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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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りんごっこ保育園問題とは何か 第4回
園名の公表を拒否した事業主

 早ければ3カ月もたたないうちに開園を予定しているというのに「まだ計画が固まっていない」ことのほかに、おかしな点はまだあった。平成15年1月17日に開かれた児童育成計画推進部会で保健福祉部は、その認可保育園の名前と事業者名について、「プライバシーに関わる部分がある」としてかたくなに明らかにしようとしなかったのである。

 この園の規模だと補助金は年間8000万円以上にのぼる。国が認可を与える保育園の名前や事業者の名前を出すことがプライバシーに関わるはずがなかろう。またも詰め寄られた保健福祉部が、その保育園の名が「りんごっこ保育園」であること、事業者が高野博子という女性であることをようやく明らかにしたのは、2時間の会議終了わずか10分前のことだった。

 認可基準をぎりぎりクリアしているだけという従来の東村山の認可保育園では考えられない保育環境の貧弱さはともかく、園舎の建築工事が始まろうとしている段階になってもなお事業者名さえ公表できないとはどういうことなのか。すでにこれはたんなる不可解を超えて、なにか事態の異常を意味しているのではないか。

 のちに、ある保育関係者が情報公開請求によって同保育園の申請書類を取り寄せたところ、保健福祉部の対応の不可解さはより鮮明となった。高野は平成14年4月16日に事業要望を提出。市の予算化申請書類にあたる起案書は同年12月3日に起こされ、12月13日には市長の決済印が押されていたのである。4月以降12月までの間に高野と保健福祉部との間で協議が重ねられていなければ、通常の行政手続において年間8000万円の予算がわずか10日で決定されるとは考えにくい。

 すると、保健福祉部はこの計画についてかなり早い段階から承知していたことになるが、なぜか児童育成部会にも議会にも保育関係者にも報告しなかった。というより、逆に「平成15年には認可園の定員変更はない」「15年度の待機児解消は既設園の定員緩和で対応したい」と説明していたのである。この点をどう理解すればいいのか。少なくとも、平成15年1月17日の時点で「計画が固まっていない」とした保健福祉部の説明は起案書の内容と矛盾しよう。「計画が固まっていない」ものに市長が決済印を押すような地方自治体はあり得ない。

 こうした不透明な状況に対して、市民は公明正大な方法で福祉行政を進めるよう求める請願(「待機児童の解消は、保育の質を確保し、多くの関係者の協力が得られる公明正大な方法で行うことを求める請願」)を議会に提出。しかし、この請願を審査した平成15年1月29日の市議会厚生委員会でも保健福祉部は計画の中身を明らかにしようとせず、園名についても「個人を特定する恐れがある」としてなかなか答えようとしなかった。公共事業において特定されてはいけない「個人」とはいったいどういう「個人」なのか。

 この日の午後になって、情報公開を担当する総務課が認可保育園の園名等が個人情報にあたらないとの見解を示したことで保健福祉部はこの保育園が「りんごっこ保育園」であること、事業者が高野博子であることをようやく公表するに至った。つまり、東村山市議会が公式に園名と事業者名を知らされたのはこのときだったのである。わずか2カ月後に開園が迫り、園舎の建築工事はすでに始まっている。当初、この段階においてなお、必要な情報開示をしようとしなかった保健福祉部の対応と、「個人情報」を理由に園名と事業者名の公表を拒んでいた高野に対して議会が深い不信感を持ったのも当然だった。第1回厚生委員会は、高野が保育に対してどういう考え方を持っているのか次回の委員会に招致することを決めて閉会した。

 第2回目の厚生委員会が開催されたのは平成15年2月10日。議会も市民も高野がどんな話をするのか期待したが、冒頭、高野が出席できないといってきていること、その代わりに1通の文書が委員長宛に届いていることが報告された。しかし、委員長は高野が出席しないことを伝えただけで文書の内容については詳細には触れなかった。

 さて、情報公開で入手した平成14年4月の認可申請「要望書」提出時の「出席者」欄には、行政側に保健福祉部次長と課長の名前、事業者側には高野ともう1人、名前が墨塗にされた人物がいたことがわかった。保健福祉部によると、この人物の名前が墨塗りになっているのはプライバシーに触れるからであるという。公共事業に関わる公文書において名前を公開することがなぜプライバシーに触れるのかよくわからないが、墨塗りの本人自身が情報開示を拒んでいるというのだった。

 2月10日行われた、この墨塗りの人物の存在に関する厚生委員会での午前中の質疑をみよう。質疑を行ったのは公明党の鈴木茂雄市議(当時)である。

――4月16日付「要望書」の面会者のうち、墨塗りの人物は誰か?

保健福祉部長  事業には関係ない人の個人情報だからいえない。

――事業に関係ない人間が相談に来るのか?

保健福祉部長  一般の相談についてはそういうこともある。すべての同席がダメだとはなっていない。

――保健福祉部次長は4月以降は来ていないといっているが、前回の委員会で部長は、12月の起案書までの間、相談は継続していたといっているが。

次長  私が関わったのは平成14年2月。(保育所設置の)場所はどこでもいいとはいっていない。2月は、4月に野口町に建てたいといってきたが、野口は無理といった。その後恩田に建てたいといってきたあと、連絡がなかった。11月になって(土地売買の)仮契約ができそうだという話があった。

――相談の中で、現職の市会議員が来たとのことだが、次長は会ったのか。

次長  何度か来た。保育課長を通して来た。

――それは誰ですか?

 しかし保健福祉部は、この段階では「現職の市会議員」の名前を明らかにしなかった。


(第5回へつづく)
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