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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第40回
詭弁に加担した代理人

 再び被害者から「違う」と断定された代理人はとうとう詭弁に走ってしまう。

 代理人は「再現画像」とともに朝木がベージュのスーツを着て正面から撮影したカラー写真を示し、2つの写真に写ったスーツが同じものであることを被害者に確認させた。だからといって「再現画像」と本物の「静止画像」との同一性が立証されたわけではないが、その上で代理人は、被害者に「ちょっと聞いていてもらいたいんですが」と前置きしたあとこう説明した。

代理人  ……その写真(筆者注=矢野が作成した「再現画像」)はその(筆者注=本物の「静止画像」)再現ですから、そのものではありませんが、そうすると、その防犯カメラに撮影された写真(筆者注=矢野が作成した「再現画像」)というのは、朝木さんそのものであることは間違いがないんです。ということは、その写真とあなたが見た人物とが同じ服装をしている、あるいは同じ特徴を持っているということがあってはじめて、あなたがいっている朝木さんが朝木明代さんだということがいえるわけなんですね。

 代理人はなんらの客観的な根拠もなく、強引に、「再現画像」が本物の「静止画像」そのものではないが、「再現画像」に写っている服装は本物の「静止画像」に写ったものと同じだといっているようだった。代理人とて、この理屈がとんでもないごまかしであることを知らないはずがあるまい。ところがこの代理人は、本物と同一という裏付けがないことが明らかであるにもかかわらず、被害者の目撃した服装と「再現画像」の服装が一致してはじめて明代が犯人といえるなどという詭弁を弄したのである。弁護士として恥ずかしくはなかったのだろうか。

 ただ、ここまで矢野の主張に沿った理屈を述べたあと、代理人はむしろ「再現画像」の信憑性に問題があることに気づいていることを告白するかのような質問をするのだった。代理人はこう聞いたのである。

代理人  そうすると、あなたが事情聴取を受けたときに見せられた写真の特徴は、あなたが見た犯人だというその人の特徴と一致したということなんですね。

 これでは、「再現画像」のスーツと被害者の証言するスーツとは異なるとする矢野の主張、および本物の「静止画像」のスーツと「再現画像」のスーツは同一であるとする主張のいずれにも反することになる。もちろんこの質問に対して被害者は、なんらの迷いもなく「そうです」と答えた。

 すると代理人はさらにこう聞いた。

代理人  だけども、少なくとも今お見せした148号証の1(=「再現画像」)、あるいは140号証の1(=朝木がモデルのカラー写真)、この服装とは違うということなんですね。

 被害者は「違います」と答えた。2つのやりとりを聞くかぎりでは、矢野の代理人はあたかも被害者の主張を引き出そうとしているようにも聞こえた。

完璧に否定された「再現写真」

 いずれにしても、この2つのやり取りで矢野の代理人が被害者から念入りに確認したのは以下の3点である。



(矢野の代理人が尋問で被害者から確認した内容)

①被害者が見た万引き犯の服装と東京地検が保有している「静止画像」に写った明代の服装が一致してはじめて明代が万引き犯といえること。

②被害者は東村山署で「静止画像」を見せられて、万引き犯の服装と静止画像の明代の服装が同じであることを確認したこと。

③被害者は矢野が作成した「再現画像」と本物の「静止画像」とでは服装に違いがあると供述していること(=矢野が作成した「再現画像」はニセモノという趣旨)。

④また「再現画像」の服装についても被害者は万引き犯の服装とは違うと供述していること(=同上)。



 ここまで聞けば、代理人にも被害者が「再現画像」をニセものといっていることは理解できただろう。しかし代理人はさらに、「再現画像」の信憑性のなさをダメ押しする質問を行う。代理人は万引き犯の服の色について被害者が証言する「グリーングレー」が「緑っぽいグレー」であることを確認した上で、朝木がモデルとなって撮影したカラー写真を示してこう聞いた。

代理人  この服装は、グリーングレーですか。

被害者  いえ、私はそうは思いません。

 この供述をやや曖昧と受け取ったのか、代理人はさらに聞いた。

代理人  グリーングレーではないんですね。

被害者  はい。

 明代のスーツの色は「ベージュ」だったとする矢野の主張を代理人は信用しており、カラー写真を見せることで被害者の供述になんらかの変化が生じる可能性があると考えたのだろうか。しかし被害者の供述に変化がなければ、最後の質問は、被害者の主張するスーツの色を再確認するためだけのものになってしまおう。その心中は定かでないが、矢野の代理人はこれだけ聞くと「再現画像」に関する質問を切り上げた。

 万引き事件当日、明代が着ていたのは「ベージュ」のスーツだったとする矢野の主張が事実と仮定すれば、被害者は「グリーングレー」と証言しているから明代は万引き犯ではないということになる。ただその前提として、矢野が作成した「再現画像」と本物の「静止画像」に写った明代のスーツの同一性が確認されていなければならない。しかし、そもそも矢野は両者の同一性を立証しておらず、被害者は両者の同一性を否定した。

 矢野の代理人はこの尋問で、「再現画像」と本物の「静止画像」のスーツが同一であるかのように説明し、被害者から「同じ」という供述を引き出そうとしたようにみえる。しかしそれでも被害者は同一性を否定したのである。

 この尋問の風景が、裁判官の目にどう映ったのか。判決の重要な要素の1つであることだけは間違いないと思われた。

(つづく)
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