ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

「議席取り戻し」事件 第15回
東京高裁の判断

「議員として扱え」とする主張を退けられた朝木は抗告理由書で次のように主張していた。

「市選管が判断を誤って矢野を繰り上げ当選させた結果、朝木直子の市議資格は(なくなったのではなく)『封印』されていた。しかし最高裁判決によってこの『封印』は解かれ、朝木は市議会議員として蘇った。よって、東村山市議会は朝木を議員として扱わなければならない」(趣旨)

 朝木の主張は奇特である上に、東村山市議会は選挙会の決定を無視して朝木を議員として扱えと主張するものでもあった。東村山市議会は「当選人を決定することができない」とする選挙会の決定に従い朝木の要求を拒否したのだが、議会が選挙会の決定を無視することができるのだろうか。

 東京高裁が論点としたのはこの点だった。東京高裁は朝木の主張する「封印論」には付き合わず、こう述べた。

「東村山市議会は選挙会の決定に従い、朝木を市議会議員として処遇していない。(公選法に基づいて開かれる)選挙会の決定は行政処分としての性格を帯有し、公定力を有するものというべきである(したがって、矢野の繰上当選の効力が否定されても、これによって当然に朝木の当選人としての地位が復活するものではなく、朝木を当選人とする旨の選挙会の決定があって初めて朝木は当選人となり、議員としての地位を得ることができるものと解すべきである)。

 東村山市議会が朝木を議員として扱わないとする対応に対する朝木の本件仮処分申請は、実質的に行政処分である選挙会決定を覆そうとするもので、このような仮処分は許されないというべきである。」(趣旨)

「東村山市議会は自分を議員として扱え」とする主張を認めることは、選挙会が行った行政処分を事実において無効化させることになり、容認できないということである。

 東京高裁の判断は、「衆院選に立候補しているから市議資格を主張する前提を欠く」とした一審の判断とは判断の基準が異なっていた。しかしいずれにしても、東京高裁は結論において一審判決は相当であるとし、朝木の請求を棄却したのである。

 これに対して朝木はさらに最高裁に対して特別抗告を行ったものの、平成11年1月29日、最高裁はこれを却下した。平成9年9月2日、議席譲渡を無効とした最高裁判決を受けて開催された選挙会が「当選人を決定できない」とする決定を行い、東村山市議会はこれに従って朝木を市議として扱わなかった。これを不服とし、「自分を議員として処遇するよう」朝木から提起された仮処分申立事件は、申立から1年半を経てようやく終結したのだった。東村山市はかつて落選した矢野を繰り上げ当選させるために自ら市議資格を喪失させようとはかった者のために、相当の弁護士費用と職員の貴重な時間とエネルギーを浪費させられたことになる。

 平成11年1月といえば、この議席譲渡事件から丸4年がたとうとする時期だった。3カ月後にはまた東村山市議選が控えていた。矢野と朝木は矢野の繰り上げ当選を無効とした最高裁判決後も、彼らの利害のみのために2年間にわたり彼らの議席を主張し続けていたのである。

もう1つの判決

 さて、議会に対する朝木の仮処分申立は棄却されて確定したが、その前日の平成11年1月28日、矢野らが選挙会の決定に異議を申し立て、「結局は矢野が繰り上げ当選人となる結果は変わらない」などと主張していた裁判の控訴審判決が言い渡されていた。

 判決は大方の予想を覆すものだった。東京都選管は「当選者を決定できない」とした東村山市選挙会の決定を支持し、矢野らの異議申出を棄却する裁決を行っていた。ところが東京高裁は判決で、東京都選管の裁決を取り消す判決を言い渡したのである。

 判決で東京高裁は次のように述べた(いずれも趣旨)。

「最高裁判決の趣旨では、原告(筆者注=朝木)が議員の身分を有していることを前提としなければならず、これに反する措置をとることは許されない」(『毎日』)

「朝木氏がいったんは当選したと扱うべきだ。その後、朝木が被選挙権を失ったかどうかは市議会の決定に委ねられる」(『読売』)

 東京都選管は朝木が最高裁判決以前に東村山市の被選挙権を失っていたこと、平成8年に衆院選に立候補していたことから当選人とすることができないとした選挙会の決定を追認した。しかし東京高裁は、東京都選管の裁決すなわち東村山市選管の決定を取り消す判決を言い渡したのである。

 平成7年5月21日、東村山市選挙会は矢野と朝木に騙されて矢野を繰り上げ当選させてしまったことが、平成9年8月25日の最高裁判決によって確定した。最高裁の認定によれば、矢野を繰り上げ当選させた時点ではまだ、朝木は朝木自身の主張に反して生活実体は松戸には移っておらずいまだ東村山にあった。すると朝木は議員任期の始期である平成7年5月1日には東村山市議の地位に就いており、5月21日の時点ではまだその地位に変更はなかったことになる(だから矢野の繰り上げ決定は無効となった)。東京高裁は、東村山市選管は最高裁判決に従い、いったんは朝木が議員の地位にあることを前提にした決定をしなければならないとしたのである。

 朝木を議員として扱うかどうか、本来なら選挙会が判断する問題ではないのかもしれない。しかし平成7年、朝木自身の(虚偽の)申告によってすでに選挙会は朝木直子の被選挙権喪失認定と矢野の繰り上げ当選決定という行政処分がなされている。公定力を持つ行政処分を更新するにはやはり、東村山市選管が選挙会として新たな行政処分をする必要があったのだろう。

 選挙会はいったん朝木直子が当選人であることを認め、東村山市議会はただちに臨時議会を招集し、朝木がその後、東村山市の被選挙権を喪失していることを確認し、市議資格を喪失していることを議決すれば何の問題もなかったということになろうか。

 いずれにしても確かなのは、この判決は「矢野の繰り上げ当選を認めるべき」というものではないということだった。

(つづく)
関連記事

TOP