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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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『聖教新聞』事件 第60回
もう1つの重要な争点

『聖教新聞』裁判におけるもう1つの重要な争点は、『聖教新聞』で創価学会会長が厳しく批判した『週刊現代』における朝木父娘のコメントの内容および明代の万引き事件に関する矢野の主張の成否である。あらためて確認しておくと、朝木父娘は『週刊現代』で記載されたとおりのコメントをしたことが認定されている。たとえば以下のコメントである。



(『週刊現代』記事における朝木父娘のコメント)

〈創価学会はオウムと同じ。まず汚名を着せてレッテルを貼り、社会的評価を落とす。そして、その人物が精神的に追い込まれて自殺したようにみせて殺すのです。今回で学会のやり方がよくわかりました。〉(朝木直子)

〈妻が自殺するはずがありません。創価学会に殺されたんですよ。……妻が万引きで事件で逮捕されたことも学会におとしいれられただけ。万引き事件で悩み、それが原因で自殺したというシナリオを作ったんです。〉(大統)

〈妻が自殺するはずがありません。この事件は創価学会と警察によってデッチあげられたとしか思えない。〉(大統)



『聖教新聞』の記事では、矢野に対しては具体的に名指しで非難しているわけではない。しかし訴状で矢野は、〈東村山署の副署長が「万引き事件は発生当時に目撃者が多数おり、同僚の男性議員と事件後にアリバイ工作をした疑いも濃く、極めて悪質と判断した。朝木市議は万引き事件がでっちあげだったと主張しているが、捜査は適正に行われ、書類送検には自信をもっている」と語っていた通りです。〉とした記事を記載したことにより、原告矢野穂積の社会的評価は著しく低下させられた」と主張している。つまり矢野は、この記載は明代の万引きの事実および矢野がアリバイ工作に関与したとするものであり、名誉を毀損されたと主張していた。

 しかも矢野と朝木は、この『聖教新聞』記事には洋品店主が「万引き犯は朝木だ」と証言したこと、東村山警察署副署長の千葉が明代を万引き犯と認定し、転落死を「自殺」と断定したことに基づいているとして、矢野と朝木は創価学会以外に万引き被害者と警視庁(東京都)も提訴していた。普通の感覚では、創価学会以外に対する提訴はやや強引なように思える。

 しかし洋品店主も警視庁も、あえて訴えそのものの違和感については主張しなかった。したがって、この裁判で東京地裁が朝木父娘のコメントの有無以外に具体的な検討対象としたのは、①「明代の万引きと転落死には創価学会が関与している」との矢野らの主張が正当なものであるか否か(対創価学会)②「万引き犯は朝木に間違いない」とする洋品店主の証言の正当性(対洋品店主)、③東村山警察署(千葉)の捜査の正当性(対警視庁)――の3点である。

矢野らが主張した「他殺」の根拠

 東京地裁はまず創価学会に対する提訴から検討している。東京地裁の認定によれば、明代の万引きとそれを苦にした自殺について、矢野らが「『万引きは創価学会によるでっちあげ』で、自殺は『創価学会による謀殺』」と主張した根拠は次のようなものだった。



(矢野らが主張した「他殺」の根拠)

「高知市の市民団体「ヤイロ鳥」が主催する創価学会を批判するシンポジウム(平成7年9月3日)に明代と矢野も参加する予定だったが、それが近づいた同年6月以降に次のような数々の事件が起きた」(矢野らの主張)

①万引き事件(同年6月19日=矢野らは、明代にはアリバイがあり、万引き事件は捏造されたものと主張)

②矢野が帰宅途中に暴漢から襲われる(同年7月16日)=(筆者注=有名な「少年冤罪事件」)

③「草の根」事務所周辺に、「こんな議員をトップ当選させたバカな東村山市民よ、早く目を覚ませ。市の恥『草の根』をこの街から排除しない限り、東村山は全国の笑い物になる。議会の進行を妨害するだけで、何の建設的意見を持たず能力もない『草の根』を即刻、追放しよう」とのビラが貼られていた(同年7月17日)

④明代の自転車のブレーキが何者かによって壊されていた(同年7月19日)

⑤矢野が帰宅途中にトラック2台に挟まれて、轢き殺されそうになったが、そのトラックの所有者は創価学会員だった(同年8月2日)

⑥朝木直子のポケベルに「444」などの数字が連日打ち込まれた(同年8月6日以降)

⑦明代の自宅の門柱の上で、新聞紙が燃えるという放火事件が発生した(同年8月20日)

⑧ビニール袋に詰められた勤続粉末状のものが同封され、チラシの裏に「ばく死」と書かれた脅迫状が事務所に送られてきた(同年8月26日)

⑨「ヤイロ鳥」に対して創価学会関係者が「講師の命の保証はできない」「シンポジウムを中止せよ」などの脅迫が継続した(同年7月以降)

⑩「シンポジウムを中止しろ。このままやったら、ただじゃ済まないぞ」「五体満足で、講師が高知の地を踏めるとおもったら大間違いよ」という脅迫電話がヤイロ鳥事務局にかかってきた(同年8月28日)

⑪高知県内各地で創価学会地区部長会が行われ、「シンポジウムを断固粉砕する」との指示や申し合わせがなされていた(同年8月21日)



 矢野らはこれらを「明代が殺されたことが疑われる事実」として挙げた。このうち警察が捜査に関わったのは①の万引き事件、②の「暴漢事件」、⑦の「朝木宅放火事件」だが、これらについては以下のようにいずれも矢野の主張は否定されている。

裁判所が疑念を表明

 ①の万引き事件が明代によるものであることは、東村山署の捜査によってすでに動かしようのない事実である。

 また②の「暴漢事件」と称する事件は、矢野が「犯人」と名指しした少年がまったく見ず知らずの相手だったことが捜査で判明した上、その後矢野が提訴した裁判でも東京地裁が「少年は無関係」(平成12年4月26日)と認定し、東京高裁も矢野の主張を退ける(平成12年11月29日)など、すでに事件の存在自体が疑わしいものとなっている。

 ⑦の「放火事件」と称するものは、東村山署が朝木明代の通報を受けて現場に駆けつけた際、消火活動をいっさいしておらず、いまだ新聞紙がくすぶっているという奇妙な状況で、犯人の特定に至っていない。

 ではそれ以外の「事件」についてはどうかといえば、これらは矢野と朝木がそう主張するだけで、本当に第三者が関与したのかどうか、また実際に「脅迫」というような電話があったのかどうかなど、客観的にその存在を証明する資料はなんら提出されていない。そのせいか東京地裁も、判決文において矢野の主張を一応紹介してはいるものの、〈ただし、本件証拠上、その存在を確定できない事実も多い〉と述べている。

 むしろ「創価学会の関与がうかがわれる事件」として矢野が列挙した上記事件のうち、警察が捜査をした事件についてはいずれも矢野の主張が否定され、あるいはその主張を裏付ける事実がいっさい確認されていない事実からすれば、社会通念上は、その他の「事件」についても信用性がないと判断されてもやむを得まい。裁判所が〈ただし、本件証拠上、その存在を確定できない事実も多い〉と述べたのは、矢野の主張に対する根本的な疑念の表れであるように思えてならない。

(つづく)
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