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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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政治宣伝ビラ『東村山市民新聞』を読む(平成26年第184号-その3)
異なる判断の可能性

 2つの判決(「その2」参照)をふまえて、あらためてビラ第184号の記載(特に「その1」の③④)を読み返すと、矢野がいかに事実を曲げているかがわかる。



③〈(佐藤は)裁判所から「越境通勤市議」と呼ばれても仕方がないという判決を言い渡されたが、第1審で敗訴が確定した〉



 裁判所は佐藤を「越境通勤市議」と呼ぶ根拠はないと認定しているのであり、前段は明らかな虚偽である。

 なお1月4日に更新されたインターネット版『東村山市民新聞』では「判決を言い渡された」と「第1審で敗訴が確定した」の間に〈控訴もできず〉が挿入されており、佐藤が「『越境通勤市議』と呼ばれても仕方がない」とされたかのようにより強く印象付けている。〈第1審で敗訴が確定した〉という部分は事実だが、佐藤は「越境通勤市議」とする宣伝に根拠がないことを裁判所が認定したことで控訴しなかったにすぎない。これが「第1審で敗訴が確定した」ことの意味であり、請求が棄却されたからといって、佐藤が裁判所から「『越境通勤市議』と呼ばれても仕方がない」などと認定されたわけではないのである。



④〈(佐藤は)「越境通勤市議」の判決を受け(た)〉



 この部分もまた、上記と同じ理由で虚偽であり、佐藤が矢野の宣伝するような判決を受けた事実はない。つまり、上記③④は〈第1審で敗訴が確定した〉という部分を除いていずれも虚偽であることは明らかである。

 佐藤が提訴した裁判の判決の時点で、矢野は2度にわたり裁判所が「佐藤には東村山における生活実体がある」と認定したこと、すなわち矢野の主張する「越境通勤市議」には根拠がないと認定された事実を知ったことになる。矢野は相当性を認定されたことで損害賠償の支払いを免れたが、当時と現在では異なる判断もあり得るのではあるまいか。

他人は平気で批判

 余談だが、ビラ第184号には、住所には生活実体がともなっていなければならないとして、生活実体が認められず資格を取り消された埼玉県新座市議の例が挙げられている。同市議の生活実体を調査した選管は「電気、水道などは生活していれば当然使用する量ではなく」などとして、その市議には新座市における生活実体がないと判断したという。

 ただ矢野と朝木も、ガスや水道の使用量をめぐって他人のことをとやかくいえる立場にはないのではないかという気もする。実は議席譲渡事件でも似たようなことがあった。

 新座市議の場合は、当該自治体に生活実体があるから同自治体の市議としての資格があると主張したが、朝木の場合は逆だった。朝木は「千葉県松戸市に生活実体があるから、自分は東村山市議としての資格がない」と主張していた。もちろん矢野の繰り上げ当選が適法に行われたと主張するためである。その朝木は裁判で、矢野がビラで例として取り上げた新座市議と同様にガスが使用されていないとして追及されたことがあったのである。

 平成7年4月23日に行われた東村山市議選で当選した朝木は、次点で落選した矢野を繰り上げ当選させるために同年4月26日、千葉県松戸市に住民票を移した。そのわずか2週間後の同年5月9日には同市内で2度目の転居をし、さらに20日後の同年5月29日、やはり同市内で3度目の住民票移動を行っている。

 矢野と朝木による議席譲渡事件を追及していた東村山市民ら(「『草の根グループ』の議席の私物化を許さない会」=以下、「許さない会」)は朝木の松戸市における生活実体を調査した。最初の移転先は朝木の父親、大統が勤務する会社が所有する一戸建ての普通の民家で、すでに4人家族が暮らしていた。

「許さない会」が調査したのは2度目の移転先であるワンルームマンションである。この部屋も父親の会社の所有物件で、賃借人のほとんどが事務所として使用していた。その部屋は当時、千葉県浦安市から差し押さえられており、朝木が住民票を移したあとも、その部屋のドアには前に入居していた会社の看板が貼りつけられたままという、通常の賃貸物件とはとうてい思えない状態にあった。

 そんな部屋に朝木は住んでいたと主張していたのである。朝木はこの部屋に住民票を移してから20日後に3回目の転居をしている。

ガスコンロをめぐる供述

 朝木は本当にその通常の状態ではないマンションで生活していたのか。「許さない会」がガスメーターを調査すると、朝木が住民票を置いていた期間にはまったく変化がないことがわかった。裁判ではこの点が追及された。



「許さない会」代理人  あなたは特段にガスを使わない、電気を使わない、水道を使わない、そういったことはありますか。

朝木  使いますね。

代理人  シエスタビル(筆者注=朝木が松戸で2回目に住民票を置いたマンション)のガスは4月、5月、6月まったく使用されていないんですよ。

朝木  ガスは使ってないかもしれません。

代理人  使ってないんですか。

朝木  電気コンロではありませんでしたか。

代理人  ガスがついてるんですけれども。

朝木  私はガステーブルにあった電気コンロを使用しておりましたので。

代理人  わざわざ、ガステーブルはあるけれども使わなかったと。

朝木  ガスはガスレンジ自体がそこに置いていなかったので、私はそこにあった電気コンロを使って、電磁コンロというんですか、それがガス台の上に置いてありましたので、それを使用しておりました。

……

代理人  ガスはまったく使わなかった。

朝木  と、思いますけどね。



 ガスの使用について聞かれた朝木は当初、「ガスは使ってないかもしれない」と曖昧に否定していたが、さらに追及されると、途中から使っていたのはもガスではなく「電気コンロ」だったと明確に答えている。それほど鮮明に覚えているのなら最初からいえばよさそうなものだが、コンロについて聞かれるまではそうは答えなかった。

 また、最後に「ガスは使わなかったか」と念を押されると、朝木は「と、思いますけど」と口を濁した。通常、ガスを使わない生活はオール電化マンションでなければ特殊な状況と考えられる。そのマンションにはガスが通っていた。そんなマンションで朝木がガスをいっさい使わなかったとすれば、そのことを覚えていないはずがあるまい。不自然な供述というほかない。

 朝木が契約する前に入居していた会社の関係者にものちに話を聞くことができた。すると関係者は「マンションではガスコンロを使っていた」と即答している。朝木が供述したように「ガス台の上に電気コンロを置いて使っていた」などという特殊な事情があったなら覚えていそうなものだが、関係者の口からそんな話はいっさい出なかった。常識的にも、ガス台があればガスコンロを使うのが普通だろう。

 朝木の供述と前に入居していた会社の関係者の証言を総合すると、朝木はガスの使用量が変化していないこと、すなわち松戸に生活実体がなかったことを否定するために「ガスコンロの上に置いてあった電気コンロを使った」などという苦しい供述をしたとみるのが自然に思える。ガスコンロをめぐる朝木の供述は裁判官に対しても、かえってそこに生活実体がなかったことを印象付けたのではあるまいか。最高裁は生活していたとする朝木の主張を否定し、松戸市内における少なくとも最初の2回の転居について生活実体がなかったと認定したのである。

 被選挙権に関わる生活実体についてここまで不誠実な主張を繰り返した矢野と朝木が他人の住所を問題にするのなら、議席譲渡事件で市民を欺いたことについて謝罪するのが先ではあるまいか。

(了)
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