ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

『聖教新聞』事件 第34回
「緑がかった色」で「薄い色」

『聖教新聞』裁判で矢野が明代の「万引き」を否定するにあたり、「アリバイ」主張とともに最大限のエネルギーを傾注したのが、万引き事件当日の明代の服装に関する主張だった。

 明代を目の前で追及した被害者は明代の服装について「グリーングレーのパンツスーツ」で、「スーツの下には黒のチャイナカラーのブラウスを着ていた」と証言している。ここでいう「グリーングレー」とは「グリーンがかったグレー」という意味で、被害者が独自に用いた表現で、「チャイナカラー」とは襟がいわゆるチャイナドレスと同じ形状をしたものである。なお被害者の供述によれば、万引き当時、明代は上着のボタンをはずしており、黒のブラウスがよく見える状態にあったという。

 ところが矢野は裁判で、万引き事件当日の明代の服装は被害者の供述とは違うものだったとする主張を展開したのである。つまり被害者の証言にある万引き犯の服装と明代の当日の服装は一致しないから、明代は万引き犯ではないというのだった。その主張はどこまで合理性と信用性のあるものだったのか。

 まず矢野は、陳述書で次のように主張している。

〈当初、目撃者らは、万引き犯は「黒っぽいスーツ姿」だったと証言し、店主も犯行直後には、万引き犯は、グリーングレーのパンツスーツ、襟がチャイナカラーのブラウスを着用していたと供述していました。〉

 被害者は明代の服装について「グリーングレー」だったと供述しているが、前述したように、その色は「グリーンがかったグレー」であり、黒っぽいというものではない。ところが矢野の上記の供述からは、「黒っぽいスーツ」だったとする目撃証言(筆者注=矢野の主張)の紹介に続いて被害者の証言を〈店主も〉とつなげることで、被害者の証言する「グリーングレー」が「黒っぽいもの」を意味するものであるかのように主張しようとしているものと理解できる(なお、明代の服装を「黒っぽいスーツ姿」と証言した目撃者は1人だけで、これは矢野の「他殺説」に与する野田峯雄というジャーナリストの取材によるものである)。

 被害者は尋問でも「グリーングレー」の色合いについて具体的にこう供述している。



(「グリーングレー」の色合いに関する被害者の供述)

――あなたが見た(犯人の服の)色、何色でしたか。

被害者 「グリーングレー」です。

――どんな感じの色でしたか。

被害者  グレーで、でも緑っぽい。

――緑っぽい。

被害者  はい、緑がかった色です。

――濃い色でしたか、薄い色でしたか。

被害者  どちらかといえば、薄い色だと思います。

――黒っぽい服じゃなかったでしたか。

被害者  黒はブラウスです。



 一言で「グリーングレー」といっても、これは常日頃服飾を扱っている洋品店主が目の前で見た服装に関してきわめて微妙な色合いを伝えようとした表現である。それも法廷で、迷いなく、明確に「グレー」の「緑がかった色」で「薄い色」と供述していることは重要である。矢野は陳述書で、被害者の証言する「グリーグレー」が「黒っぽい」色であるかのように強引に曲げようとしているようにみえる。

自ら被害者の証言の正しさを証明

「黒っぽいスーツ姿」だったと証言した目撃者の情報を矢野に提供した野田の報告書によれば、この目撃者はイトーヨーカドーを出たところで、店主が明代を追及している場面を見たという。しかし、野田が取材した目撃者の証言が勘違いだったことはのちに明らかになる。

 明代は東村山署で虚偽のアリバイを主張した際、万引き現場には行っていないとして事件の1時間前に立ち寄っていたたくぎんの振込記録を提出した。万引きよりも1時間前だから、それはもちろんアリバイの証拠にはなり得ない。

 しかし東村山署が念のために防犯カメラの映像を確認すると、明代の供述するとおりの時刻(14:12)にキャッシュコーナーを利用する明代の後ろ姿が映っていた。明代が万引き事件を起こす前に銀行で振込をしていたことだけは確かだった。振込の内容は、矢野と明代が当時はほぼ毎月発行していた政治宣伝ビラ『東村山市民新聞』の新聞折り込み代金15万6078円である。

 東村山署は静止画像を入手して被害者に見せると、被害者はその後ろ姿は明代であると断言した。その根拠は、髪形や服装、持っているバッグなどの特徴が万引き現場の明代と同じだというのだった。

 その映像は白黒で、上着の色は白っぽく映っていた。静止画像は被害者の「グリーングレー」で「薄い色」という供述の確かさを裏付けており、野田が取材した目撃者の「黒っぽいスーツ姿」だったという証言を否定していた。皮肉なことに明代は、虚偽のアリバイを主張するために振込記録を提出したことで、逆に被害者の申告内容の正しさを証明してしまったことになる。

 それでも矢野は、この裁判で明代の銀行振込の際の静止画像に基づき、明代の万引きを否定しようとしていた。その手始めが、被害者の証言する「グリーングレー」が「グレー」を基調とする色ではなく「黒っぽいスーツ」という趣旨であると主張することだった。万引き現場で見た犯人の服装が「黒っぽい」ものだったということになれば、明代の当日の服装とは異なることになる――それが矢野の狙いだった。

『週刊新潮』でも「グレーっぽい」という目撃者

 ちなみに、明代が窃盗容疑で書類送検された直後に発行された『週刊新潮』(平成7年8月25日号)には次のような目撃者の証言が紹介されている。

「犯人がショートヘアで、グレーっぽいパンツスーツ姿の女性だったことは覚えています」

 のちに矢野のデマ宣伝を盲信してしまった『週刊新潮』でさえ、万引き犯の服装は「グレーっぽいパンツスーツ」だったとする目撃者のコメントを紹介していること、さらにこの目撃者が色について「グレー」ではなく「グレーっぽい」と答えている点は重視すべきである。この目撃者は「グレー」ではあるが、普通の「グレー」とも違う色と認識したことがわかろう。

 服装の専門家である被害者は明代の服の色について「グリーングレー」すなわち「グリーンがかったグレー」だったと証言した。服装の専門家ではないこの目撃者の表現は、事実を説明するという意味において、被害者が証言する「グリーングレー」と矛盾しない。むしろ矢野は「白っぽい色」であることが証明されている明代の服装との同一性を否定するために、被害者の証言する「グリーングレー」を強引に「黒っぽい色」にしようとしていたようにみえる。

 それには理由があった。矢野によれば、矢野と朝木は平成7年9月に東京地検で事情を聴かれた際、銀行振込をする明代の静止画像を見せられたという。画像は白黒だが、少なくとも朝木のスーツの色は「白っぽく」映っていたのである。

(つづく)
関連記事

TOP