は入念に思い出したものではなかったのか。

 それが否定されるや、今度は明代の最初の取り調べまでさかのぼり、「『10日も過ぎてからだから』正しい記憶を思い出せなかった」というのだが、いまさらこんな言い分は通るまい。しかしそれでも取調官は矢野に反論しなかった。すると矢野はこうまくし立てた。

矢野  私はあの、ドンキーに行った記憶ははっきりあるからね、「日替わり」を食べたって記憶もあるから、それでいっただけの話ですよ。ただ、2時12分より後だったんじゃないかって記憶あるわけ。ただ、それは違ってるとなるとそれはちょっと、こちら、もう1回思い出さなきゃいけない。

 リストで午後1時台にも「日替わり」を食べた客がいないことを確認したはずの矢野は再び「もう1回思い出す」というのである。なにか、いつの間にか、取調官が注文・清算リストを目の前で示し、「日替わりランチ」が12時台で売り切れていた事実を突きつける前の状況に話が逆戻りしてしまっていた。独自の思考回路というほかなかった。

(つづく)
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