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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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「議席取り戻し」事件 第7回
発揮された特異性

 平成9年8月25日、最高裁判決によって議席譲渡の企みを阻止された「草の根市民クラブ」の矢野穂積は東村山市議会から逐われ、それを受けて開催された選挙会が「当選者を定めることができない」とする決定を行ったことで「草の根」は当初2議席を得ていた議席のすべてを失った。東村山市議会は同年9月11日に開催した本会議において「議席譲渡事件に関する最高裁判決を支持する決議」を全会一致で決議するとともに、東村山市長もまた矢野と朝木による議席譲渡が無効とされたことを歓迎する所信表明を行った。

 しかし、選挙会の決定から9月議会の初日を迎えるまでの間、矢野と朝木は最高裁判決後の行政と議会の動きに対して激しい抵抗を行っていた。矢野らは選挙会の決定に対して意義申出を提出、朝木はかつて議員であることを否定したにもかかわらず一転して市議として扱うよう再三にわたって議長に迫った。しかし議長は、選挙会の決定を尊重するとして朝木の要求を撥ねつけていたのだった。

 これに対して朝木は9月定例会初日、東京地裁八王子支部に東村山市や議長に対して「議員としての業務妨害禁止」を求める仮処分申請を行った。矢野と朝木は政治宣伝ビラ『東村山市民新聞』第87号で最高裁判決後の行政側の対応を激しく非難し「矢野の繰り上げ当選手続きをやり直せ」と主張していた。

 通常なら、民意を踏みにじり、市民や行政に多大な迷惑をかけたことについて市民に対して謝罪するのが普通と思われた。しかしそれどころか矢野と朝木は、朝木が虚偽の住民票移動をしたことを隠しつつなおも議席譲渡の正当性を主張しているのだった。普通では思いつかないことを思いつく彼らの特異性は、どこまでいっても常識の追随を許さないようだった。

支持者からも抗議

 しかし、よくわからないが、彼らの主張に同調する支持者もいた。ビラ87号に「寄稿」したKである。明代の万引き事件で被害者に対する威迫行為に同行したほどだから、議席譲渡にも違和感を覚えなかったのかもしれなかった。

 東村山市議会は平成9年9月定例会の終了後、同年10月1日付で「市議会だより臨時号」を発行した。1面には〈草の根グループの議席譲渡は無効〉という副題があった。民意を踏みにじることで民主主義を脅かし、議会を混乱に陥れた議席譲渡事件の結末について東村山市議会として市民に報告するとともに、議会としての考えを示そうとしたのである。臨時号には「議席譲渡事件に関する最高裁判決を支持する決議」を議決したこと、および最高裁判決を評価する市長の所信表明も掲載されていた。東村山市議会として議席譲渡事件はそれほど重大な出来事だったということだった。

 ところがその掲載内容に対して、支持者のKから議長と市長宛にそれぞれほぼ同じ内容の抗議文書が届いたのである。

 Kは文書でまずこう主張していた。「臨時号には『草の根グループの議席譲渡は無効』と記載されているが、最高裁判決にはそのような文言はどこにもない」と。平成9年8月26日付『朝日新聞』も朝刊1面で〈議席譲渡は無効〉の見出しを打った。これに対して矢野は〈朝日新聞の勝手な解釈〉などと非難している。

 しかし、矢野の繰り上げ決定までの過程で朝木が矢野に議席を譲ることを目的として松戸に住民登録をしたことは最高裁判決にも記載されている。最高裁はそれが住所とは認められない状態だったと認定、したがって朝木は東村山市議となっていたから選挙会が行った矢野の繰り上げ当選の決定は無効であると結論づけたのである。

 矢野と朝木の間に議席譲渡の意図があったことは明らかであり、朝木の被選挙権を失ったとする申告に騙された選挙会の決定が無効となったのだから「草の根グループの議席譲渡は無効」という見出しは間違いではないのではあるまいか。矢野は「議席譲渡」をなかったことにしたいのかもしれなかった。

 ビラ87号で2度の住民登録の場所が住所とは認められなかったことに触れてないことにもその意図が隠されているように思えた。たんに朝木が生活の本拠を移したことにより矢野が繰り上げ当選となったのなら、議席譲渡の意図ではなかったと主張することができる。(この抗議文書が矢野によるものでなければ)Kは矢野の意思を代弁したようにもみえる。

逆に市長の責任を追及

 文書でKは議会に対し、最高裁が〈「選管」が95年4月中に朝木直子さんの当選失格を判断し繰り上げ当選の手続きをとったのは誤り〉とした部分のみを取り上げ、〈改めて繰り上げ当選の手続きが必要とされている〉と主張。また市長に対してはこう述べていた。

〈市長は、東村山市の代表者であるにもかかわらず、……選挙管理委員会が誤った手続きをとったことを最高裁から指摘されたこと、その結果、矢野穂積氏や朝木直子さんに迷惑をかけた点について反省を全くしていない所信表明を行っている点は極めて無責任かつ重大である。〉

 抗議文の名義はあくまで矢野、朝木本人ではないから、「反省すべきは自分たちではないのか」とはいえないが、選挙会が判断を誤ったことについて市長の責任を追及するとは本末転倒もはなはだしいのではあるまいか。少なくとも、ビラ第87号と同様にこの文書においても矢野と朝木にはなんらの落ち度もないことになっていた。

 その上でKは、議長と市長に対してそれぞれ以下の回答を求めた。



(議長に対して)

1 事実を偽って、勝手に……「草の根グループの議席譲渡は無効」と記載し、税金を無駄に遣って、宣伝したことを、次号の「市議会だより」で納税者市民に対して謝罪すること。

2 次号の「市議会だより」で……最高裁判決とりわけ市議会の責務について……全文を掲載し、公表すること。

3 この「臨時号」の印刷及び配布の費用の総額を明らかにすること。

(市長に対して)

1 ……選挙管理委員会が誤った手続きをとったことを最高裁から指摘されたにもかかわらず、市の代表者として、なぜ、一切、反省又は陳謝しないか。

2 選挙管理委員会の誤った手続きで矢野穂積氏、朝木直子さんに迷惑、損害を加えたほか、議会だより臨時号にまで、所信表明を掲載した点をどのように反省しているか。



 矢野と朝木に対してではなく市長に反省、陳謝を求めるとは、常識とはかなりのずれがあるのではあるまいか。

「草の根」の古くからの支持者Kの抗議に対して議長は、3については「いずれ公表する」としたものの、他の申し入れは拒否。市長は2項目とも「権限外」であると答えた。いずれもきわめて常識的な回答であるように思われた。

(つづく)
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