ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

『聖教新聞』事件 第38回
矢野代理人の誘導

 反対尋問で矢野の代理人から正体不明の画像を見せられ、「捜査報告書の中にある写真と比較して違いがあるか」と聞かれた千葉は、それが本物の「静止画像」ではないことを前提にこう答えた。「……鮮明ですね、まず」と。代理人は重ねて「この服、かばん、髪形、顔、そういったもの」に違いがあるかと聞く。

 これに対して千葉は、その画像がどういう性質のものかがわからないので、代理人に対して撮影の時期を聞いた。これに対して代理人はこう応じた。

矢野代理人  ですから、それはあとでご説明しますから、とにかく証人(=千葉)の捜査記録を見たときのご認識とこれとの違いがあればおっしゃってください。違いがなければいいです。

 千葉が画像に映った顔は明確には判別できない。しかし撮影の時期を答えれば、少なくともそこに映っているのが明代なのか、別人なのか、その確信を千葉に与えることになる。そこに映っているのが明代ではないということになれば、この画像は捜査記録のものと同一でないことになる。代理人=矢野は千葉の尋問にあたり、その画像の正体を知られたくないということのようだった。

 そうでなければ、「あと」ではなく今説明すればいいのである。「あと」なら説明できるのに、尋問の前に説明できないというのは、やはりなんらかの意図があるということと理解できる。もともとその画像は朝木が明代を演じているものだから、「違いがない」ということはあり得ない。

 その画像がいつ撮影されたものかを答えないまま、戸惑っている相手に対して「違いがなければ(ないという回答で)いいです」というのは誘導と取られても仕方がない。なぜなら、矢野と朝木は被害者の証言とは異なるベージュのパンツスーツを明代の服装と主張し、それを着て撮影した画像が本物の画像と同一であると主張している。したがって彼らは千葉から「同じ」=「違いがない」という答えを待っているのだから。

「いつ撮影したのか」という質問に対して代理人が「あとで説明する」と答えたことに千葉は強い違和感を覚えた。「あとで説明する」とは「今は説明できない」という意味であるだけでなく、少なくとも東京地検が保管している本物の「静止画像」と同一のものでないことだけは理解できた。そこで千葉はこう答えた。

千葉  全体として感じは似ておりますね、はい。全体の雰囲気ですよ。

 千葉は「同一ではない」ということを前提に「全体として感じは似ている」と答えたのである。完全に否定されたのではないにしても、代理人としても「全体としては」では具体性に欠けていて不満に感じたようだった。

期待に反する回答

 代理人もグリーングレーとベージュでは、白黒になれば色の区別は難しく、それだけで被害者の証言を覆すことは難しいと考えていたのだろう。しかし被害者の供述とは形状が明らかに異なっており、なおかつ千葉が目の前にある画像と本物の「静止画像」が「同一」であると答えれば、被害者の供述を覆す大きな根拠を得ることができるのである。

 明代の服装について被害者は、「万引き犯(=明代)はグリーングレーのジャケットとその下にチャイナカラーのブラウスを着ていた」と証言している。「チャイナカラー」とは襟が立った形状のものである。チャイナドレスをイメージしてもらえばわかりやすかろう。

 画像にはその点が最も顕著な違いとして現れる可能性があった。だから代理人はさらにこう聞いた。

代理人  服はいかがですか、襟とかですね。

「襟も似ている」という供述を期待したのだろう。これに対して千葉はこう答えた。

千葉  服もちょっと断定はできませんが、雰囲気としてはよく似ておりますね。鮮明ですね。撮影を教えていただければ幸いですが。

 代理人は千葉から襟の形状について具体的な供述が出てくることを期待した。しかし千葉は「断定できない」といい、「雰囲気としてはよく似ている」としか答えなかった。「襟はどうか」と持ちかけたにもかかわらず、千葉からは「襟」という文言さえ出なかった。これでは千葉が本物の「静止画像」とこの画像が「同一と認めた」と主張するのはどう考えても無理である。

 代理人は千葉の供述を聞くと、画像についてこれ以上追及するのをあきらめたのか、画像がいつ撮影されたかについてようやく明らかにした。

代理人  これは、ですから、最近、同じ北海道拓殖銀行、今は中央信託銀行ですけど、この場所をお借りして、こちらが。

 千葉が「再現されたわけですか」と引き取ると、代理人は「そうです」といったきり画像に関する質問を終え、次の質問に移ったのである。ここまでの尋問で仮に代理人が手応えを持ったとすれば、もう少し追及があってもよかろう。

 代理人は具体的に「襟はどうか」と聞いたが、千葉は「断定できない」と答えただけだった。それはごく自然な回答である。千葉が本物の「静止画像」を見たのは4年も前のことであり、その記憶に基づいて、いきなり出された画像と比較して答えろという方が無理なのだった。代理人はそのことも理解していたのだろう。

「同一性を認めた」という詭弁

 ところが矢野は千葉の答弁について『東村山の闇』でこう主張している。

〈(千葉は)この再現写真が、鮮明であって、朝木議員の服装とよく似ている。このことを千葉副署長は、ついに認めた。……この写真の人物が、朝木明代議員だと思っているのである。つまり、服装も同じであるのは当然の認識なのだ。〉

 また本件の最終準備書面でも次のように主張している。



(「再現写真」に対する千葉の供述に関する主張)

「服はどうですか」と聞かれた際、同人は、

「雰囲気としてはよく似ておりますね。鮮明ですね」
 
 と、躊躇なく明解に供述した。

 これによって、原告らが地検支部で現認した……右静止写真に写った故朝木議員の服装と、原告らが……撮影した再現写真に写った服装の同一性が確認されることとなったのである。



 千葉は「静止画像」と「再現画像」の「雰囲気がよく似ている」とはいったが、そもそも同じように見える画像を作成したのだから「雰囲気」が似ていても不思議はなかった。矢野は千葉が「再現画像」が本物と「似ている」といったことをもってことさら「同一と認めた」かのように主張している。しかし、「似ている」ということと「同一である」ということが同じでないのはいうまでもなかろう。

 また矢野は、千葉が「しきりと撮影を教えてほしい」といっているとし、それもまた「再現画像」の人物が明代だと思っているということなどとも主張している。しかし千葉が撮影時期を聞いたのは、これが本物の「静止画像」ではないことを確信しているからにほかならない。「鮮明ですね」といったあとすぐに「いつ撮影なさったんですか」と聞いていることからも、目の前の画像が本物の「静止画像」であるなどとは思っていなかったことは明らかだった。

 矢野としては「再現画像」のスーツが本物のスーツと同一であることにしなければ作成の意味がない。「再現画像」はそのために作成したと言い換えてもいい。そのためには、「雰囲気としては似ている」という千葉の供述を、「同一性を認めた供述」にしなければならなかったのである。

(つづく)
関連記事

TOP