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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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東村山市議会傍聴記(平成28年3月定例会--その2)
議運も「不適切」と判断

 平成27年12月21日、本会議の終了後、議会運営委員会(以下=「議運」)が開かれた。その席で議論されたのは、「草の根市民クラブ」の矢野穂積が12月議会の一般質問で行った発言の一部が不適切ではないかということだった。「(昭和病院の看護師が)局部をつかんで、非常に人権侵害的な行為をした」とする趣旨の発言部分である。

 議運は自民3、公明3、共産1、民主1、「ともに生きよう!ネットワーク」1、「草の根市民クラブ」1(=朝木直子)、市民自治の会1の計11人で構成されている。議運関係者によれば、議運では全会一致かどうかは定かでないが、矢野に対して問題部分の削除を求める方針になったという。

 本会議で議長が述べた「地方自治法第132条にかかる発言」すなわち「無礼の言葉を使用」した場合に該当すると判断されたということと理解できる。なおここでいう「削除」とは、具体的にはのちに作製される議事録から削除するという意味である。

病院側もすでに把握

 その前に事実関係はどうだったのかという問題があろう。おそらく健康福祉部は矢野の質問のあと、矢野が訴えたような事実が本当にあったのかどうかを昭和病院に確認したものと思われた。病院側も当然、すぐに矢野を担当した看護師から事情を聴いたのではあるまいか。

 なぜなら、この議運が開かれたあと、矢野が「昭和病院で人権侵害行為を受けた」と議会で発言した事実を知っているかどうかを病院側に確認すると、担当者はその事実は知っていると答えた。矢野の発言の事実を知った以上、病院の担当者が現場に事情を聴くのは当然だろう。

「人権侵害的行為があった」というのが事実なら、矢野から損害賠償を求められる可能性もないとはいえない事案である。病院側としても事実関係を確認する必要があると考えるのはきわめて自然な判断だろうと思われた。

支離滅裂な事態に

 平成27年12月21日に議運で矢野の問題発言の削除を求める方針が確認されてから2カ月、その扱いはどうなったのか。3月議会が始まる前に東村山市議会HPをみると、平成27年12月定例会の議事録はすでに公表されていた。すると、平成27年12月2日に矢野が行った一般質問のうち、次の箇所が消えてなくなっていた。



(矢野の一般質問のうち、議事録から消えていた箇所)

「昭和病院の職員とりわけ看護師なんですが、3階の病棟の男性看護師2名、それから名前は1人はわかってますが、女性の看護師が何をやったかというと、私が入院して10日ちょっとたったあたりの話ですが、私の、局部を、つかんで、非常に人権侵害的な行為をした。私が激しく抗議をして、ようやくやめたわけですが、局部を、つかんで、……」

「局部というのが何が悪いんだ。それはそういうことをした看護師がいたからだ、ということをあえていっておきたいと思います。患者に対するこのような人権侵害を看護師がしていいのかということを、あえて明らかにした上で、見解をうかがっておきます。」



 しかし、上記の矢野の質問に対して健康福祉部長が昭和病院の基本姿勢を述べることでかわした直後の、矢野の次の質問箇所は削除されていない。

〈これは具体的な話ですから、「あなた、やったろ」といってもですね、素直に答える人はいないんですよね。で、質問として私が聞くのはこのへんでやめておきますが、所管としては、昭和病院に対して、きれいなパンフレットを作って宣伝をするだけじゃなくて、具体的な患者の人権を、守るように、きちんと指導をすべきであると思いますが、どうでしょうか。〉

 さらに、

〈普通はですね、そんなことはないんじゃないかと思いますけどね、私もね、びっくりしましたよ。それで相当強い抗議をして、やめてもらいましたけど、一般の人だったら、こんなことですむのかなと思ったりするぐらい激しいやり方で、やられました。

 で、こういうことを一応お伝えしたわけですから、機会をみてですね、昭和病院に対してはきちんとね、調査をして、こういうことはやんないようにということを、きちんと指導をするようにしてもらいたいと思います。〉

 との最後の質問部分も残っている。しかし、この議事録を読んだかぎりでは、矢野は「昭和病院に患者の人権を守るようにきちんと指導すべきである」といっているようではあるが、何に対して「相当強い抗議をした」のか、「こんなことですむのかなと思ったりするぐらい激しいやり方で、やられました」、「こういうことはやんないように」とはなんのことをいっているのか、さっぱりわからない支離滅裂な事態である。

 残した部分もいっそのこと削除してしまった方が、よほどすっきりした議事録になったのではないかという気もするが、議運としては、肝心な部分が削除されて意味が通じなくなったから、それでよしという判断だったのだろう。「一部を削除したからこうなった」という事実を残す意図なら意味がないとはいえないかもしれない。いずれにしても、かなり恥ずかしい議事録である。

回答しなかった矢野

 議運関係者によれば、平成27年12月21日の議論を経て、平成28年1月中旬に開いた会議で、矢野から問題箇所の削除に応じる旨の回答を得たことが報告され、了承されたとのことである。なお、議運の委員に名を連ねている「草の根市民クラブ」の朝木直子がどんな態度だったのかは定かでない。

 朝木直子の母親で、万引きを苦に自殺した故朝木明代は、東村山市議だった当時、不適切な発言をして議事録から削除されることが多々あった。削除をめぐり提訴したこともある。では今回、矢野の発言を削除したことで矢野から提訴される可能性はないのだろうか。

 矢野は本当に削除に応じたのだろうか。東村山市議会3月定例会の初日、午前の会議を終えて矢野が控室から出てきたところに出会ったので、直接確認してみた。

――議事録の削除に応じたんですね。

 削除に応じたのでなければ、当然「そんな事実はない」と否定するだろう。ところが矢野からはいっさい否定の言葉は返ってこなかった。午後の再開前にも遭ったので、再び同じ質問をしたが、やはり矢野から否定する言葉はなかった。与えられた時間の中で行った質問の一部の削除に応じたということは、矢野は市民の税金で運営されている東村山市議会本会議の貴重な時間を浪費したということになろうか。

 議員の本会議での発言を議事録から削除するという作業は、簡単なことではない。発言の削除をめぐって議運も会議を開かざるを得なくなり、議事録の再構成にあたって本来は必要のないエネルギーが費やされ、行政もまた無駄な労力を強いられた。

 ところが、東村山市議会としては、本来なら議事録に収載されるはずの本会議での発言が削除されたことについて、議場等の公の場で市民に説明することはないらしい。リアルタイムで放送された本会議場での市議会議員の発言が、市民の知らない間に議事録から削除、すなわち事実上、最初からなかったことになってしまうというのはいかがなものだろうか。

 削除までに何があったのか、とりわけ今回のような悪質な発言の場合には、より市民に対してきちんと経過説明をしておく必要があろう。議運が矢野の発言を削除させたことは評価できる。しかしそれだけではまだ、ツメが甘いのではあるまいか。

(了)
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