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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第11回
摘示事実をすり替えた被告ら

 では、原告が本件の重要部分として挙げた①「SがTから借金をしたことが詐欺事件に該当すること」、②「原告が上記①の仲介の役割を果たしたこと」、③「原告が①の詐欺事件に関与したこと」に対する相当性についてはどうか。

 相当性については、被告らはそもそも①と③について「記事のとおりである」などとする主張を繰り返しており、相当性の主張をしていない。原告が「詐欺に関与した事実はない」と主張したことに対して「記事のとおり」と答弁するのも弁護士が付いているにしては珍しいと思われるが、弁護士がそれ以外の主張をしないのだから、これはもう「真実だ」との主張であると理解するほかない。

 さらに第2回口頭弁論までは、②についても〈(原告が)詐欺グループの一員でもあるMに被害女性に関する上記情報(筆者注=高額の資産を有する独居女性)を開示したことは、……詐欺行為を仲介したものである。〉と、真実性を主張していた。ところが第3回口頭弁論に至り、②については突然相当性の主張を始める(被告準備書面2)。

 矢野らがその前提としていたのが、本件記事の摘示事実についての新たな主張だった。矢野らは本件記事の摘示事実が〈結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。〉〈元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は「知らん顔」〉(筆者注=被告らが主張する上記「摘示事実」を便宜上、「新たな摘示事実」と表記する)との事実であると主張したのである。

 これまで上記①②③のすべてに対して真実性を主張していたということは、それらがすべて摘示事実であることを認めていたということと理解できる。すると、「新たな摘示事実」はそれまでの主張と食い違いが生じることになろう。田中平八弁護士と矢野との間で、何か噛み合わないところがあるのではないかと推測する。

 矢野らは上記「新たな摘示事実」について〈客観的真実と一致する。〉と真実性を主張した上で、本件記事の意味内容について〈本件記事は原告山川が詐欺を働いたという記載ではなく、「結局は口ききでしかなかった」という記載内容である。〉と主張していた。「(詐欺の)口ききをしただけ」という意味内容なら、読者も詐欺への「関与の度合い」はかなり低いと判断するかもしれないし、立証のハードルもかなり下がるだろう。

 その上で矢野らは、原告がMに「資産等の個人情報を漏洩した」こと、および「被害者が救済されていないにもかかわらず、放置している」などとする主張を根拠に、「結局は口ききでしかなかった」という記載には〈真実と信じるに足る相当の理由がある。〉と主張していた。

「すり替え」に対する反論

 矢野が「口ききをしただけ」と書いたにすぎないと主張したのは、〈山川元公明市議は口では被害者女性の味方になってお金を取り戻すそぶりをしていたが、結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。〉との記載部分である。

 この部分をどう読めば、「(詐欺の)口ききをしただけ」と理解できようか。矢野と朝木はこの部分で、言葉は違うがやはり「山川は詐欺に関与した」と主張しているのである。

 したがって原告はすでに、被告らによる「新たな摘示事実」の主張が、被告ら自身のそれまでの主張に反するもので、立証対象をすり替えるものであること、「口ききでしかなかった」とは「口ききをしただけ」という趣旨ではなく、「原告は詐欺に関与したとする事実を前提に、『山川は口ではお金を取り戻すそぶりをしたが、結局はお金を巻き上げる連中の口ききだった』とするもの」で、詐欺の一味であると断定する趣旨であることになんら変わりはないと主張している。

 原告は今回提出した準備書面でさらに、告訴状に記載されているとおり、「原告がMに被害者の資産等の個人情報を漏洩した事実は存在しないこと」、被害者が救済されていないにもかかわらず放置した事実もなく、それどころか「陳述書」を提出するなどして被害者を支援した事実は明らかで、「摘示事実のすり替え」による相当性の主張も失当であると主張した。

摘示事実をすり替えた事情

「山川はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった」とする部分をどう読んでも、「口ききをしただけ」という意味であると理解することはできない。そんなことは記事を書いた本人である矢野が一番わかっていよう。これが「山川は詐欺とは無関係」という趣旨なら、〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉というタイトルはあり得ないのである。

 にもかかわらず、矢野はなぜ見え透いた詭弁を弄するのだろうか。摘示事実が「山川は詐欺事件に関与した」というものであることを認めれば、「山川は詐欺事件に関与した」という事実に対する真実性・相当性を主張・立証しなければならない。

 代理人の田中弁護士はすでに「山川は一人暮らしで相当高額の資産を持っているという被害者Tの個人情報をSの仲間であるMに提供した。このことはSの被害者Tに対する詐欺行為を仲介したものである」(趣旨)と主張していた。田中弁護士は本件記事の摘示事実が「山川は詐欺事件に関与した」との事実であると考えていたということと理解できよう。

 しかし、「山川は一人暮らしで相当高額の資産を持っているという被害者Tの個人情報をSの仲間であるMに提供した」とする主張を立証するのは至難の業であるし、仮にそれが事実と証明できたとしても、そのことと詐欺の実行行為は次元の異なる行為である。その2つの行為を証拠をもって結び付けること、すなわち山川がSに詐欺をさせる目的を持って情報提供したことを立証するのはさらに困難ではあるまいか。相当性を主張するにしても、山川の関与を疑わせるに足りる証拠がなければならない(のちの口頭弁論で田中弁護士が、山川がMに提供したとする被害者Tの個人情報のうち、「相当高額の資産を持っている」とする箇所を削除したことで、「山川は詐欺事件に関与した」とする事実の立証はより困難なものとなった)。

 矢野が本件記事の摘示事実を「山川が万引きに関与した」ではなく、〈結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。〉〈元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は「知らん顔」〉へとすり替えたのと、山川が漏洩したとする被害者Tの個人情報のうち、「相当高額の資産を持っている」とする箇所を田中弁護士が削除したのは、偶然かどうか、同じタイミングだった。

(つづく)
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