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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第41回
尋問の順序を入れ替えた主張

 これまで矢野が作成した明代の「再現画像」に対する万引き被害者と千葉の供述を、『東村山の闇』に記載された順序で紹介してきた。ただ前述したように、矢野が『東村山の闇』で記載した順序(千葉-被害者)は実際の尋問(被害者―千葉)とは逆順になっている。矢野はなぜわざわざ被害者と千葉の順序を入れ替えたのだろうか。

 普通に考えれば、尋問が行われた順序で説明していけばいいと思う。しかし矢野はあえて順序を入れ替えた。それには理由があるはずである。

 矢野が2人の順序を入れ替えた主張を最初に行ったのは本件一審における最終準備書面においてだった。まずその主張をみてみよう。矢野は先に千葉の供述を取り上げた。



(「再現画像」に関する矢野の主張①――準備書面)

 ……千葉元副署長は、……捜査記録の右写真(筆者注=本物の「静止画像」)を見た時の認識と(筆者注=「再現写真」との)の違いを「服はどうですか」と聞かれた際、同人は、

「雰囲気としてはよく似ておりますね。鮮明ですね」

 と、躊躇なく明快に供述した。

 これによって、……捜査報告書に添付された右静止写真に写った故朝木議員の服装と、……「再現写真」に写った服装との同一性が確認されることとなったのである。



 最終準備書面で、「再現画像」について矢野は、千葉が本物の「静止画像」に「似てますね」と供述したと最初に印象付けていた。しかも矢野は、千葉が「同じ」と供述したのではなくたんに「似ている」と供述しただけであるにもかかわらず、「『再現画像』は本物の『静止画像』と同じ」と供述したと強引に決め付けた。

 これ以降、矢野は「千葉が『再現画像』と本物の『静止画像』が同一と認めた」ことにした上で、それを前提に主張を組み立てている。そのためには、現実には先に尋問が行われた被害者の供述(『再現画像』と本物の『静止画像』(すなわち万引き当時の明代の服装そのもの)の同一性を否定)ではなくその後に行われた千葉の尋問を先に見せる方が、印象的にも論理的にも自然なかたちで、「『再現画像』と『静止画像』の同一性」を印象付けることができると矢野は考えたのだろう。

 またそうすることによって、「『再現画像』と本物の『静止画像』は同一ではない」とした被害者の供述の印象を弱め、あるいは場合によっては被害者の供述を忘れさせる効果を期待したのではあるまいか。そう考えなければ、わざわざ尋問の順序を入れ替える必然性はない。

都合のいい部分だけを採用

 さて最終準備書面で矢野は、千葉が「千葉が『再現画像』と本物の『静止画像』が同一と認めた」と決め付けた上で次のように主張している。



(「再現画像」に関する矢野の主張②――準備書面) 

 また、被告○○(筆者注=被害者)でさえ、……「再現写真」のスーツと、同じスーツ等を着用して撮影したカラー写真(筆者注=朝木直子が「再現写真」のスーツを着て撮影した写真)に写ったスーツが一致することを供述した。

……

 なお、被告○○自身(筆者注=被害者)、尋問の際、右カラー写真を示された上、写っている故朝木議員のスーツの色は「グリーングレー」(筆者注=被害者が見た明代の万引き時のスーツの色)かと聞かれた際、「グリーングレー」ではないと、明快に供述をした。



 最終準備書面で矢野が、「再現画像」を使用した尋問に基づいて主張した記載は以上である。

「再現画像」によって明代のアリバイが証明されるためには、

①「再現画像」と本物の「静止画像」に写ったスーツが同一であること

②「再現画像」に写ったスーツの色(ベージュ)が、被害者が現場で目撃した犯人のスーツの色(グリーングレー)と異なっていること

 ――という2つの条件がクリアされなければならない。矢野の主張において、千葉が「『再現画像』は本物の『静止画像』と同じ」と供述したことにしたことで、まず①の条件はクリアされた。最終準備書面では、その上で被害者の、朝木直子が着用したカラー写真と「再現画像」のスーツが同じであるとした供述、およびそのカラー写真の色は犯人が着ていたスーツの色とは異なるとする供述のみを拾い上げ、「静止画像」に写った明代のスーツの色は被害者が目撃した万引き犯のスーツの色とは異なると主張しようとしていたのである。したがって、当日の明代と万引き犯の服装は異なるから、万引き犯は明代ではないと。

 被害者と千葉の供述を法廷で連続的に見ることなくこの主張だけを読んだとすれば、裁判官が矢野の主張には合理性があると錯覚しないともかぎらない。それが矢野の狙いだったのではあるまいか。しかも矢野はここで、被害者が「『再現画像』のスーツは本物の『静止画像』に写ったスーツとは違う」と供述したことについてはいっさい触れない。それに触れれば、矢野が作成した「再現画像」がニセ物であることがばれてしまい、明代のアリバイを証明するための論理がたちまち破綻するからである。

裁判官を騙そうとした矢野

 この準備書面では、千葉が「『再現画像』は本物の『静止画像』と同じ」と供述したことにしたものの、被害者については「再現画像」と「静止画像」の同一性に関する供述には触れず、「再現画像」に写ったスーツが「グリーングレーではない」と供述したことを主張するにとどまっている。「『再現画像』と本物の『静止画像』に写ったスーツが同一」で、それが「グリーングレー」でなければ、万引き犯の服装とは違うことになるからそれで十分と考えたのだろうか。

 矢野の思惑どおり「再現画像」によって明代のアリバイが認められるには、「再現画像」と「静止画像」が同一であることが認定されることが最低条件である。最終準備書面で矢野は、主張の前提に千葉の尋問を持ち出して千葉が同一性を認めたことにした。しかしそもそも、千葉の供述を「同一性を認めたもの」と断定するにはかなり無理があることは明らかである。

 その上に、裁判官は千葉の尋問の前に被害者が「本物の『静止画像』に写った明代の服装は万引き犯と同じ」と供述したこと、「『再現画像』と『静止画像』が同じではない」と供述したことなどを目の前で確認している。またそのほかにもすでに、レストランで矢野とともに食事をしていたとするアリバイが崩されたこと、矢野と明代が被害者を脅していたことなど、明代の万引きを裏付ける多くの事実の存在を裁判官はすでに認識している。その裁判官が、「再現画像」をめぐる最終準備書面の矢野の主張を受け入れるとは思えなかった。

(つづく)
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