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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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『聖教新聞』事件 第42回
相手にしなかった東京地裁

 矢野が作成した「再現画像」をめぐっては『東村山の闇』でも多くの紙幅を費やしており、矢野なりにかなりのこだわりがあったことがうかがえる。着せ替え人形よろしく朝木直子に母親の偽物のスーツを着せ、たくぎんから許可を取りつけてやっと実現した撮影である。苦労して撮影に成功した「再現画像」を放棄するには矢野のプライドが許さなかったらしかった。

 本件『聖教新聞』裁判では、矢野が作成した「再現画像」と捜査機関が保管している本物の「静止画像」について、千葉は「似ている」と供述したにすぎないにもかかわらず、矢野はこれを強引に「同一」と認めたことにした。被害者の証言については朝木に着せたベージュのスーツと「再現写真」のスーツが同じとした部分だけを取り上げ、明代の服装は万引き犯とは異なるから、明代は万引き犯ではないと主張した。被害者は万引き犯(すなわち明代)のスーツの色について「グリーングレー」だったと証言していた。したがって、「明代は万引き犯ではない」というのだった。

 矢野の主張が事実と認められれば、「再現画像」は捜査機関の結論を覆す重大な証拠となろう。しかし東京地裁は、矢野の「再現画像」をめぐる主張には触れさえしなかった。

被害者の供述を紹介

 そのせいか、矢野は平成15年に発行した『東村山の闇』では「再現画像」に関する主張の内容を少し変えていた。その記載を確認しておこう。

 矢野はまず「再現画像」に関する千葉の尋問結果を次のように結論付けている。



(『東村山の闇』における「再現画像」に関する主張①)

千葉副署長  服もちょっと断定はできませんが、雰囲気としてはよく似ておりますね。鮮明ですね。撮影を教えていただければ幸いですが。
 
 この再現写真が、鮮明であって、朝木議員の服装とよく似ている。

 このことを千葉副署長は、ついに認めた。……つまり、服装も同じであるのは当然の認識なのだ。



 千葉が「再現画像」と本物の「静止画像」の同一性を供述したことにしている点は裁判における主張と同じである。変更がみられるのは、続く被害者の供述に基づく主張だった。その主張の前に、矢野は準備書面では記載しなかった被害者の供述をあえてそのまま紹介していた。



(『東村山の闇』における「再現画像」に関する主張②)

 ○○(筆者注=実名)店主は、千葉副署長が鮮明で朝木議員の服装とよく似ていると証言した「再現写真」を見せられ、万引き犯人の服装について尋問された。

朝木議員側弁護士  犯人が着ていた、あなたがいう、その服装の特徴というのは、この写真と比べてどうですか。

○○筆者注=実名、以下同)店主 ちょっとちがうような気がします。

……

朝木議員側弁護士  どこが違うの。

○○店主  機械もちがうし、この立っている人もちがうような気がします。服装が違うような気がします。

朝木議員側弁護士  あと、スーツは。

○○店主  スーツ。スーツも何か違うような気がします。

朝木議員側弁護士  何か違うというのは、どこが違うかいえますか。

○○店主  形が違うような気がします。

……

朝木議員側弁護士  このブラウスの襟はどうですか。

○○店主  ブラウスも何か違うような気がしますけど。

……

朝木議員側弁護士  この写真(筆者注=「再現画像」)は、……あなたの記憶に残っている、あなたが見せられた写真の服装の特徴と違うんですね。

○○店主  はい、違います。



 矢野作成の「再現画像」を見せられた被害者が、そこに写ったスーツは「自分が見た本物の『静止画像』のスーツとは違う」と供述している場面である。被害者は警察で見せられた本物の「静止画像」に写ったスーツは万引き犯と同じと証言している。つまり「再現画像」は本物の「静止画像」を再現したものではないと供述しているのである。したがって本来なら、この供述は矢野にとって有利なものとはいえない。

 だから裁判の際、矢野は上記の尋問の場面を引用しなかったものと思われた。裁判で矢野はまず、「千葉が『再現画像』と『静止画像』の同一性を認めた」とすることにエネルギーを傾注していた。そのためには「再現画像」と「静止画像」の同一性を否定する被害者の供述は邪魔だった。

 だから、被害者が目撃した犯人の服装すなわち本物の「静止画像」の服装と「再現画像」の服装が異なることを供述した部分にはいっさい触れず、もちろん引用もしなかった。むしろ当時の矢野の判断では、その部分に触れることはマイナスと考えたとしても不思議はない。

準備書面とは異なる主張

『聖教新聞』裁判で準備書面を提出してから3年がたち、「再現画像」をめぐる矢野の主張にも『東村山の闇』では論理的に大きな変化が起きていた。『東村山の闇』では「千葉は『再現画像』と本物の『静止画像』の同一性を認めた」という主張を読者に対して最初に示し、それを前提事実として主張を組み立てていた。

 もちろん読者は実際の尋問を見たわけではないから、千葉の尋問の様子を最初に示されれば、それを前提とする主張を比較的容易に受け入れやすいだろう。「騙されやすい」と言い換えてもよかろう。『東村山の闇』をまとめる時点で、矢野は「千葉は『再現画像』と本物の『静止画像』の同一性を認めた」ことを前提にして、万引き犯と「再現画像」に写った明代の服装が違うと結論付けるために被害者の供述を利用することを思いついたようだった。

(つづく)
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