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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第7回
原告に有利と思える証拠

 ところで、矢野らが今回提出した告訴状とその際に原告が提出した「陳述書」には、原告が「詐欺事件」になんらかの関与をしたことがうかがえる記載がいっさい存在しない。たとえば告訴状には、「告訴の理由」として「M(「詐欺グループの一員」で、原告が個人情報を漏洩した相手と矢野らが主張している人物)がマッサージの過程で顧客の家族関係や財産関係を聞き出し、その情報を詐欺の実行行為者に伝えて、被害者から多額の借金をし、詐取した」(趣旨)と記載されているだけで、詐欺行為が実行されるまでの経過の中で原告が何らかの関与をしたとする記載は存在しない。原告が本件詐欺に関与しているなどとは、被害者もまたいっさい認識していなかったことがわかる。

 また原告が告訴に協力して提出した「陳述書」には、原告が被害者から相談を受けて以後、警察に相談に行き、弁護士を紹介し、和解成立後に返済が滞った後にも被害者を伴ってMの家を訪ねたことなども記載されている。このことは原告がいかに被害者に協力してきたか、また被害者が原告を頼っていたかを物語っている。

 つまり、矢野らが提出した告訴状も「陳述書」も、原告が「詐欺事件に関与」どころか、関与などいっさいしていないことを立証するものと判断できるのではあるまいか。「詐欺事件」が受理はされなかったものの告訴された事件であること、「(被害者が)一人暮らしになっちゃったのよね」とMに話したことがある(「陳述書」に記載されている)ことは事実らしいが、全体的にみればむしろ原告に有利な証拠のように思える。

 この2つの証拠を提出するにあたって、矢野にはそれなりの理由があったはずである。しかし私には、矢野がなぜこのような証拠を提出したのか理解することができなかった。

主張の一部を削除

 さて第3回口頭弁論で、裁判長はまず双方に対して準備書面の提出を確認した。するとその直後、矢野ら代理人の田中平八弁護士が立ち上がり、準備書面の一部箇所を「削除したい」と申し立てた。矢野らが提出した2月3日付け準備書面には次のような一節があった。

〈本件は、原告山川が「○○(筆者注=被害者)という高齢の女性が、……一人暮らしをしており、この女性が相当高額の資産を持っている」旨の○○(同上)に関する個人情報を……詐欺グループの一員であるMに漏洩したことにより……〉

 上記記載のうち、田中弁護士は「〈おり、この女性が相当高額の資産を持って〉の箇所を削除したい」というのだった。裁判官はこれを認めた。その結果、詐欺犯にとって最も重要な情報である「相当高額の資産を持っている」という情報が消えてなくなり、上記記載部分は以下のようなものとなった。

〈原告山川が「○○(同上)という高齢の女性が、……一人暮らしをしている旨の○○(同上)に関する個人情報を……詐欺グループの一員であるMに漏洩したことにより……〉

「高齢の女性が一人暮らしをしている」という程度の話が個人情報の漏洩とまでいえるのかどうかはともかくとして、「一人暮らしをしている」という情報を聞いたというだけで詐欺グループに狙われるということになるのだろうか。

 本件の場合、10万円という比較的小さな額から始まり、被害者は様々な理由で1回の額を数百万円単位で10回近くに分散するかたちで合計2600万円を貸している。したがって、「詐欺グループ」はこの高齢者が一定の資産を持っているというアタリを付けた上で接近したものように思える。矢野が証拠として提出した告訴状でも次のように記載している。

〈被告訴人ら(筆者注=「詐欺事件」の実行者ら)は、(被告訴人M)をして……告訴人が……相当の資産を抱えていることを探らせた上……〉

 つまり、「詐欺グループ」はたんに「一人暮らし」という情報のみに基づいて被害者に近づいたのではないということである。また、その旨を記載した告訴状を提出したということは、矢野らもそのことを認めているということにほかならない。

「原告がMに漏洩した」とする情報のうち、「被害者が相当高額の資産を持っている」という部分を矢野らが準備書面から削除したのは、告訴状の記載と矛盾しないように辻褄を合わせたということだろうか。真意は定かでない。しかしそうすると、矢野らが「原告がMに漏洩した」と主張している個人情報のうち、「被害者が相当高額の資産を持っている」とする部分を削除すると、なんら詐欺行為につながる「情報漏洩」などとはいえなくなってしまうのではあるまいか。

 一人暮らしの高齢者は少なくない。通常、一人暮らしだからという理由だけで、本件のようなかたちの詐欺を仕掛けることは、常識的には考えにくい。あるいはこれは、被告の「原告は個人情報保護法違反を犯した」とする趣旨の主張に対して原告が「新たな名誉毀損である」として撤回を求めたことに対する対応でもあったのだろうか。

本人尋問を求めた朝木

 被告らは朝木直子の本人尋問を求める申立書を提出していた。これに対して原告は、「朝木に事実関係を聞いたところでしょせん伝聞にとどまる」という理由で、却下を求めた。裁判官は申し立てに対する態度を明らかにしなかったが、原告に対して尋問の希望があるかと聞いた。原告は書面で足りると答えた。

 裁判官は被告側がそれまで主張していなかった相当性の主張をしたこと、朝木が尋問の申し立てをしたことなどを考慮したのか、進行についてこう述べた。

「じゃあ、もう1回やりましょう」

 こうして原告はあらためて書面を提出することとなり、この日の弁論を終えた。

 次回弁論について裁判官は3月の上旬はどうかと聞いたが、双方に差し支えがあり、次回、第4回口頭弁論は4月11日午後1時10分となった。

(「第4回口頭弁論」以降につづく)
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