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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件 第14回
「重要な部分」に対する反論

 原告は4月11日に行われた第4回口頭弁論の1週間前に提出した準備書面4で、本件記事が記載した「事実の重要な部分」を示し、それに沿って本件記事に真実性・相当性がないこと、すなわち本件記事が原告の名誉を毀損するものであることを主張している。原告が主張した本件記事の「重要な部分」とは、

「Sが被害者Tから借金したことが詐欺事件に該当すること」

「原告が上記の借金の仲介(口きき)の役割を果たしたこと」

「原告が上記①の詐欺事件に関与したこと」

 ――の3点である。被告らは4月9日に提出した準備書面で、「重要な部分」として原告が示した上記の3点以外に(3)として「和解が成立したこと」および(4)として〈山川元公明党議員は、口では、被害女性の味方になってお金を取り戻すそぶりをしていたが、結局はお金を巻き上げる連中の口利きでしかなかった。〉を加えていた。その上で被告らは、「本件が詐欺事件であること」については〈十分に証明されている。〉とし、「山川が詐欺事件に関与したこと」および「山川は結局はお金を巻き上げる連中の口利きでしかなかった」とする点について詳細に反論している。

「詐欺事件に関与」の根拠

 まず、「山川が詐欺事件に関与した」ことに関する被告らの主張はどんなものだったのか。被告らは、原告は「詐欺犯人の一人」である「Mと長年にわたって懇意な関係」にあり、「被害者Tが原告を信頼して家庭の事情などを相談していた」にもかかわらず、Mに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と詐欺師にとって耳寄りな情報を伝えた。このことが詐欺事件のきっかけとなったのだから、〈原告が本件詐欺に関与したことは間違いない。〉――こう被告らは主張していた。

 言い換えれば、被告らは、「原告は詐欺事件に関与した」とする根拠は、原告がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と伝えたことにあると主張しているということである。なお相当性については「原告は詐欺事件に関与した」とする事実に対してのみ主張しており、その内容は真実性に対する主張と同じだった。

きわめて難解な主張

 では、被告らが「事実の重要な部分」として追加した「山川は結局はお金を巻き上げる連中の口利きでしかなかった」と主張する箇所についてはどうだろうか。被告らはまず、原告が、本件事件が「刑事事件としては立件されていないから、刑事事件としての『詐欺事件』ではなく、貸金の未返済問題である」と主張した点について、〈金員詐取自体を否定している〉と主張している。

 その上で被告らは、被害者Tのために原告が過去に提出した「陳述書」においては〈騙し取られた内容が記載されている〉と主張している。したがって、「当初は被害者Tの味方をしてお金を取り戻すそぶりをしていたが(すなわち原告は当時は「詐欺事件と主張していた」)、その後、本件陳述書では正反対の主張(すなわち本件で「詐欺事件ではない」と主張したこと)をしており、『結局はお金を巻き上げる連中の口利きでしかなかった』との主張が真実であったことが証明された」と主張している。

 難解な理屈だが、被告らは、「原告は当初は詐欺事件だといっていたが、今では詐欺ではないと主張し、Sらを利する主張をしている。よって『結局はお金を巻き上げる連中の口利きでしかなかった』との主張には理由がある」と主張しているようである。この主張が、「原告はSらの口ききをした」とする事実の証明になるとは思えないが、裁判所はどう判断するだろうか。

前回準備書面の主張と齟齬

 裁判所の判断はともかく、上記の「山川は結局はお金を巻き上げる連中の口利きでしかなかった」とする記載に関する主張は、正面から「山川は詐欺グループの口ききだった」すなわち「山川は詐欺に関与した」と記載したことを認めた上で、そのことについて立証しようとするものである。しかしこの主張は、第3回口頭弁論前の主張とはだいぶニュアンスが異なる。

 被告らは第3回口頭弁論前に提出した準備書面において次のように主張していた。

〈現在被害者女性の被害が救済されていないにも関わらず放置していることは、「結果的に口ききとしての役割を果たしたに過ぎない」と批評しているのであって、原告山川が直接的に詐欺を働いたと読み取れる箇所はない。〉

 つまり被告らはこの主張によって、「山川が詐欺に関与したと書いたのではない」と主張しているものと理解できる。しかし今回の準備書面の主張は、「詐欺の口きき、すなわち詐欺に関与した」と書いたことを認めた上での主張であるように思える。

 事情は定かでないものの、これもまた主張の変遷といってよかろう。準備書面を出すたびに主張が異なるとは、被告らはなにかよほどの混乱をきたしているのだろうか。

 いずれにしても、第4回口頭弁論直前に提出された準備書面には本件記事に関して被告の側からはなんら新たな証拠も主張もなく、原告の主張に対してたいして説得力があるとも思えない反論を試みただけだった。「釈明に追われた状態」という言い方がふさわしいかもしれない。

田中弁護士の意図

 被告らの混乱ぶりは第4回口頭弁論でも現れた。本連載の第8回で触れたように、原告が口頭弁論で準備書面4のコピーを提出すると、田中弁護士は「(原告が今回提出した準備書面4は)今いただいたばかりで読んでいませんので、改めて反論したいと思います」と述べたのである。

 これまで見てきたように、被告らは第4回口頭弁論で提出した準備書面3で原告の準備書面4に対する反論を詳細に行っている。したがって、口頭弁論の席で田中弁護士が述べた「もらったばかりで読んでいない」というのは明らかに、嘘か勘違いということになる。

 弁護士なら、口頭弁論までに準備書面をファックスで送り、口頭弁論当日にクリーンコピーを渡すというやり方には慣れているはずで、勘違いということは考えにくい。また横には裁判慣れした朝木直子もいたから、当日提出された準備書面4がファックスと同一のものであることに気がつかないということは、なお考えにくい。

 裁判官も田中弁護士の「改めて反論したい」との申し立てに流されるかたちで、もう1回弁論を開くことを決定した。敗北が現実のものとなることを先延ばししたいと思うのは人情である。田中弁護士の真意は定かでないが、そんな心理が無意識に出てしまったのか。

 いずれにしても、結果として、田中弁護士の通常では考えられない申し立てによって、裁判は引き延ばされることになったのだった。

(「第5回口頭弁論」後に、つづく)
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