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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第36回
「静止画像」の提出を求めた矢野

 目撃者が万引き犯の服装について「グレーのパンツスーツ」と証言していることを知らされた明代はその後、自分が着ていたパンツスーツの色を明らかにしなかった。ところが、矢野が2年もあとになって「明代が着ていたのはベージュのパンツスーツだった」と主張しはじめるとはきわめて不自然に思えた。その不自然さを超えて矢野が裁判所や捜査機関を納得させるには、目に見える確かな証拠を示すしかない。

 最も説得力があると思われるのは万引き当日の明代の画像が映っている銀行振込の際の画像を法廷に提出することだが、事件から4年もたっていては(『聖教新聞』裁判で矢野が陳述書を提出した時点=平成11年5月31日付)もう画像自体が残っていない。では矢野はどうしようとしたのか。

 その前提として矢野は、万引き事件当日の明代の服装について陳述書でこう主張していた。



(「矢野が作成した静止画像と実際の服装との同一性」に関する矢野の主張)

(東京地検で見せられた静止画像には)当日の朝木議員の着ていた服装の特徴がよくうつっていました。……店主が……苦し紛れに主張している「白灰色っぽい、薄い緑色」という犯人の服装も、当日の朝木議員のスーツの色とは違っており、……朝木議員は、当日、チャイナカラーのブラウスなども着ておりません。

 なぜならば、当日朝木議員が着用していたスーツは、遺族が保管していて、洋品店主の主張する「白灰色っぽい、薄い緑色」ではないからです。この保管されているスーツは、拓銀の防犯ビデオから再生された写真に写ったスーツの特徴、すなわちスーツの上着には男性の背広のような襟に当たる部分がなく、スーツの裾に紐が通っていて裾を絞れる形状になっているという特徴が、完全に一致しているから、同一のスーツであることがわかるのです。



 矢野はこう主張した上で、裁判所に対して東村山署が明代を書類送検した際に資料として添付した静止画像の提出を命じるよう求めていた。裁判所が警視庁に静止画像の提出を命じ、法廷に提出されれば、そこに映ったパンツスーツが「スーツの上着には男性の背広のような襟に当たる部分がなく、スーツの裾に紐が通っていて裾を絞れる形状になっている」ものであることが確認されるだろう――矢野はこう主張したいようだった。

矢野の要求に対する裁判所の対応

 通常、警察は刑事事件の証拠を民事裁判には提出しない。またそれ以前に、裁判の当事者から相手方が保有している証拠の提出を求める申立がなされたとしても、裁判所が無条件に申立を認めることはない。本件においては、矢野の要求に相当の理由があると裁判所が認めないかぎり警視庁に対して静止画像の提出命令を出すことはない。通常は民事には提出しない捜査資料の提出命令となれば、なおさら軽々に出せるはずがなかった。

 警視庁に対して静止画像の提出命令を出すかどうかの判断は、それによって捜査機関の結論に重大な影響を与える可能性、すなわち捜査結果が覆ると判断した場合に限られよう。そうでなければ、わざわざ捜査機関に対して刑事事件の証拠を提出させる意味がない。

 したがって裁判所は、矢野が「静止画像を見せられた記憶から、万引き事件当日の明代のスーツの色は被害者の証言とは異なる」とする陳述書における主張だけでなく、それまで矢野と朝木が主張してきた内容とも合わせて総合的に判断することになる。言い換えれば、裁判所が警視庁に対して静止画像の提出命令を出すかどうかによって、万引きを否定する矢野の主張を裁判所がどう見ているのか、一定の推測をすることができるということでもあった。

 レストランで食事をしていたとするアリバイ主張もまた重要な判断材料である。この点については、明代だけでなく矢野もまたそれまでのアリバイ主張を自ら放棄したことを裏付ける事情聴取記録を提出しているから、むしろ提出命令を否定する材料だろう。

 では、矢野がこの陳述書で「東京地検で見せられた写真のパンツスーツには裾が絞れるという特徴があって、そのスーツの色は被害者が証言する『グリーングレー』とは異なる」と主張している点についてはどうだろうか。矢野は保管していたスーツの特徴が、矢野の記憶する静止画像に映ったスーツの特徴に一致しているから「グリーングレー」のパンツスーツではないと主張している。

 この主張を裁判所が「信用性がある」と認めた場合には提出命令を出すかもしれない。しかし、警察の保管している静止画像と遺族が保管しているパンツスーツの同一性が、彼らの主張だけで保証されたといえるのだろうか。矢野の主張の根拠は唯一、矢野と朝木の記憶のみである。これでは客観的な裏付けとはいえないように思える。

 裁判所は結果として、警視庁に対して静止画像の提出命令を出さなかった。提出命令を出すには根拠に乏しいと判断したものとみられた。

立証されない同一性

 こうして裁判は平成11年11月15日、裁判の最大のヤマ場である本人に対する尋問を迎えることとなった。尋問の対象は矢野、朝木直子、万引き被害者、千葉英司と『聖教新聞』の記者である。

 矢野がこの裁判で問題とした『聖教新聞』の記事は、明代の転落死について東村山署が「万引きを苦にした自殺」と結論付けたことを根拠に、「創価学会に殺された」と主張していた矢野と朝木直子の主張を批判したものである。矢野はこの『聖教新聞』の記事によって名誉を毀損されたと主張していた。

 したがって、矢野は捜査機関の結論を覆すことができれば、明代の「万引き犯」の汚名を晴らすことができるとともに、必然的に裁判にも勝つことができる。明代の万引きと自殺を否定したい矢野はこの尋問で捜査機関の結論を覆そうともくろんでいた。

 しかし、裁判所が警視庁に対して矢野の要求していた静止画像の提出命令を出さなかったことは裁判所が矢野の主張を信用しなかったことをうかがわせた。矢野がいかに「万引き当日に明代が着ていたスーツを保管している」とし、それが被害者の主張するスーツとは異なると主張したところで、そのスーツと警察が保管している静止画像の同一性を裏付ける証拠が提出されなければ、矢野のアリバイ主張は成立したとはみなせない。矢野はその証拠を提出してはいないのである。

(つづく)
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