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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞」事件 第29回
用意していた「反論」

 矢野は尋問で、「レストランで食事をしていた」とするアリバイについて追及された。尋問でアリバイが追及されることは、矢野としても当然予測していたものとみられる。

 矢野が「事情聴取記録」を証拠提出したのは、明代が取り調べ(書類送検前)の段階ですでに、「『レギュラー』は誤りで『日替わりランチ』だった」と供述していたと主張するためだったと思われた。しかしその一方で「事情聴取記録」には、「その時間帯にはもう『日替わり』は売り切れていた」と知らされて絶句してしまった場面も残されていた。しかも矢野は、それに対して反論できず、ずるずると入店時間を繰り上げてしまった。

「『日替わりランチ』が売り切れだった」という事実を前提に追及されれば、矢野と明代のアリバイは完全に崩されることになる。そこで矢野は、事実なら「『日替わりランチ』が売り切れだった」という捜査結果を覆す反論を用意していたようである。尋問をみよう。



(「『日替わりランチ』が売り切れだったこと」に対して矢野が用意していた反論)

――日替わりランチというのは、当日6月19日に、すでにあなた方が入ったときは売り切れであったということは聞いていますよね。

矢野  10月7日に、○○代理(筆者注=取調官)からトータル20食のリストを見せられました、警察で。で、「そんなばかなことはない。」というふうに申し上げました。50食通常作るランチが、5時までのランチがなぜ1時までになくなるのかと、それは申し上げております。……

――あなたと○○代理の会話をみますと、あなたは……「えっ、ほんと」というような形で、かなり動揺しているんではないですか。

矢野  動揺はしてませんよ。さっきから申し上げているように20食しか出ていないということを聞かされて「それはおかしいんじゃないですか」といったんです。



「『日替わりランチ』は売り切れていた」という取調官の説明に対して矢野が「反論した」としていることについては、4年後に発行した『東村山の闇』でも同じ主張がなされている。

『東村山の闇』でも同趣旨の記載

『東村山の闇』における記載は以下のとおりである。

〈この刑事課長代理(筆者注=取調官)は、6月19日のこのレストランの日替わりランチの「リスト」なるものを、私に見せた。が、それは警察側が手書きでつくった注文のあったという20食のリストだった。しかも、昼までに売り切れだったという。が、弁護士と私たちが確認したところ、当時、このレストランは、日替わりランチを11時から午後5時まで、1日50食作っていた。即座に、私はこの点を指摘した。〉

 ここで矢野が主張しているのは、「このレストランは当時、日替わりランチを1日50食作っていた。取調官から昼までに売り切れだったというリストを見せられたが、それは20食にすぎない。したがって、その後も日替わりランチは注文されているはずだ」というものである。だから矢野はこう主張を続けている。「だから警察に対しては注文リストの原本を出せと主張しているが、警察もレストラン側もこれに応じない。これは何か隠匿すべき理由があるからにちがいない」と。

 ただこの主張はまず、レストランが「当時、日替わりランチを50食作っていた」という前提になされている。こういえば「日替わりランチ」は必ず50食作っていたように聞こえるが、事実はそうではない。尋問では、矢野は「必ず50食作っていた」とはいわず「通常は」といっている。つまり「50食作らないこともある」というのが実情なのであり、明代が万引きした当日、「日替わりランチ」が20食しか作られていなかったとしても不思議なことでもなんでもないのである。

 しかも、矢野は取調官から「『日替わりランチ』は売り切れている」といわれて〈即座に、私はこの点(「日替わりランチ」を「1日50食作っていた」とする事実)を指摘した。〉と述べているが、矢野自身が提出した「事情聴取記録」には、そんな発言はいっさい記載されていない。「日替わりランチ」が売り切れだったことを知らされたあとのやりとりは以下のような記載があるだけである。



(「事情聴取記録」における「日替わりランチ」が売り切れだったことを知らされたあとの主なやりとり)


取調官 
 (矢野と明代がレストランに入ったという)2時12分の時点では、「日替わり」がないんです。

矢野  ええっ? ウソっ!

取調官  ホントなの。

矢野  ウソだ。


矢野
  じゃあ、ちょっと待って。仮にそれが正しいとするよね、そうしてもね、あの、それ以外にもあるの、こっち。……つまり、あの事務所にいない、2人ともいないわけ。


矢野
  「ない」っていうのは本当なの? それ、ちょっとわかんないな。

取調官  いや、ホントなの。それは。私は、あの日のカード、全部調べたの。

矢野  それはおかしいよ。


取調官  いやいや、おかしくない。あの日のカード、全部調べたら、もうね、すでにね、ええ、たとえば1時半ごろ入ったとしても、ああ、2時に入ったとしても、この時間に入ったとしてもね、もう売り切れなの。

矢野  売り切れてないよ、それ。

取調官  売り切れ。

矢野  たとえば、私は食べたんだから、だったら、その前になるよね。



 このように、矢野自身が作成した「事情聴取記録」には『東村山の闇』で主張するような〈即座に〉矢野が〈この点(「日替わりランチ」を「1日50食作っていた」とする事実)を指摘した〉事実などいっさい存在しない。したがって、この主張が虚偽であることは明らかである。

 むしろ矢野は警察の調査結果を「間違い」と指摘するどころか、自分が「食べた」とする時間帯がもっと「前になる」と、それまで自分が主張してきた時間帯に誤りがあったかのように供述を変遷させようとさえしている。それまで一貫して「レストランに入ったのは午後2時過ぎ」と供述してきた矢野が、「『日替わり』は売り切れている」といわれたとたんにあっさり前倒ししようとするとは、やはりよほどの動揺があったということと推測できよう。

 しかし矢野は「事情聴取記録」を提出したあと、取調官から「日替わりランチ」がすでに売り切れだったことを知らされて動揺し、反論するどころか、自ら入店時刻を前倒ししようとした事実が記録されていることに気がついた。その点はごまかさなければならないと考えた矢野は、今度は取調官が示した「注文・清算リスト」の信憑性を問題にしようとしたということではあるまいか。それはまた、「日替わりランチ」によるアリバイ主張を押し通すことにもつながった。

 その際に着目したのが、「日替わりランチ」の「通常」の数だったということらしい。矢野は「『日替わり』は売り切れていた」という捜査結果に反論するにあたり、「20食のリスト」を見せられたが、「それがすべてというのは通常とは異なっている(からおかしい)」というのだった。

 取調官から「日替わりランチ」が売り切れだったことを知らされて反論できなかった矢野は、警察が作成した「『注文・清算リスト』の信憑性」に論点をすり替えて、入店時刻さえ揺らいでしまった動揺ぶりを糊塗しようとしたのである。しかし、矢野自身が作成した「事情聴取記録」における記録とその後の主張内容が大きく食い違っていることは明らかだった。そのこと自体が、尋問や『東村山の闇』における上記の主張が虚偽であることを如実に物語っていた。

(つづく)
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