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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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りんごっこ保育園食中毒騒動退園事件 第2回
すぐに転園希望を提出した保護者

 さて、当事者である保護者に対して「デタラメ情報を伝えた」と決めつける一方、平成18年11月13日11時30分ごろ、矢野は昭和病院を訪れている。高野博子、朝木直子も同行した。矢野は医師が保健所に通報したことについて2時間にもわたり繰り返し非難した。これに対して病院側は「法に従って行動しただけで、病院にはなんら落ち度はない」とする説明を繰り返したという。その間、矢野は「当事者(医師)を出せ」とする趣旨の要求もしたが、医師は勤務中であり、病院側はこれを拒否した(矢野らはやりとりの一部始終を録音していた)。

 11月13日といえば、すでに保健所が一応の結論を出したあとである。にもかかわらず、なぜ矢野は病院にわざわざ出向いたのか。病院(医師)に非を認めさせたかったのか。矢野の目的は判然としないが、矢野は「次の議会質問で取り上げるからな」と、脅しとも取れる捨てぜりふを残していった。対応した職員は矢野について、きわめて特異な人物であるという認識を持ったという。

 この日の午後、東村山市保健福祉部でも動きがあった。高野施設長から「デタラメ情報を伝えた」と決めつけられ、非難された保護者が転園希望を提出しに訪れたのである。保護者はその際、窓口の担当者に11月10日の出来事についても話したが、その中には保護者が矢野からいわれた内容も含まれていた。ただし、保健福祉部としては一方当事者の話であり、施設長の高野からはなんらの説明もしてもらえないため、保護者の話を客観的事実とは確認できないという判断だった。では、この保護者はなぜ転園を希望したのか。

 この点について保健福祉部は「家庭の事情」としか説明していない。しかし、転園と退園とでは背景事情は大きく異なる。退園なら子供を保育園に預ける必要がなくなったものと考える余地もあるが、転園とは今も保育所に子供を預けなければならない状況になんら変わりはないということを意味する。

 さらにこの保護者の転園希望提出に至る具体的な事実背景、つまり転園希望の提出が11月10日の出来事から土日を挟んだわずか3日後と、どうみても急なものであること、またこの日園内で配布された印刷物の内容からすれば、保護者が医師に「園の半数が嘔吐した」と説明したことについて高野から責められた可能性が高いことなどから推測すれば、この保護者は「りんごっこ」保育園の本質を知り、この保育園にはもう1日たりとも子供を預けたくないと考えたとみるのが自然である。

 実は、保健所が検査に入った翌日の11月11日、保健福祉部長は矢野から前日の件で「報告」を受けている。部長によれば、矢野が「保健所が入ったが食中毒はなかった。(保護者が)デマを流しているので園としては困っている」といったのに対し、部長は「月曜日からの保護者への対応と病院へ行かれた保護者のケアをしっかりやってください」と伝えたという(なおこの際、部長は矢野からの「報告」を正式な報告とは受け止めていない。本来、その報告は施設長である高野自身がしなければならないなのである)。

 しかし、矢野にとって「保護者への対応」と「病院へ行った保護者のケア」とは、騒ぎが1人の保護者の「悪意のあるデタラメ情報」によるものと決めつけることにほかならなかった。そこには子供を思う母親の気持ちに対する配慮などみじんもない。ちなみに、この保護者が転園手続きをした翌日にはもう1人、別の保護者が「転園」手続きを行っている。その保護者は高野作成の「保護者のみな様へ」を市の窓口に持参した。少なくとも保護者が、その内容に賛意を示したという話は聞かない。

 病院に行った保護者が転園希望を出した1週間後、この保護者の本当の転園理由をうかがわせる保育園の印刷物が再び配布されている。印刷物には次のように書かれていた。

〈園の顧問弁護士さんのお話では、事実に反することを言って保育園の業務を混乱させたり業務停止させようとする行為は「偽計業務妨害」という犯罪にあたるということです。〉

〈園長の諮問機関の学識経験者等による「運営委員会」が開催され、この問題を教訓にして「園児の保護者が虚偽事項を申告などして園……の信用を傷つけた場合には退園勧告ができる」とするよう「意見具申」がありました。〉(筆者注=ここにいう「運営委員」とは矢野と朝木のことである)

 まさに矢野と高野にとって、「偽計業務妨害」と「退園勧告」の両方に該当するのが転園手続きを行った保護者であるということになる。「虚偽事項を申告などして園の信用を傷つけた場合には退園勧告ができる」というのだから、この保護者の場合もなんらかの形で「退園勧告」がなされた可能性がないとはいえまい。道義的のみならず制度上も、保護者が自治体と契約し、自治体が各園に保育を委託するという認可保育園制度において、園が独自に保護者に対して「退園勧告」ができるのかどうか。保健福祉部は「退園勧告はできないものと理解している」と答えている。

「知らねーな」とトボけた矢野

 高野から「悪意のあるデタラメ情報を流した」と決めつけられた保護者の転園理由が今回の事件にあったとすれば、この保護者に対する矢野と高野の対応に原因があったとみるのが自然だろう。だとすれば、転園の人数にかかわらず、「りんごっこ」保育園では食中毒とは別に、より重大で深刻な新たな事件が発生していたということになる。

 この件について私は平成18年12月13日午後4時20分ころ、「運営委員」である矢野に直接取材を試みた。以下は、矢野とのやりとりである。

――退園者が出たんですって?

矢野  知らねーな。

――もう公知の事実ですよ。

矢野  なんでお前がそんなこと知ってるんだ?

――委員会で報告があったんですよ。どうしたんですか?

矢野  お前には関係ないだろ。(東村山市に)税金も払ってないくせに。

 矢野はそういって話をそらし、決して核心に近づけようとはしなかった。このやりとりは矢野の隣で朝木直子が録音していた(会話を録音するのは彼らの習性)。では、このきわめて短い取材でわかったことは何か。

 まず、「運営委員」として今回の一連の事件のすべての局面で前面に出てきた矢野は、病院に行った保護者が転園したことについて「知らねーな」と虚偽の回答をした。それは矢野自身の「誰から聞いた」という反問からも明らかである。

 矢野はなぜ、知らぬフリをしようとしたのか。最初の園の印刷物の内容が事実で、矢野(=高野)の側に正当性があるのなら、なにも「転園の事実を知らない」とまで答える必要はあるまい。印刷物にあるとおり、「悪意のあるデタラメ情報を流した」といえばすむ話である。つまり保護者の転園に関して、矢野にはなにか知られたくない事情があるということではないか。

 その事情とは何か。矢野が昭和病院に対しても医師に対しても執拗に抗議し、非難している事実、2つの印刷物の記載内容、保護者が実質的には立ち入り検査の翌日に転園手続きをしている事実、矢野が転園の事実を「知らねーな」とごまかそうとした事実――を積み上げれば、矢野あるいは園側が保護者に対し転園を決意させるに至るような発言をしたのではないかと推測することに必ずしも合理性がないとはいえまい。

(第3回へつづく)

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