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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第37回
直子がモデルの「再現写真」を作成

 警察が保管している明代のキャッシュコーナーの静止画像が提出される見通しはなかった。普通の人間ならその時点で静止画像の提出はあきらめるだろう。ところが矢野は、静止画像による冤罪立証をあきらめなかった。矢野は明代が着ていたと主張するベージュの、裾に特徴のあるパンツスーツを朝木直子に着させ、同じキャッシュコーナーに立たせて静止画像を「再現」し、証拠として提出したのである。同時に、朝木が着用して正面から撮影したカラー写真も提出した。

 キャッシュコーナーの静止画像では裾が紐を通すようになっているスーツであることがわかり、カラー写真によれば、その同じ特徴を持ったスーツの色はベージュであることがわかる。つまり2枚の写真を合わせれば、万引き事件当日に明代が着用していたパンツスーツは被害者が目撃した犯人が着ていたスーツとは異なる――矢野はこう主張しようとしていた。

 矢野によれば朝木は平成7年11月、東京地検で最初に本物の「静止画像」を見せられたという。それから1年半後の平成9年3月、今度は矢野と朝木の2人が「静止画像」を見せられた。朝木は2回も見たし、自分も1回見たから「記憶に残った」のだという。

 朝木の場合、2回見たといっても1回目と2回目の間では1年半もたっている。常識的には、最初に見たのが1年半も前なら「2回」のうちには入らないと思うが、2回目に再確認したと認識できるほど朝木の記憶力は並外れているのだろうか。いずれにしても、彼らが明代のスーツは「ベージュ」だったと主張する根拠は彼らの記憶だけだった。

 矢野は彼らの記憶に基づいて「再現した」と称するその2枚の写真を、被害者と千葉の順番で行った尋問で使用した。矢野はその際、被害者の尋問の際にはあえて千葉は退廷させてほしいと申し立てた。写真を見せてスーツに関する尋問を行うことを千葉には事前に知られたくなかったということだった。いきなり見せることで、被害者と千葉との間に齟齬が生じることを期待したのかもしれなかった。なお写真の作成日時は、「カラー写真」が平成10年3月3日、「再現画像」が平成12年1月25日である。

合致した証言

 尋問の順序は被害者が先で千葉はその次である。しかし矢野は裁判でも『東村山の闇』でも、千葉の尋問を先に説明し、被害者に対する尋問の様子は後回しにしている。そこであえて矢野の手法にならい、先に千葉の尋問からみていくことにする。

 平成12年2月7日に行われた千葉に対する反対尋問で、矢野の代理人は万引き現場にいた目撃者の証言、取調室でのやり取りなどを聞いたあと、明代が提出した万引き当日の銀行振込記録に基づいて東村山署が作成した問題の静止画像について聞いた。



(静止画像に対する万引き被害者の証言)

矢野代理人  で、これは○○さん(万引き被害者)には見せたですね。

千葉  そうです。

代理人  それで、○○さんの供述とは、これは合致したわけですか。

千葉  合致いたしました。



「『防犯カメラに映った明代の服装や持ち物、髪形等』と『被害者が現場で目撃した犯人の服装等』は同一であることを被害者が確認した」ということを代理人はまず確認した。

いきなり示された「再現画像」

 その上で千葉の目の前に提示したのが、矢野と朝木によって作成された「再現画像」だった。ただ千葉に対してそれは当初、正体不明の画像として示された。

 民事裁判の尋問で証拠を提示する際には事前(遅くとも1週間前)に提出しておくのが通常である。しかし矢野は事前に「再現画像」を提出しておらず、千葉も千葉側代理人もそれが提出されること自体を知らなかった。矢野の代理人は正体不明の画像を千葉に示して聞いた。

代理人  捜査報告書の中にある写真とこれと比較して、何か違いというものはございますか。

 代理人は千葉に示した画像がどういうものであるのかについていっさい説明しない。あくまで本物の「静止画像」とは別物であることを隠した上で尋問しようとしていたことがうかがえる。

 仮に事前に千葉側に提示していれば、本物の「静止画像」と比較できたかもしれず、尋問の場で明確な回答もできただろう。尋問される側は当然、本来は法廷に出るはずのない画像をいきなり見せられ、比較しろといわれれば少なからず当惑する。それが狙いだったのかもしれなかった。

 防犯カメラの静止画像はもとより写真のような鮮明なものではない。その上、千葉が本物の「静止画像」を見てから4年以上の時間がたっている。本物の「静止画像」がそこにあって、それと比較した上で「何か違いがあるかどうか答えてください」というのならフェアといえるが、「再現画像」だけを見せて記憶を頼りに「比較して」というのはそもそも無理がある。この代理人は、千葉が本物の「静止画像」を最後に見たのがいつだったかも確認しないまま、「本物と違いがあるか」と聞いているのだった。

 当然、矢野の代理人が裁判のルールを知らないことはあり得ないし、たとえ見たのが最近だろうと、記憶を頼りに「違いがあるか」などと聞くことに無理があることも最初から承知していないはずがない。言い換えれば、弁護士がそこまでやるには相当の理由があったということである。

 もちろん千葉は、東京地検が彼らに重要な証拠である「静止画像」のコピーを渡すことはあり得ないから、彼らが本物の「静止画像」を提出できないことを知っている。したがって千葉が、代理人がいきなり出してきた正体不明の画像に警戒したことはいうまでもなかった。

(つづく)
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